”自助グループ”の是非について その2 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 前回述べましたように、病気と、病気ではない状態とは連続しているのですが、西洋医学では病名がつかないような治療の対象にならない様々な身体の悩み、不調があります。
 この健康ではないが、 病気でもない、病気になる前の段階を東洋医学では”未病”と言う概念で捉えられてきました。
  約2000年前、前漢の医書とされる『黄帝内経(こうていだいけい)』には「上工は未病を治し、已病を治さず」(已病とは、すでに病気となってしまったもの)とあります。
 「一番腕のいい医者は病気になってから治すのではなく未病を治す」と記されています。
  逆に言えば東洋医学では、病気が現れてから治療する医者は腕が悪い事になります。
 病気も同じで、「病気になる前から治療を始めるべきだ」と言う記述もあります。
 こうした考え方をルーツに持つ東洋医学の世界では、病気になる前の「未病を治す」 ことが強調されています。
 このような”未病”とされる病態は、本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから病気へと進展するものと東洋医学では考えられています。
 ということは”養生”次第では、”未病”は治るとされています。いや治すべきであるとされています。


 皆さんが、頭痛を訴えて脳神経外科を受診されますと、CTかMRIの画像検査をされ、異常なし・心配ないと言われる”類(たぐい)”のものが「慢性頭痛」であり、脳外科医には、謂わば「正常・健康」とされているものです。
 このように考えますと、西洋医学で「慢性頭痛」とされる頭痛は、東洋医学でいう「未病」の範疇・領域にあるものと考えなくてはなりません。
 このように、現在の「国際頭痛分類第3版β版」で一次性頭痛として分類される緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛はすべて、東洋医学でいう「未病」の領域にあることを忘れてはなりません。
 本来なら、片頭痛は”未病”の領域にあり、緊張型頭痛を起点として、さまざまな生活習慣の問題点が重なることによって、「いろいろな段階の片頭痛」へと進行し、最終的に「慢性片頭痛」という難治な段階に至ると考えるのが最も理解されやすいことになります。このように進行性疾患です。


ところが、トリプタン製剤が開発されてからは・・

 

 1980 年代はじめに、片頭痛の治療領域にトリプタン製剤が開発されました。
 トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者は、1980 年代はじめにイギリスで合成されたトリプタンを意識的に評価する目的でこの「国際頭痛分類」を作成しました。
 トリプタンが医学的に薬剤として評価されるためには、一定の基準に基づいて診断された患者のなかでの治療成績を調べなくてはならないからです。
 この「国際頭痛分類」では、片頭痛の患者であっても、さまざまな条件のためにトリプタンの処方に向かない症状を示す場合には、その患者を片頭痛とは診断できないような基準をつくってしまったのです。たとえば、ほぼ毎日のように頭痛が起きる「変容性片頭痛」などは、この基準に従って診断しますと、緊張型頭痛になるように仕組まれています。


 トリプタン製剤は、片頭痛を持つ”多くの”(すべてではありません)患者さんに対して、非常に効果があります。すなわち、片頭痛の発作期間の3日間の辛い頭痛が劇的に緩和させることができるようになりました。
 こうしたことから、国際頭痛学会は、「国際頭痛分類」を作成して、慢性頭痛、とくに片頭痛の診断基準を作成し、片頭痛を厳格に定義することにより、片頭痛を見逃さないようにして、片頭痛を正確に診断して、トリプタン製剤を処方させるようにしました。
 これが、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類」です。
 片頭痛という辛い痛みで発作期間の3日間の苦しい寝込む程であったものが、トリプタン製剤によって、劇的に緩和されるようになったことから、トリプタン製剤が開発されて以来、これまで、健康の範疇にあった”片頭痛”だけが他の慢性頭痛とは切り離されて、いつの間にか、「病気」と考えられるようになりました。
 一般的には、西洋医学では、薬物療法で治療可能なものが、所謂「病気」として扱われており、その殆どは対症療法にすぎないものです。
 このようにして、辛い頭痛が緩和されたことから、これで一安心とされるようになり、一部の専門家は、辛い頭痛が緩和されることを、”片頭痛が治る”と表現され、痛みさえ緩和できれば「一件落着」とされます。


 このように、西洋医学では、症状を和らげる対症療法が主体で、病気の原因を治療することはほとんど行われません。
 西洋医学を基本とする現代医学では、治療の基本は薬物療法が基本となっています。
 これは、医学界が、製薬業界に依存する体質に根本的な原因があります。


しかし、本来、慢性頭痛は、すべて”一連の頭痛”である


 本来の「国際頭痛分類第3版β版」の目的とするところは、片頭痛を明確に定義することによって、間違いなく、片頭痛に対してトリプタン製剤を処方させるためのものです。
 このため、”片頭痛と明確に定義された”「国際頭痛分類第3版β版」の基準に合致しないものが緊張型頭痛とされ、いわば緊張型頭痛は”ゴミダメ”的な性格の強い頭痛とされ、専門家の間では、極めて”取るに足らない頭痛”とされています。このように片頭痛とは厳格に区別されなくてはならないとされ、緊張型頭痛はまったく無視されています。
「国際頭痛分類」が作成されてからは、片頭痛と緊張型頭痛は厳格に区別されるとの考え方が徹底して啓蒙されることになりました。
 それは、医師に対しては、片頭痛にトリプタン製剤を処方させるためであり、一般の方々には、片頭痛にはトリプタン製剤という”特効薬”があることを知ってもらうためです。
 しかし、片頭痛と緊張型頭痛とは、このように厳格に区別できない頭痛です。


 日常的に感じる極く軽度の頭痛から緊張型頭痛へ、さらに片頭痛へと移行していくことは、詳細に綿密に病歴聴取すれば明らかでありながら、専門家は日常診療において「問診表」を使われ、受診時の最も困っている頭痛しか問題にされないことから、慢性頭痛発症の起点ともなるはずの「日常的に感じる極く軽度の頭痛」は、まったく念頭にないことになっています。
 このように、臨床神経学の「問診に始まり、問診に終わる」という基本原則をまったく無視した病歴聴取(問診表による手抜き診療)が現実に罷り通り、病気のオンセットの重要性が全く無視されています。このようにして、最も大切とされる片頭痛を見落とすことなく診断することしか念頭にありません。
 このようなことは皆さんが「頭痛外来」を受診された際に、このような「問診表」に記入を求められて経験済みのことで、敢えて申すまでもないことです。


 本来は、このような一次性頭痛は一連の連続した”未病”の段階にあるはずのものを、専門家はまったく別個のものとして切り離して考えています。
 片頭痛だけをみても、緊張型頭痛と片頭痛、の境界領域にあるものが存在し、この2つが明確に区別できません。
 そして、現実に、”同一の”一次性頭痛(慢性頭痛)の患者さんを詳しくみてみますと、緊張型頭痛の要素、片頭痛の要素、を混在しています。


緊張型頭痛がひどくなると片頭痛になる?


 「日常的に肩こりを自覚していて,疲れたり睡眠不足になると肩から後頭部に重い感じの痛みが上がってくる。後頭部の鈍痛で終わるときもありますが,我慢していると頭全体がガンガン痛んで吐き気も出現し,ひどいと嘔吐する。ガンガン痛いときには,家族の話し声もうるさく感じて,静かな部屋で暗くして横になると少し楽になる」といった患者さんはよく遭遇します。ひどい頭痛はおそらく片頭痛と診断して問題はないでしょう。後頭部の鈍痛に関しては、緊張型頭痛と診断される場合が多いと思われます。このように緊張型頭痛で始まり、程度が強くなると拍動性の頭痛を伴うものを、オーストリアのランス Lance は緊張・血管性頭痛 tension-vascular headache と命名しました。このように一連のものです。


片頭痛が緊張型頭痛に化ける?
 

 「20 歳ころから時々片頭痛発作を起こし結婚後片頭痛発作が頻繁になるが、40 歳ころから緊張型頭痛が加わってきて、50 歳を過ぎると寝込むようなひどい頭痛発作は起こらない代わりに、だらだらと重く締め付ける感じの頭痛が続くようになった。」このような患者さんは古い分類で混合性頭痛としていた典型例です。国祭頭痛学会分類では、以前のものは片頭痛で、中年以降の頭痛は緊張型頭痛と診断されるでしょう。このようなパターンを片頭痛が加齢とともに変化したということで、米国の Mathewは変容性片頭痛という概念を提唱しています。

 ただ国祭頭痛学会分類の範疇としては現在のところ認められていません。

 一方、片頭痛の治療に市販の鎮痛薬・トリプタン製剤などを乱用していますと頭痛が発作性の型から、連日性になっていくことがあります。いわゆる薬物乱用による「慢性連日性頭痛」ですが、これも 変容した片頭痛の一種と考えられています。


片頭痛と緊張型頭痛の多くは症状は重複 


 片頭痛と緊張型頭痛の症状の多くは重複していて、個々の症状のみで診断することは困難です。たとえば、軽度~重度の頭痛、両側性および片側性の頭痛は両者に認められます。
 また、片頭痛、緊張型頭痛ともに拍動性でないことが多く、さらに、緊張型頭痛の特徴と認識されることの多い「肩こり」も多くの片頭痛で随伴しています。

 

片頭痛因子(血管症状)

 

 拍動痛
 片側性
 高度頭痛
 悪心・嘔吐


緊張型頭痛因子(筋症状)


 締め付け感
 圧迫感・頭重
 後頭部の頭痛
 肩こり

 


片頭痛の本質は「エスカレーシヨン」(Cady )


 片頭痛と診断された患者と緊張型頭痛と診断された患者の頭痛は,性状・質の差ではなく,頻度・程度の差であり,その病態は連続した「境界不明瞭な」「連続体」であると考えられています。
 片頭痛患者さんは,頭痛発作が始まったが,それほどひどくならずに済んだという経験をすることがあります。ひどくならない発作は,片頭痛の診断基準を満たさないことが多く,緊張型頭痛と診断せざるを得ませんが,これを上手に説明したものが一次性頭痛(機能性頭痛)一元論です。1回1回の片頭痛発作に注目し,スタートは同じでも、軽く済めば緊張型頭痛,エスカレートしてひどくなれば片頭痛発作になるという考え方です。


 さらに、次のような興味あるデータがあります。

 

片頭痛の”緊張型頭痛”はsmall migraine


   片頭痛
  big(true)migraine
 連続体
緊張型頭痛
      緊張型頭痛
small migraine   (脳内セロトニンの関与)

 


 ということは、片頭痛での緊張型頭痛はsmall migraine で、本格的な片頭痛はbig(true ) migraine で、これが連続しているということです。
 緊張型頭痛はこれとは別に、独立して、存在するということです。
 この差異は、「片頭痛素因」の有無で決まるとされています。
 

 片頭痛患者さんは片頭痛、片頭痛様、緊張型頭痛を経験します。各頭痛に対するスマトリプタンの効果を249 患者に対して1,576 回の中~高度頭痛について分析した結果、投与後4時間目に、すべてのタイプの頭痛においてトリプタンはプラセボに勝りました。つまり、片頭痛の前の緊張型頭痛(仮面片頭痛)にもトリプタンが有効ということになります。 症候的には緊張型頭痛でも、本態的には片頭痛small migraine ということです。
 このような結果からは、起こり始めの緊張型頭痛の段階でもトリプタン製剤が有効ということです。
 このことは、本来、「緊張型頭痛も片頭痛も一連のものである」ということを明らかにしているものと思われます。

 

 緊張型頭痛と片頭痛の基本的な相違点は、「ミトコンドリアの働きの悪さ」という”遺伝素因”を持っているかどうかだけの差でしかありません。
 


 また、群発頭痛では、経過中に片頭痛との間を行ったり来たりする方もみられ、さらに片頭痛と中間の状態にある方もおられ、どちらか区別できない場合も経験されます。
 群発頭痛は従来から体内時計の乱れから起きるとされており、体内時計はミトコンドリア、セロトニンによって制御されています。
 こうしたことから、片頭痛と群発頭痛は一連のものと考えられ、以前の国際分類では、この2つは同一の範疇の頭痛に分類されていた時期もあります。


 そして、その他の一次性頭痛のなかには、インドメタシンが有効な頭痛があります。
 絶対的に有効な頭痛としては、発作性片側頭痛、持続性片側頭痛があり、絶対的ではないが有効とされる頭痛としては、一次性穿刺様頭痛、一次性咳嗽性頭痛、一次性運動時頭痛、性行為に伴う一次性頭痛、睡眠時頭痛、貨幣状頭痛があります。
 

 インドメタシンの作用は,非ステロイド性抗炎症薬NSAIDの主作用であるシクロオキシゲナーゼ(COX)活性阻害作用にあり、これによって鎮痛効果を発揮しています。
 シクロオキシゲナーゼ(COX)はアラキドン酸を原料としてプロスタグランジンを合成します。
 しかし、シクロオキシゲナーゼ(COX)によって合成される物質はプロスタグランジン以外にもトロンボキサンA2(TXA2)という物質もあります。
 このトロンボキサンA2(TXA2)の重要な作用としては血小板凝集作用があります。つまり、血液が固まりやすくなります。
 そのため、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによってトロンボキサンA2(TXA2)の合成を抑制することができれば、血小板凝集を抑えることができます。
  このような作用機序から、今後、必須脂肪酸の摂取面から検討されるべきものです。
 このことは、片頭痛の病態と関連しているということです。


 このように、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されたことによって、本来、片頭痛は東洋医学では”未病”とされていたものが、「国際頭痛分類第3版β版」という人為的な定義づけによって、厳密に区別されるようになったことによって、個々の慢性頭痛はお互いが繋がっていたものを、この連続性を断ち切ってしまい、慢性頭痛の全体像を極めて曖昧なものとさせ、理解しにくいものにしてしまったことになります。
 ここに”落とし穴”があったことを認識しておく必要があります。

 

片頭痛は”病気”である


 現在では、トリプタン製剤で片頭痛という辛い頭痛が劇的に緩和されたことから、これまで「健康」の領域にあった片頭痛が現在では「病気」として扱われるようになっています。
 「国際頭痛分類」では、西洋医学で、健康領域に位置するはずの一次性頭痛(慢性頭痛)を明確に定義することによって、片頭痛を「謂わば、病気」として扱おうとすることが目的になっていることを忘れてはならない点です。
 このように片頭痛だけが、慢性頭痛のなかで、”特別扱い”になっていることを知っておく必要があります。このような理不尽な・自然の摂理に反した取り扱いがなされているということです。
 本来ならば、片頭痛は、東洋医学でいう「未病」の位置にあることを忘れてはなりません。そして、生活習慣の問題点から引き起こされたものです。
 このように、これまで西洋医学では、「健康」とされていた一次性頭痛(慢性頭痛)が、トリプタン製剤が開発されると同時に、こうした慢性頭痛から切り離して、片頭痛だけが「病気」として考えられるようになったということです。
 ここにトリプタン製薬メーカーの”エゴ(身勝手、利己主義)が存在していることを、私達は忘れてはなりません。このように、同じ西洋医学の範疇にありながら、片頭痛だけが”特別視”されているために、慢性頭痛のなかで片頭痛がどのような位置にあるのかを、理解しにくくする根源にもなっています。
 ここをきちんと理解しておくことが重要になります。


 以来、頭痛の専門家は、片頭痛を所謂”病気”として扱うようになり、脳神経外科で、「心配ない」と診断されても、改めて神経内科(現在では、「頭痛外来」になっています)へ受診して、”病気”として片頭痛の診断を下してもらい、トリプタン製剤という片頭痛の”特効薬”を処方してもらいましょうと啓蒙活動が大々的に行われました。このような”二重構造”になってしまいました。


このような状況をどのように考えるべきでしょうか


 このように、現在では、片頭痛は病気として考えられており、「国際頭痛分類 第3版β版」の診断基準に従って、この基準に合致するものが片頭痛と診断され、複雑化・錯綜とした片頭痛は頭痛専門医しか診断不可能とまでされ、学会を主導される方々は毎年、Headache Master School Japan (HMSJ)を開催することによって、頭痛専門医の量産を図っています。これは、一般開業医が片頭痛患者さんにトリプタン製剤を処方しないため、専門医であれば、片頭痛患者さんにトリプタン製剤を処方すると考えることにあります。
 

 問題は、東洋医学では、「一番腕のいい医者は病気になってから治すのではなく未病を治す」とされていることです。
  逆に言えば東洋医学では、病気とされる”片頭痛になって”から治療する医者は腕が悪い事になります。
 東洋医学では、片頭痛になる以前の段階で治すのが、”一番腕のいい医者”とされていることであり、「国際頭痛分類 第3版β版」の診断基準に従って片頭痛の診断を下し、ありきたりのトリプタン製剤を処方するだけでは、腕が悪い事になります。
 結局、片頭痛にまで熟成するまで待って、片頭痛になってから”トリプタン製剤を処方する”だけでは、根本的な治療にならず、誰でもできることであり専門医が行うべきことではないはずです。東洋医学的な観点からは、片頭痛に至る以前の段階から適切な指導を行って、片頭痛にまで至らしめないことで、初めて”腕のいい医者(頭痛専門医)”と持て囃されるべきもののはずです。


 このように、学会を主導される方々と東洋医学的素養のある方々との見解の相違があることを私達は知っておく必要があります。ここには雲泥の差があります。


 こうしたことから、現在のように、片頭痛を他の慢性頭痛と区別し、切り離して考えるのではなく、慢性頭痛すべてを一括して捉え、東洋医学でいう”未病”として考えることが重要になってきます。
 このように捉えて、あとは、これまで再三述べてきましたように、理論的に考えさえすれば、片頭痛が慢性頭痛のなかでどのように位置づけされるかが明確になってくるはずです。このように慢性頭痛とは何か、そして慢性頭痛の経過中にどのような生活習慣の問題点から、片頭痛へと移行しているのかを明確にしなくてはなりません。
 このようなことは、科学的根拠(エビデンス)をとやかく云々する以前の問題であり、”頭”を使って理論的に考えさえすれば自ずと明らかにされることです。
 これを、「治療指針」として、一般人に向けて提示しなくてはなりません。
 従来のような「慢性頭痛診療のガイドライン」のようなものは、正に不適切なものであり、直ちに作り替える必要があります。
 そして、私達がするべきことは、これに照らし合わせて”日常生活を送る際の生活習慣の問題点”を炙り出すことによって、後は自分で改善是正するだけのことです。
 ここには、”未病”を治す「腕のいい医者」は必要ないということです。
 このようなことは、自分で、これまでの生活習慣を振り返ってみることによって、生活習慣の問題点としてどのようなものが存在するかを自分で見つけ出すことによって、自分で改善・是正していくことです。こうしたことは、頭痛専門医と言えども決して行うことはできないことであり、専門医などは必要とはされないことになります。
 必要なものは、このような「治療指針」です。
 ただ、現在、学会が作成されるような「慢性頭痛診療のガイドライン」では、全く役に立たないことになり、作成しなおす必要があります。
 このような指針は、前回も述べたような予防医学的見地から考えられたものであり、すべて共通したものであり、「個別」には必要でないことになります。
 このように、西洋医学と東洋医学を融合し、 未病、予防と言う概念を自分の健康的なライフスタイルに取り入れる事はとても重要なことです。


  慢性頭痛治療のしおり 前編
    
http://taku1902.jp/sub506.pdf

 

  慢性頭痛治療のしおり 後編
   
http://taku1902.jp/sub507.pdf


 現在の学会を主導される方々がどうしてこのような考え方に至らないのかが、以上で理解されたはずです。東洋医学的な視点に欠けることが問題にされなくてはなりません。
 繰り返せば、「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および頭痛研究の”絶対的な基準”とされることにあります。この基準に合致しないものは、すべて否定されることになります。特に、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の拠り所とされる東洋医学的立場を無視されることから「体の歪み(ストレートネック)」は頭ごなしに否定されます。
 片頭痛の病態を”頭で考えない”ことから、生体の恒常性維持機構(ホメオスターシス)の概念もありません。
 そして、片頭痛を”遺伝的疾患”とされるものの遺伝形式がどのようになっているのかを、また”頭で考える”こともありません。
 このようなことはミトコンドリアDNAの観点から推測していけば、遺伝様式は推測されるはずです。このようにミトコンドリアに関連して考えなくてはなりません。
 少なくとも、慢性頭痛(片頭痛も含めて)東洋医学でいう”未病”の領域にあるとさえ考えれば、理論的にすべてが関連性が見いだされることになり、結論に至るはずです。
 結局、これまで自分の”頭で考える”こともなく、ただひたすらに欧米の学者の論説ばかりに気をとられ、”自分を見失っている・自分独自の考えがない”だけのことでしかありません。
 再三述べていますように、「国際頭痛分類 第3版β版」は元を正せば、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の作成したものです。このような国際基準を国際頭痛学会が作成したものであるといった思い込みで、あたかも水戸黄門の印籠のごとく振りかざして、私達無知の人間を平身低頭させてきたことにも問題があります。
 このように”自分を見失い、自分の頭で考えない”が故に、トリプタン製薬メーカーからのマインドコントロールにかけられ、これから離脱できないことになっています。


 ということで、bright-star2016の懸念されるように、孤独な戦いで挫折させてはならないということです。このことは、頭痛領域だけの問題ではなく、医学会全体の問題でもあります。こうして基本的な「未病」全般に関する「治療指針」が作成されることになれば、決して「孤独な戦いで挫折」することはなくなり、多くの方々の「健康志向」の指針となってくるはずです。
 

 このように考えれば、頭痛領域の世界は、このような広い視点も持たずに、「国際頭痛分類 第3版β版」といった極めて限られた枠内でしか考えることでしかなく、現代社会の生活習慣や生活環境を無視してきたのかがよく理解されることになります。
  少なくとも、専門家を自負する以上は、幅広い見識が求められているということに尽きるはずです。すなわち、慢性頭痛を”生命の根源”から見直さない限りは、何も進歩しないということでしかありません。