これまで、述べて参りましたように現在の学会を主導される方々は、トリプタン製剤が導入される段階から、欧米の片頭痛研究が日本より遙かに進んでいると考えていたことから、欧米の学者の論説をまったく検証もすることなく、トリプタン製剤が片頭痛という辛い頭痛が緩和できることから、それまで脳神経外科領域では、片頭痛を始めとした脳のなかに異常のない慢性頭痛は「健康」の範疇にあったものでありながら、欧米の学者の考え方に従って、片頭痛を「病気」と考えるようになりました。
このように西洋医学で「病気」とされているものは「薬物療法」で治療可能とされるものです。このように片頭痛もトリプタン製剤で辛い頭痛が緩和できるようになったことから、「病気」と考えられるように至ったということです。
このような考え方で、学会を主導される方々は、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成した「国際頭痛分類 第2版」を遵守し、「慢性頭痛診療のガイドライン」を作成し、トリプタン製剤を片頭痛治療上の第一選択薬とし、広くトリプタン製剤が片頭痛の特効薬と啓蒙活動を推進してきました。
そして、トリプタン御用学者とも称される”頭痛専門医”から、トリプタン製剤を服用しておりさえすれば、片頭痛が治るとまで豪語され、またパニック障害やうつ状態まで改善され、将来的に「頑固な耳鳴り・めまい・性格異常」、脳梗塞まで予防できると吹聴されてきました。
しかし、皆さんも経験済みのように、いくら片頭痛発作時に繰り返し・繰り返しトリプタン製剤を服用しても、幾度も幾度も発作が繰り返され、なかには片頭痛が慢性化していく方々が後を絶ちません。
このように、発作頓挫薬としてのトリプタン製剤、発作間歇期に服用される予防薬にしても、あくまでも”補助的手段”でしかなく、”対症療法”でしかないからです。
このことは、私がとやかく言うまでもなく、皆さん自身が嫌と言うほど思い知らされてきたことです。
これまで、繰り返して述べてきましたように、脳のなかに異常がないとされている慢性頭痛は、本来、東洋医学でいう”未病”の段階にある頭痛です。このような”未病”の段階にある状態は生活習慣の問題点からくるものです。
ということは、脳のなかに異常がないとされている慢性頭痛のなかの緊張型頭痛にしても片頭痛にしても”未病”の段階にあり、すべて一連の連続したものです。
脳のなかに異常のない「慢性頭痛」とは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があるということです。
「健康的な生活を送る」ためには、”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。
現代医学では、人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していると言われ、さらに、感染症以外の、ほとんどの現代病である・生活習慣の問題点から引き起こされる”生活習慣病”(動脈硬化、ガン、認知症を含めて)は、「後天性ミトコンドリア病」と考えられています。
片頭痛はミトコンドリアの活性低下という遺伝素因をもとに、生まれてから諸々のミトコンドリアの働きを悪くする要因が追加されることによって、さらにミトコンドリアの機能を低下させることによって起きてくる頭痛と考えられます。
このミトコンドリアの機能が低下することによって、「酸化ストレス・炎症体質」が形成され、ここに「脳過敏」を来す要因が次々と追加されることによって、日常的に感じる極く軽度の頭痛を出発点として、緊張型頭痛から、片頭痛へと進展していくものです。
このように、片頭痛とは生活習慣の問題点から引き起こされる頭痛です。
このため、片頭痛を改善させるためには、生活習慣の問題点を改善是正する必要があるということです。
それ以上に大切なことは、片頭痛とは、日常的に感じる極く軽度の頭痛にこのような諸々の生活習慣の問題点が加わって起きて起きてくるものですので、予防することです。
日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階から適切に対処することによって、片頭痛に移行させないようにしなくてはなりません。こういったことから、日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、市販の鎮痛薬を服用することは論外・「以ての外」ということです。
このようなことから、以下のような指針が必要とされます。
慢性頭痛治療のしおり 前編
http://taku1902.jp/sub506.pdf
慢性頭痛治療のしおり 後編
http://taku1902.jp/sub507.pdf