片頭痛は”予防”がすべてです | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 前回掲載しました「片頭痛治療のてびき」でも述べていますように、片頭痛を予防するためには、日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階で、適切に対処しなくてはなりません。

 この段階を蔑ろにされれば、着実に頭痛を慢性化させ、片頭痛の遺伝素因があれば、片頭痛へと進展していくことになるからです。


 この日常的に感じる極く軽度の頭痛の原因には2つの要因があります。


   (1)「ホメオスターシスの乱れ」
   (2)前屈みの姿勢を強制される生活環境


(1)「ホメオスターシスの乱れ」


 生体リズムを無視した不規則な生活を送ったり、ストレスが重なれば「ホメオスターシス」を乱れさせ、頭痛を肇として、様々な不調を感じるようになります。
  「ホメオスターシスの三角形」を構成する、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系はホルモンと”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。この「ホメオスターシスの三角形」を乱す”さまざまな生活習慣の問題点”によって、「ホメオスターシスの三角形」に”歪み”を引き起こしてきます。


1)自律神経の関与


 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与しています。
 自律神経を司っている部分は視床下部といい、人の感情や活力を操っています。ストレスを感じるのもこの部分で、心臓をドキドキさせたり緊張させたりする働きも自律神経が担います。
 緊張は血管を収縮させて、筋肉を固くします。これは敵から身を守り戦おうとする働きです。
 ストレスは脳への刺激を通して自律神経に作用し、体に不快症状を引き起こします。
 自律神経は、戦いと安らぎという二つの役割のものがありますが、ストレスを受けると戦うためのものが優位になります。
 こうなることで、体の緊張は高まり、血行が悪くなります。
 頭痛も、緊張した筋肉と血行不良のダブルの効果で頭の血流が滞ることで起こりやすくなります。


 また、”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
 セロトニン神経は、痛みの感覚を抑制する役割を担っています。
 セロトニン神経が弱まると、些細なことで体の痛みを感じるようになります。 脳内セロトニンが低下すれば、頭痛が出現しやすくなってきます。


2)生理活性物質の関与


 ”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。


 細胞に物理的な刺激が加わった場合や炎症などはアラキドン酸が遊離するきっかけとなるため、いったんプロスタグランジンが産生され、炎症が起きると、アラキドン酸の遊離が促進され更にプロスタグランジンが産生されるという悪循環が生じることになります。
 炎症の初期にプロスタグランジンの産生をしっかりブロックすることは、痛みを悪化させないための重要なポイントです。
 プロスタグランジンの原料になるのは食物の中に含まれる脂肪です。
 このため、脂肪分の多い食事を摂りすぎますと、頭痛・痛みそのものが出現しやすくなります。


3)腸内環境の悪化


 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。


 こうしたことから、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をしない、オメガ3とオメガ6をバランスよく摂取する、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取しないように、日頃から食事を摂取する際に注意していく必要があり、運動不足にならないように、こまめに体を動かすことが大切になってきます。


 そして、生活のリズムを乱す最大の原因は「ストレス」です。


 しかし、日常生活を送る上では、ストレスはつきものです。
 ストレスにどう対応すればよいのでしょうか。ストレス回避が不可能だとすれば選択肢は2つしかありません。ストレスを解消するか、ストレス耐性を持つことです。
 ストレスに強い心と体を作るために非常に重要な神経があります。脳内のセロトニン神経です。この神経がストレス耐性を高めるカギを握っています。
   このため、セロトニンを活性化させる「セロトニン生活」が必要になります。


(2)前屈みの姿勢を強制される生活環境


 私達は、日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
 さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。現代社会はスマホ全盛の時代で、歩きスマホをされるご時世です。


 こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけることになります。

 

 ここにさらに、イスに座るとつい脚を組んでしまう、ヒールの高いクツを長時間履いている、立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている、横座りをする、立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い、いつもどちらかを下にして横向きに寝ている、または、うつ伏せになって寝ている、長時間座りっぱなしの仕事、イスやソファーに浅く座ってしまう、バックなどはいつも同じ方の肩にかける、重たいモノを持つ仕事をしている、赤ちゃんをダッコしていることが多い、などの無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎( 背骨)の歪みが生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、”脊柱の捻れ”を最終的に引き起こしてきます。
 このように、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いて(捻れて)おれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。
 これが、日常的に感じる極く軽度の頭痛です。


 このため、姿勢を正しくし、うつむきの姿勢を長時間とり続けないことが大切で、30分に1回は「首反らし運動」を取り入れることが重要になってきます。


 この2つの要因で、日常的に感じる極く軽度の頭痛が引き起こされてきます。


 私達は、このような日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、多くの方々は安易に「市販の鎮痛薬」を服用しています。
 

 このような日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、市販の鎮痛薬を服用を繰り返せばどのようになるのでしょうか。


 こうした市販の鎮痛薬すべては、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、頭痛を増強させます。すなわち、市販の鎮痛薬が原因となって後天性ミトコンドリア病を作ってくることになります。
 また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、”痛みの閾値”を下げるため痛みを感じやすくさせるために、さらに、頭痛を引き起こしてくることになります。


 このようにミトコンドリアと脳内セロトニンの2つのが関与して、市販の鎮痛薬によって、薬物乱用頭痛を引き起こし、かえって頭痛をひどくさせる原因になってきますので注意が必要です。


 このように市販の鎮痛薬を服用することで”お茶を濁して”頭痛を治していますと、先程述べたような「ホメオスターシス三角」を構成する3つの問題点が次々に追加され、さらに「体の歪み(ストレートネック)」が最終的に形成されてくることになり、さらにミトコンドリアの働きを悪化させることによって、潜在的に、「酸化ストレス・炎症体質」という病態が着実に進行してくることになります。
 

 片頭痛になる可能性のある方々には、生まれつきミトコンドリアの機能が低下しています。このためミトコンドリアの働きを悪くさせる要因を取り除く必要があり、これが行われませんと「酸化ストレス・炎症体質」を形成してきます。このような、「ミトコンドリアの働きを悪くさせる要因」は、生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食に、睡眠不足や運動不足や不規則な生活などの生活習慣が挙げられます。
 先程述べました「ホメオスターシス三角」を構成する、エイコサノイドである「生理活性物質」はオメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくなければ、バランスを崩すことになり、さらに「腸内環境が悪化」することによって、この2つの要因が「酸化ストレス・炎症体質」を形成する素地となります。


 片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとしたことで反応しやすくなることです)にあるとされます。
 「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、”日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛”から着実に”片頭痛”にまで進展していくことになります。
 「脳過敏」を来す原因は、以下の3つの要因があります。
 

     ”脳過敏”を引き起こす要因として
 

    1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
    2.脳内セロトニンの低下
    3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続

 

 以上のように、日常的に感じる極く軽度の頭痛から、難治性の頭痛へ進展していくことになります。この場合、難治性の頭痛とされる片頭痛への移行は、生まれつきミトコンドリアの機能が低下という遺伝素因があるかどうかだけの差異でしかありません。
  このようにして、ミトコンドリアの活性低下という遺伝素因を基盤として、日常的に感じる極く軽度の頭痛から、難治性の頭痛へ進展していくことになります。


 しかし、専門家は、このような日常的に感じる極く軽度の頭痛や緊張型頭痛はまったく無視され、問題にされないために、私達は市販の鎮痛薬に安易に服用せざるを得ないことになってしまいます。
 このようにすることによって、日常的に感じる極く軽度の頭痛や緊張型頭痛から片頭痛へと進展させ、あたかも片頭痛を醸成・熟成させることになります。
 このようにすることによって、製薬メーカーが潤うことになります。このことはトリプタン製薬メーカーはいうまでもありませんが・・。
 市販の鎮痛薬の市場は、トリプタン製薬メーカーとは比べものにならない程のシェアがあり、まさに限りない市場になることになります。まさに共存共栄となります。
 このようにきちんと私達は認識した上で、自分たちの身は自分で守らなくてはならないということです。
 

 これまで、専門家は片頭痛をどのようにして予防していくのかについては、発作の誘因・引き金になるものを見つけ出し、これを避けること・取り除くことといった極めて姑息的なことしか私達に勧めることはなく、根本的に何をどうすればよいのかという指導はされることはありません。
 そうなれば、専門家とは一体何なのでしょうか???

   
 詳しくは、以下をご覧下さい。


  片頭痛治療のてびき 前編
    
http://taku1902.jp/sub510.pdf


  慢性頭痛 治療の考え方・進め方 後編
    
http://taku1902.jp/sub511.pdf