片頭痛とミトコンドリア その7 脂質の役割 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 これまで、「脂質(油)の役割」については、以下で述べました。


   食事の摂り方と健康 その5 「脂質」
        
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12282762137.html


    詳しくは、上記をご覧下さい。
   
   
 人間の体の中で“脳”は最も重要な器官の1つですが、その構成成分の60%は脂肪が占めています。そして、このうち一番量が多いのが「オメガ3」です。無数の神経細胞から成り立っている脳は、神経刺激を伝達したり、外からの刺激を受け取ったり、いつも活発な活動をしていますが、その動きに鋭敏に反応し、素早く対応しているのが「オメガ3」なのです。脳では「オメガ3」が最も大切な脂肪酸なのです。


脂質は細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造を構成します


 細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造には食べた脂肪酸がそのまま使われますので、どのような種類の脂肪酸を含む脂質を食べたかにより、膜構造の状態が大きく異なり、ミトコンドリアの働きが左右されます。このため摂り方に問題があれば、ミトコンドリアの機能が悪くなります。


 このように「体の脂肪酸バランス」は、食べ物として摂った脂肪酸によって決まってしまいます。すべての細胞の脂肪酸の状態が、摂取した脂肪酸によってストレートに決定してしまうのです。


片頭痛における脂肪の関与


 以上のように、「体の脂肪酸バランス」は、食べ物として摂った脂肪酸によって決まっています。すべての細胞の脂肪酸の状態が、摂取した脂肪酸によってストレートに決定してしまうのです。
 このため、必須脂肪酸、オメガ3とオメガ6の摂取バランスに問題があれば、”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。このため、痛みを誘発させるプロスタグランデンが異常に産生され、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”の原因ともなります。生理痛の原因にもなってきます。


  さらに、生体の膜(細胞膜やミトコンドリアの膜構造)を形成していることから、摂取バランスによってはミトコンドリアの機能を悪化させることになります。片頭痛発症の根幹となる「酸化ストレス・炎症体質」を形成させる根源になってきます。


脂質のとり過ぎが活性酸素の発生原因に!


 酸化ストレス・炎症体質」の人は、体内で過酸化脂質が生成されやすく、これが活性酸素を過剰に発生させる原因物質となっています。
 過酸化脂質というのは、コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されてできたものです。これらは体内で作られるのですが、それ以上に、過酸化脂質を多く含む加工食品などを過剰にとる食習慣のほうに問題があると考えられます。
 ポテトチップスなどのスナック菓子、インスタントラーメン、ピーナッツ、マヨネーズ、マグロの缶詰(缶を開けたあと)、黒くなった古い油分には注意が必要です。また、新しいものでもチキンフライなどの揚げ物を電子レンジで加熱すると、とがった部分や角の部分が過酸化されることがあります。


過酸化脂質を多く含む食べ物


 ポテトチップスなどのスナック菓子
  インスタントラーメン
  ピーナッツ
  マヨネーズ


 ところで、精神的なストレスを受けてアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を高めるために体脂肪が分解されます。このとき、体脂肪から遊離脂肪酸が生成され、血液中に溶け出して全身に送られます。
 通常、体脂肪は空腹時のエネルギー不足を補うために分解されます。ところが、精神的なストレスからアドレナリンが分泌されて遊離脂肪酸が生成されますと、エネルギーとして消費されることがほとんどありませんので、その後ストレスから解放されると、血中の遊離脂肪酸濃度だけが高くなった状態になってしまいます。この遊離脂肪酸は、血小板の凝集を促進したり脳血管壁を傷つけたりしますから、これが活性酸素を発生させる原因となってしまいます。
 遊離脂肪酸には細胞を傷つける性質が強いという特徴があります。通常は血液中のアルブミンというタンパク質成分と結合して毒性が弱められた状態で存在しているのですが、遊離脂肪酸が毒性を発揮して細胞を傷つけるということは、アルブミンとの結合可能な限界量(閥値)を超えてしまっているということです。
 このような状態を招く原因は、間違った日々の食習慣なのです。特に、植物油(リノール酸)やトランス脂肪酸を多くとり過ぎると、体内での脂質代謝が充分に行われず、血液中の遊離脂肪酸濃度が高い状態になることがわかっています。
  このような状態になれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても、片頭痛の引き金となる脳血管内の血小板凝集が起きてしまいます。

 

以上、これまでのことをまとめておきます。
 

悪い植物油(市販のサラダ油など)や加工油(マーガリンなど)をとらない


精製・加工処理された植物油をとらない


 片頭痛にはいろいろな症状の違いがあり、発症の原因もさまざまです。でも、どのようなタイプの片頭痛の人にも共通した発症要因が「酸化ストレス・炎症体質」です。
 ここでは、どうすれば「酸化ストレス・炎症体質」が改善できるのかを解説することにしましょう。
 その筆頭に挙げたいのが食習慣の見直し、その中でも特に「食用油に気をつけること」です。
  皆さんの中には、「植物油は健康によい」と思っている方も多いのではないでしょうか? もしあなたが「植物油は健康によい」と信じているのであれば、「植物油のとり過ぎが、じつは健康を害する最大の原因である」と認識を変えてほしいのです。
 もちろん、植物油の中にも「よい植物油」と「悪い植物油」があるので一概にはいえないのですが、悪い油のとり過ぎが、片頭痛発症の引き金となる「活性酸素」と「遊離脂肪酸」を発生させることにつがなっていることは確かです。よいものと悪いものを見極める目を持つことが大切です。このことも、前半の部分で説明致しました。
 私かお勧めする植物油は、昔ながらの製法「低温圧搾」で造られたシソ油(エゴマ油)や亜麻仁油などのオメガー3系脂肪酸を多く含む植物油と、エクストラバージンオリーブ油、低温圧搾で作られたゴマ油やナタネ油などの植物油です。
 これら以外の市販されているサラダ油など多くの植物油は、いずれも「悪い油」といってもよく、多くとってはいけないものばかりです。また、マーガリンやショートニングなどの脂もダメです。
  こうした「悪い油」を原材料とするマヨネーズやドレッシング、植物性ヨーグルト、ケーキ、ビスケット、クッキー、チョコレート……なども、できるだけ避けたい食品といえます。加工食品の成分表を見ればわかるのですが、植物油が加えられていない加工食品はまれにしかありません。これらの植物油のほとんどは悪い油です。注意してください。


 日常の調理には加熱用としてエクストラバージンオリーブ油を使い、ドレッシングやマヨネーズなどの非加熱用途には、シソ油(エゴマ油)またはエクストラバージンオリ-ブ油を用いるとよいでしょう。
 また、穀類、種実類(ナッツ)、豆類、芋類など、天然の植物に含まれる油分にはリノール酸が多く含まれていますが、これらはよい油分であり、有害なトランス脂肪酸は含まれていません。
 なお、リノール酸は必須脂肪酸です。摂取不足が気になるところですが、通常の食事(穀類や豆類を含む)をしているかぎり、あえて植物油や植物油を含む加工食品をとらなくても摂取不足を起こすことはありません。
 また、穀類や豆類を中心とした通常の食事では、リノール酸のとり過ぎを起こすこともありません。知らず知らずのうちに加工食品から摂取されるトランス脂肪酸やリノール酸のとり過ぎ、ドレッシングやマヨネーズ、唐揚げなどからの直接的な植物油のとり過ぎが問題です。
 

脂肪酸の種類


 たとえばビタミンにもいろいろな種類があるように、脂質(油脂)にもいくつかの種類があります。これらは、分子構造上・脂肪酸として次のように分類できます。


I.飽和脂肪酸……酸素などと反応しやすい「二重結合」を持たないもの
(ヤシ油や牛乳・バターに多く含まれる)
Ⅱ.一価不飽和脂肪酸……「二重結合」がひとつだけあるもの
(オリーブ油の主成分であり、ナタネ油や牛脂に多く含まれるオレイン酸など)
Ⅲ.多価不飽和脂肪酸……複数の「二重結合」を持つもの
(シソ油に多く含まれるα-リノレン酸や植物油に含まれるリノール酸、青魚に含まれるEPA・DHAなど)


  飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸は、おもに体を構成する細胞膜に使用されたり、中性脂肪として体に必要なエネルギーとなったりするものです。ただし、体をコントロールしている生理活性物質(私たちの生理活動に影響を与えるホルモン様物質)の合成に使用されることはありません。
  一方の多価不飽和脂肪酸には、細胞膜の構成やエネルギーの供給源となるほかに、「酸化ストレス・炎症体質」を決定する生理活性物質の原料になるという重要な役割があります。
  最近注目されているのが、多価不飽和脂肪酸の中の「オメガー3系脂肪酸」です。シソ油(エゴマ油)、亜麻仁油の主成分であるαーリノレン酸をはじめ、青魚に含まれるEPA(エンコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などが代表です。サプリメントとしても発売されていますから、皆さんもご存知のことでしょう。
  多価不飽和脂肪酸には、このほかにもリノール酸やアラキドン酸などのオメガー6系脂肪酸のグループがあります。体内でEPAやDHAはα-リノレン酸からも合成され、アラキドン酸はリノール酸からも合成されます。このように、同じグループ内の脂肪酸は体内で必要に応じて作りかえられるのですが、オメガー6系からオメガー3系などグループを超えての合成は決して起こりません。


大切なのは「オメガ3系脂肪酸」


 一般にオメガ6系脂肪酸を摂り過ぎると「酸化ストレス・炎症体質」を形成し、逆にオメガ3系脂肪酸は「酸化ストレス・炎症体質」の形成を抑制する働きがあります。


  今日の食生活では、オメガ6系脂肪酸は摂り過ぎとなり、逆にオメガ3系脂肪酸は不足しがちです。これは近年急激に摂取量が増えた植物油に、リノール酸などのオメガ6系脂肪酸が多く含まれること、さらに私達が主食とする米をはじめ、小麦やトウモロコシ、そばなどの穀類の油分にもオメガ6系脂肪酸が多く含まれるからです(オメガ3系脂肪酸の15~30倍)。
  当然、片頭痛にならないためには、オメガ3系脂肪酸を含む食べ物を積極的にとるようお勧めするわけですが、中でもEPAやDHAを多く含む青魚が有望です。
  ただし、ここで注意しておきたいことがひとつ。青魚のうち、ブリやマグロなどの大型魚には、メチル水銀やダイオキシン類といった環境汚染有害物質を多量に含むものが多いということです。小さければ小さいほど、こうした有害物質をわずかしか含みませんから、目安としては「手先から肘までより小さな魚」であるイワシやアジ、サバなどの小型の青魚がお勧めです。
  また、オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の摂取比率は、体質改善当初は[1:1]、改善後は[2:1]が望ましく、私はシソ油(エゴマ油)や亜麻仁油を日常の食生活に取り入れることを勧めています。
  ところで、もしあなたが花粉症やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患で悩んでいるのであれば、これまで述べてきた植物油にかかわる注意事項を忠実に守るだけで、その悩みは解消に向かうことでしょう。
  片頭痛の場合には、残念ながらこれだけでは充分な改善効果を実感することはできないのですが、まずはこの植物油の問題をクリアすることが、片頭痛体質にならないための第一歩です。


  以上まとめれば、脂質には、エネルギー源になるほか、生体膜の構成成分・ホルモンや胆汁酸・ビタミンなどの原料ともなります。また、血管の保護や、免疫や炎症を調節する機能、細胞同士の情報を伝達する機能もあるのです。
  このように、脂質は生体内でとても重要な多くの役目を果たしており、良い脂質を摂取することは、健康にとってきわめて重要になります。
   「体の脂肪酸バランス」は、食べ物として摂った脂肪酸によって決まっています。すべての細胞の脂肪酸の状態が、摂取した脂肪酸によってストレートに決定してしまうのです。
  このため、必須脂肪酸、オメガ3とオメガ6の摂取バランスに問題があれば、”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。このため、痛みを誘発させるプロスタグランデンが異常に産生され、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”の原因ともなります。生理痛の原因にもなってきます。
 さらに、生体の膜(細胞膜やミトコンドリアの膜構造)を形成していることから、摂取バランスによってはミトコンドリアの機能を悪化させることになります。
 片頭痛発症の根幹となる「酸化ストレス・炎症体質」を形成させる根源になってきます。

 


 このように、脂質の摂り方は、慢性頭痛発症から、片頭痛発症に至るまでの重要な鍵を握っていることになります。これ程、重要な位置を占めています。
 脂質とくに、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスが重要になっています。
 このように、脂質の摂り方を間違えれば、治るべく片頭痛が治らなくなってくるということです。