西洋医学と東洋医学の考え方の相違
皆さんは、西洋医学と東洋医学の考え方の基本的な相違をご存じでしょうか。
西洋医学とは、現在の日本の医療機関で主として行われているものです。
これに対して、東洋医学とは、漢方に代表とされますが、主にカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の基本的な考え方を指しています。
西洋医学では、「健康」か「病気」かの、どちらかしかありません。
ところが、東洋医学では、健康と病気の中間にある”未病”という概念があり、この3つが連続しているものと考えています。すなわち、健康→未病→病気といったように連続していると考えることにあります。
このような”未病”とされる病態は、本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから病気へと進展するものと東洋医学では考えられています。
ということは、”未病”は、生活習慣の問題点を改善・是正(”養生”)することで、治るものとされ、治すべきものとされています。
これを頭痛に当てはめて考えてみることにしてみましょう。
頭痛を引き起こすものには大きく分けて、2つの原因があります。
二次性頭痛とは
脳の中に異常のある頭痛は、医学用語で「二次性頭痛」と呼ばれています。 この中には、クモ膜下出血や脳腫瘍や脳出血、慢性硬膜下血腫などの命にかかわる頭痛もあります。
このように、脳に異常がないかどうか見極めるために頭部CTもしくはMRIの画像検査が行われます。このようにして、命に関わる頭痛を除外しています。
このような命に関わる頭痛には、突然の頭痛、今まで経験したことがない頭痛、いつもと様子の異なる頭痛、頻度と程度が次第に増していく頭痛といったような極めて特徴があります。こういったことから、最初に画像検査を受けて心配ないと言われ、一次性頭痛(慢性頭痛)として経過をみている間に、このような特徴的な頭痛が起きないとも限りませんので、当然、このことを念頭に置かなくてはなりません。
一次性頭痛とは
これに対して、”脳のなかに異常のない頭痛”があります。医学用語では「一次性頭痛」(慢性頭痛)と呼ばれています。
これらには、「国際頭痛分類 第3版β版」では、緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛に分類されています。これらの一次性頭痛の大半(9割)は緊張型頭痛と片頭痛で占められています。
これを先程の「病気か健康か」に当てはめますと、脳神経外科領域では、一次性頭痛は「健康」であり、二次性頭痛が「病気」であることになっていました。
このように、西洋医学の立場をとる「頭痛診療」の場面では、脳のなかに異常のない一次性頭痛(慢性頭痛)は、本来なら、健康の領域にあります。
しかしながら「健康」とされている一次性頭痛の中には、各種の程度の頭痛が含まれることになっています。
日常的に感じる極く軽度の頭痛や緊張型頭痛のように、日常生活にほとんど支障のない頭痛があります。
さらに、日常生活に支障を来す程の激しい頭痛があります。例えば、片頭痛や群発頭痛です。これらにしても、片頭痛では長くても3日間、群発頭痛では、3時間ばかり、我慢に我慢をしておれば、また軽快し、また元通りに回復してきます。
ところが、薬物乱用頭痛になったり、慢性片頭痛になってしまえば、それこそ毎日毎日頭痛に苦しめられる状態に至ります。ここに至れば、果たして「健康」とは程遠い状態を意味しています。
このように考えますと、西洋医学で慢性頭痛とされる頭痛は、東洋医学でいう「未病」の範疇・領域にあるものと考えなくてはなりません。
慢性頭痛とは、頭痛という自覚症状はあるが、CTやMRIなどの画像検査では異常のないものをさしています。
このように、現在の「国際頭痛分類 第3版β版」で一次性頭痛として分類される緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛はすべて、東洋医学でいう「未病」の領域にあることを忘れてはなりません。
このように、慢性頭痛を”未病”と考えれば、日常的に感じる極く軽度の頭痛、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、薬物乱用頭痛、慢性片頭痛はすべて、連続した一連のものであり、生活習慣の問題点から引き起こされ、これによって各種の慢性頭痛に進展していくものと考えなくてはなりません。
このように考えるなら、同様に片頭痛は”未病”の領域にあり、緊張型頭痛を起点として、さまざまな生活習慣の問題点が重なることによって、「いろいろな段階の片頭痛」へと進行し、最終的に「慢性片頭痛」という難治な段階に至ると考えるのが最も理解されやすいことになります。このように進行性疾患です。
基本的に、慢性頭痛とは、
脳のなかに異常のない慢性頭痛(一次性頭痛)は、東洋医学でいう”未病”の段階にあり、すなわち健康と病気の中間に位置しており、この”未病”は本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから病気へと進展するものです。
このような意味合いから、”未病”の段階にある、慢性頭痛とは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があると考えなくてはなりません。
ミトコンドリアには生命の根源となる役割があります
「健康的な生活を送る」ためには、”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。
すなわち、ミトコンドリアは、私達の体を構成する細胞の中にあり、食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
このため「ミトコンドリア」は、健康な生活を送るための”基本”ともなるものです。
そして、私達が日中活動している際に、常時活動している神経系が「セロトニン神経系」です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分に神経核を有しています。
そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
セロトニン神経系は、”大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ”などの重要な働きをし、「健康的な生活」を送るためには欠かせない働きをしています。
そして、「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」の両者は、「体内時計」を制御・コントロールしています。体内時計は、生体リズムを刻み、「ホメオスターシス」によって維持されています。
この「ホメオスターシス」は、自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きによって、生体の恒常性機能が保たれています。これをホメオスターシス三角といいます。
この「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。
”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。
ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」引き起こしてきます。
セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「ストレートネック」を引き起こします。
私達の生活環境は活性酸素に満ち溢れており、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、脳内セロトニン低下と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。
すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
こういったことから、現代では、ストレートネックが日常茶飯事にみられるようになってきました。
私達は、日常生活を送る場面では、日常的に「前屈みの姿勢」を強いられており、このため、当然のこととして、「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしやすくなっています。
このように、ミトコンドリアは、セロトニン神経系と連動して作用し、「健康的な生活」の”鍵”を握っており、さらに生体の恒常性の維持機構(ホメオスターシス)を制御し、「体の歪み(ストレートネック)」形成に関与しています。
病気の90%は活性酸素が関与
現在、人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与しているといわれ、さらに、ほとんどの現代病である生活習慣病(動脈硬化、ガン、認知症を含めて)は、「後天性ミトコンドリア病」と考えられています。
ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に生み出されるのが活性酸素です。
「後天性ミトコンドリア病」とは、馴染みのない病名ですが、これは”ミトコンドリアの機能が低下する病気”です。
今までは、先天性の病気”遺伝的疾患”として考えられていましたが、現在は後天的な発症や、薬による副作用で発症することが証明されています。
ところで、ミトコンドリア病は大きく分けて2種類あります。先天性ミトコンドリア病と後天性ミトコンドリア病です。
先天性ミトコンドリア病は稀な病気です。これは、生まれつきミトコンドリアの働きに不具合があります。
後天性ミトコンドリア病は、ほとんどの現代病に当てはまります。
すなわち、ほとんどの現代病は、後天性ミトコンドリア病と考えられています。水や食生活、放射能汚染や環境汚染、有害物質の蔓延などや酸素不足などを原因として、後天的に発症するミトコンドリア病です。
ミトコンドリアDNAは活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。
このようにして傷つけられたミトコンドリアDNAの数が一定数を超えくるとエネルギー産生能力が低下し、後天性ミトコンドリア病が発生してくることになります。
後天性ミトコンドリア病とは、何らかの原因でミトコンドリアDNAが傷つくことによって、活性酸素で身体が”酸化”していく全身病です。
現在では、ミトコンドリアを治すものが”病気を制する!”とされています。
この事実は、医学界では何十年もタブーとされてきました。
オットー・ウォーバーグが”ワールブルグ効果”を発表した時には、この事実がわかったのですが、製薬会社や医者の利益を守る為に封印されてきました。
医学界が、この封印を解いて、この事実を公表する可能性は低いものと思われます。
これからも色々な病名をデッチ上げて、病気の根本原因をわかりにくくさせるものと思われます。
先天的に、ミトコンドリアの一部が異常をきたし、機能低下する事で起こる”ミトコンドリア病”のほとんどの患者さんには、片頭痛が存在します。
そして、片頭痛は”後天性ミトコンドリア病”と考えるべきものです。
すなわち、片頭痛はミトコンドリアの活性低下という遺伝素因をもとに、生まれてから諸々のミトコンドリアの働きを悪くする要因が追加されることによって、さらにミトコンドリアの機能を低下させることによって起きてくる頭痛です。
生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食に、睡眠不足や運動不足や不規則な生活などの生活習慣が加わって、ミトコンドリアの機能が低下してきます。
このようなミトコンドリアの機能を低下させる要因を取り除かない生活を送ることによって、「酸化ストレス・炎症体質」が形成され、ここに「脳過敏」を来す要因が次々と追加されることによって、日常的に感じる極く軽度の頭痛を出発点として、緊張型頭痛から、片頭痛へと進展していくものです。
最も、卑近な例を挙げれば、日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、市販の鎮痛薬を繰り返して服用することによって、ミトコンドリアの機能を低下させ、さらに脳内セロトニンを低下させることによって薬剤乱用頭痛を併発させてくることになります。市販の鎮痛薬という”薬剤”が原因となった後天性ミトコンドリア病を作る典型例を示していることになります。
ここにミトコンドリアの活性低下という遺伝素因があれば、当然のこととして片頭痛を発症してくるということです。
このように、片頭痛は”後天性ミトコンドリア病”と考えるべきものです。
実際、片頭痛は、これまで”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であると報告されています。
このような考え方は、以下で明らかにされていました。
Welch KMA, Ramadan NM Review article; Mitochondria, magnesium and migraine. J Neurol Sciences 134 9-14.1995.
下村登規夫、小谷和彦、村上文代:片頭痛とミトコンドリア。神経研究の進歩、46(3)391-396,2002
後藤日出夫:お医者さんにも読ませたい「片頭痛の治し方」.健康ジャーナル社 2013
このように、Welch KMA, Ramadan NM 、下村登規夫、小谷和彦、村上文代先生らによって、日本にトリプタン製剤が導入される以前の段階から明らかにされていました。当時は下村登規夫先生によって「MBT療法」が提唱され、この治療成績は9割前後の片頭痛の方々が改善に導かれるとされていました。
このような治癒率9割という治療成績を有するものはどの医学領域でもないはずです。
最近では、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は、同様の考え方で「3つの約束」を提唱され、実践された方々は片頭痛を改善されています。
このように片頭痛は慢性頭痛のなかの一つの頭痛であり、日常的に感じる極く軽度の頭痛を出発点として、様々な生活習慣の問題点が加わることによって、ミトコンドリアの働きが生まれつき悪い遺伝素因があれば、片頭痛へと進展していくものです。
ミトコンドリアの働きが生まれつき悪い遺伝素因がなければ、現在の「国際頭痛分類 第3版β版」で一次性頭痛として分類される緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛に移行していきます。ただ、群発頭痛だけは片頭痛に派生したものかもしれません。
このように、慢性頭痛はすべて一連の頭痛であり、生まれつきミトコンドリアの働きの悪さがあるかどうかで、片頭痛や群発頭痛へ、移行するかどうかが決定されます。
この詳細は、以下で明らかに致しました。
「片頭痛治療のてびき」
http://taku1902.jp/sub508.pdf