ミトコンドリアの機能低下”説” ??? | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 本年3月、「片頭痛のセルフケア」を出版致しました。その後出版社から、「これでよいのか 片頭痛医療 一開業医からの提言」を基にして、再度、書き改めてみてはと提言されました。
 ところが、このなかで出版社の編集者は、「ミトコンドリアの機能低下”説”」といった表現をされたことに驚愕を覚えざるを得ませんでした。その後、出版社に原稿をお送りしても、まったく”梨の礫”で、未だにコメントすらなく理解できていないようです。
  出版社の編集者の方ですら、このような「ミトコンドリアの機能低下”説”」といった表現をされる程ですから、当然のこととしてブログの読者の方々もこのように「・・説」といった考え方をされておられるのではないかと懸念しております。このため、改めて、何が言いたいのかを説明させて頂くことにしました。


 私は、「・・説」ではなく、片頭痛をどのように考えるべきかについて述べたはずでした。

 この部分が最も大切なはずでありながら、一般の方々にも理解されることはないものと思われますので、分かりやすく説明します。


 最近、話題となっているニュースをもとに説明させてもらいますと・・

 ある有名な女優さんの息子さんが、宿泊先のホテルで起こした女性従業員に対する暴行事件です。その供述によれば「犯行の動機は欲望を抑えられなかった」ということでした。
 どこの国にも法治国家として法律があります。国民は、この法律に従って、欲望を抑えなくてはならないことになっています。法律を犯せば犯罪者になってしまうことになります。

 例えていえば、「ミトコンドリアの機能低下”説”」は、頭痛研究領域では、「欲望を抑えられなかった」という”供述”に等しいものです。頭痛研究領域では、「国際頭痛分類 第3版β版」という頭痛研究の”絶対的な基準”が存在します。ということは、これに従わない考え方そのものは、「犯罪者扱い」されることになり、誰もから容認されないことになっています。

 
 これとは全く別ですが、日本の政治の世界には各種の政党が存在します。そして各政党には綱領が存在します。両極端な政党では、自民党と共産党を比較すれば理解しやすいと思います。現在は、自民党が政権を握っていますが、これが共産党に政権交代すれば、価値観が当然の如く正反対になるはずです。ということは、法律自体も変化することになるかもしれませんが、その基本には日本国憲法が存在します。いずれにしても、日本国憲法に反する政党の綱領は誰もからは容認されることはありません。

 頭痛研究領域における「国際頭痛分類 第3版β版」は「日本国憲法」にも匹敵するものとされています。この国際分類は、国際頭痛学会が作成した世界で最も権威あるものと私達は教えられてきましたが、その生い立ちをみれば、この国際分類は、1980年代はじめにイギリスで合成されたトリプタンを意識的に評価する目的で作成されたもので、とりもなおさず、欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していたものです。 
 こういったことから、頭痛研究領域では、慢性頭痛のなかの片頭痛だけが最も大切なものであり、片頭痛以外の緊張型頭痛は問題にされることはなく、片頭痛の病態研究も各種のトリプタン製剤の作用機転の面から全て行われてきました。片頭痛の発生機序もこうした論点から考察されてきました。
 これまで、2000年に日本にトリプタン製剤が導入されたことによって、トリプタン製剤が片頭痛という辛い頭痛を劇的に緩和させたことから、専ら、片頭痛の本態に関する研究は、各種のトリプタン製剤の作用機序の面から進められ、この作用機序から、その病態・本態が説明されてきました。その説明は以下のようなものです。
  基本的に、片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップしています。
  このようにして、トリプタン製剤は効力を発揮するとされてきました。
  

  詳しくは「片頭痛はなぜ起きる???」をご覧下さい。
    http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12060110439.html


 その結果、肝心要の”中枢神経系でセロトニンが減少する”理由についてはまだ謎とされます。
 片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかとされ、このような「脳過敏」を起こす原因もこれまた、不明とされます。
 そして、前兆に関連して、「大脳皮質拡延性抑制」が提唱されていますが、この「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないとされます。
 その前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状があってから前兆が起こり,さらに激しい発作が起こること,発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました。そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が持たれています。
 このような観点から病態を説明する最大の問題点は、片頭痛が慢性化する理由が、一切、見当がつかないとされていることです。


 こうした疑問点が山積していることから、片頭痛は「国際頭痛分類 第3版β版」を離れて、すなわちトリプタン製剤の作用起点とは別個に、考えなくてはならないということです。

  冒頭の女優さんの息子さんの犯行の動機のように、「欲望を抑えられなかった」といった具合に、専門家の論説そのものに”衝動的に”考え方がおかしいのではないか、と反応してしまうことになります。頭痛の専門家から言わせれば、”犯罪者”にも匹敵する考え方であり、一般の方々にはまさに容認されることのない発想・考え方そのものということです。それでは、なぜ、衝動的になってまで反応してしまうのでしょうか?


ミトコンドリアを治すものが”病気を制する!”とされています。


 この事実は、医学界では何十年もタブーとされてきました。
 オットー・ウォーバーグがワールブルグ効果(がん組織では、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化が低下し、酸素がある状態でも嫌気性解糖系でのエネルギー産生が主体である」という現象)を発表した時には、この事実がわかったのですが、製薬会社や医者の利益を守る為に封印されました。
 

 ここに、「ミトコンドリアの機能低下”説”」の原点が存在します。謂わば、製薬会社および頭痛研究者への挑戦状のようなものです。

 

 ただ単に、「ミトコンドリアの機能低下”説”」というのではなく、ミトコンドリアそのものに、人間の「健康と病気」を解明させる”鍵”が存在すると考えています。
 換言すれば、人間本来の生命の根源(慢性頭痛の本態)を探る”鍵”はミトコンドリアにあると考えています。


 現在、学会を主導される方々は、片頭痛は”不思議で・神秘的な”原因不明の”遺伝的疾患”とされています。
 ところが、現代病である生活習慣病(動脈硬化、ガン、認知症を含めて)は、後天性ミトコンドリア病と考えられています。
 そして、人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していることが明確になっています。活性酸素はミトコンドリアがエネルギーを産生する際に生み出されるものです。
 後天性ミトコンドリア病とは、馴染みのない病名ですが、これは”ミトコンドリアの機能が低下する病気”です。今までは、先天性の病気”遺伝的疾患”として考えられていましたが、現在は後天的な発症や、薬による副作用で発症することが証明されています。
 実際、片頭痛は、これまで”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であると報告されています。


 Welch KMA, Ramadan NM Review article; Mitochondria, magnesium and migraine. J Neurol Sciences 134 (1995) 9-14
 下村登規夫、小谷和彦、村上文代:片頭痛とミトコンドリア。神経研究の進歩、46(3)391-396,2002
 後藤日出夫:お医者さんにも読ませたい「片頭痛の治し方」.健康ジャーナル社 2013


 このように、日本にトリプタン製剤が導入される以前の段階から明らかにされていましたが、このような考え方が現在に至ってもなお、一切、無視されていることです。


 最も、問題とすべきことは、なぜ、全世界の医学関係者が、疾患の大半が後天性ミトコンドリア病とされているにも係わらず、頭痛研究領域だけが片頭痛を”遺伝的疾患”とされたままとなっているのかということです。単なる「ミトコンドリアの機能低下”説”」では済まされないことです。このように「後天性ミトコンドリア病」と考えさえすれば、生活習慣病そのものということであり、取りも直さず「片頭痛は予防すべき頭痛」になってきます。そうなれば、一生、トリプタン製剤を服用しなくても、くすりから解放されることになります。
 このような論点は、片頭痛を後天性ミトコンドリア病であると仮定して、従来の慢性頭痛の研究業績と照らし合わせれば、このように導き出されるはずです。このように考えれば、既に片頭痛の病態は解明し尽くされているということです。
 ということは、これまでの頭痛研究者が、先達の研究業績の”上っ面”しかみていなく、自分の”頭”で考えてこなかったことを証明しています。
 頭痛診療の重鎮とされる先生が開設されるHPの「〇〇大学」でも示されるように、極めて多数の研究論文が掲載されていますが、これらをどのように考え・組み立てていくのかというストーリイに欠けます。これはすべての頭痛研究者に言えることです。


 これとは別に、これまで脳のなかに異常のない慢性頭痛とは何か、ということが一切論議されてこなかったことです。仮に、片頭痛がミトコンドリアの機能低下によるものと考えれば、単純に、ミトコンドリアは私達の生命の根源に係わる細胞小器官です。
 前々回も述べましたように、ミトコンドリアの役割は、セロトニン神経系と連鎖して作用し、「ホメオスターシス」を制御しています。そして、体の歪み(ストレートネック)にも関与しています。このようにミトコンドリアは、これまで述べた慢性頭痛の発症に関与する3つの柱の中心的な位置を占めており、取りも直さず「生命活動」に直結していることになります。
 このように考えさえすれば、慢性頭痛とは何かが明らかになるはずです。
  私は、脳のなかに異常のない「慢性頭痛」とは「健康的な生活」を送ることができないことに根本的な原因があると考えています。


 これまで、欧米の学者の考え方・研究業績を最優先され、こうした考え方は現在でも、Headache Master School 2013 in Asia から、Headache Master School Japan(HMSJ)へと引き継がれています。


 さらに、日本の医師全般について、伊藤内科医院のブログ(伊藤欣朗先生開設)で、以下のように評価されていることを片時も忘れるべきではありません。
 

 医者はCPUのついてないコンピューター? 巨大なハードディスクはついてるけど・・


 医者について「論文を読んでいるのかもしれないが、本を読んでいない。本を読んでないので、一般人より医学知識が遅れている。学校時代から、暗記は限りなくできるが、考えることをしていない。結果的に、患者を見ず、権威、教授やガイドラインやマニュアル、に従うだけの医療になってしまう。
 日本の医学会が、欧米医学の受け売りで、いかに頭を使っていなかったか、ばれてしまいます。
 

 ミクロの世界を分析する事に重点が置かれ、重箱の隅をほじくるごとくのような枝葉末節(中心から外れた事柄)のことを追求する傾向が大きいために、患者の病気の部分しか診ない医師、その部分を薬で治せばいいと考える医師、患者の全体像を掌握できない医師 こういった「木を見て森を見ない」医師が少なくなく、今の医学研究に見られる傾向があります。
  結果、体全体をマクロで捉えられない医師が非常に増えてきていますし、これからもこのような傾向が続くと思れます。


 このことは、まさに現在の頭痛研究者を言い当てたものと考えられます。
 

  日本の頭痛研究者はなぜ、このようになってしまったのでしょうか。


 現在の学会を主導される先生方は、学会を設立される前から、片頭痛研究は日本より、欧米のほうが遙かに進んでいると考えることから、片頭痛の克服をめざす国際的組織ADITUS(トリプタン製薬メーカーのアストラ・ゼネカ社が設立)から、その情報・知識を取り入れていました。
  このような欧米崇拝主義の考えから背後に存在する問題点、日本人の特性などを考慮することなく、海外の文献的”エビデンス”にただ追随しているのが実情です。
 こうしたことから、鳥取大学神経内科グループの先生方、下村登規夫先生、松井孝嘉先生の偉大な業績がありながら、日本の業績よりも欧米の論文を無条件で評価する考え方から、それまでに欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していた「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作成されています。


Headache Master School Japan(HMSJ) 


 2013年3月には、国際頭痛学会主催でHeadache Master School 2013 in Asia が東京で行われ、世界のトップエキスパート14名(Burstein, Charles, Diener, Dodick, Ferrari, Goadsby, Gobel, Guidetti, MacGregor, Purdy, Schoenen, Schoonman, Rapoport, Zagami)が来日し、頭痛医学の最新の進歩を参加者一人一人に伝授されました。
 「学会を主導される方々が世界のトップエキスパート」とされる先生方は、いずれも”トリプタン御用学者”と称される先生方です。
 学会を主導される方々は、これが日本の頭痛診療・教育のあるべき姿を示すものと盲信され、平成25年、学会独自のHeadache Master School Japan(HMSJ)が「日本の頭痛教育プログラム」の中心として継承されることになりました。
 そして一昨年はHeadache Master School Japan(HMSJ)2015です。これは一昨年7月26日東京で開催されました。
 このように、毎年、Headache Master School Japan(HMSJ)が開催されています。本年度も、盛岡と大阪で2回にわたって行われます。
 このように欧米の学者の考え方・研究業績を最優先する考え方は、Headache Master School 2013 in Asia から、Headache Master School Japan(HMSJ)へと引き継がれています。 以後、Headache Master School Japan(HMSJ)は、毎年、学会が主催して行われ、「国際頭痛分類 第3版β版」が徹底して教え込まれ、これが頭痛診療および頭痛研究の”絶対的な基準”とされています。
 ここでは、片頭痛が後天性ミトコンドリア病といった観点から論じられることはありません。これが日本の頭痛診療・教育のあるべき姿を示すものとされていることになります。
 このため、片頭痛の本態解明には程遠いことになっています。


 そして、「国際頭痛分類第3版 β版」を、頭痛研究を行う場面で「世界共通の言語」とすべきとされます。この点は、この改訂に際して、日本頭痛学会の理事長と国際頭痛学会理事長のDr. Alan Rapoportの対談のなかで以下のように示されています。


 たとえば、日本であるタイプの頭痛の研究がなされ、米国でも同様の研究を行う場合、全く同じ症状の患者を対象に研究が行われることが理想です。共通の診断基準を用いていれば、それも可能でしょう。また、同じ基準の下で診断がなされていれば、病名を知るだけで、その患者がどのような状況にあるか理解することができます。


 少なくとも、頭痛という生身の人間が感じる訴えを論ずる自然科学の分野で、「国際頭痛分類 第3版β版」という人為的な基準を頭痛研究の”絶対的な基準”とする「不条理さ」を何ら感じない専門家がすべてであることが問題とされなくてはならないはずです。


 片頭痛は、これまでの私の説明では極めて多くの要因から発症してきていることが理解されたはずです。ところが、専門家は、「国際頭痛分類第3版 β版」から、あくまでも症状の上から片頭痛と診断された”片頭痛群”という集合体を一括して臨床研究されてきました。このような多面的・流動的な面を持つ片頭痛を一括してコーホート研究という疫学的手法で解析されていることから、科学的根拠の得られる成績は極めて少ないことになります。
 このようなことは、片頭痛だけに限らず緊張型頭痛でもいえることです。このような成績は「慢性頭痛診療のガイドライン」のなかに示される文献集でも明確に示されていることです。
 こうしたことから、臨床研究の方法論に問題があると言わざるを得ません。
  「国際頭痛分類 第3版β版」という限られた枠内だけで考えることでは自ずと限界があり、これから逸脱して頭痛研究は行われるべきです。
 これを”犯罪者”扱いとされるが故に、どなたもこのような無鉄砲なことを考え、実行に移される方はどなたもいらっしゃらないことになります。
 このようなことは、「国際頭痛分類」そのものがどのような経緯で作成されたのかを考えてみれば明らかなはずでありながら、これが”世界で最も権威ある”国際頭痛学会が作成されたものであるといって”水戸黄門の印籠”のごとく振りかざして、単純に頭痛研究者を服従させようとすることに根本的に問題があると考えなくてはなりません。このことは、私達、一般の慢性頭痛で苦しまれる方々にも言えることです。無知な私達はただ信ずるしかないのですから・・。


 これまで学会を主導される方々は、生まれて初めて経験する極く軽い頭痛から緊張型頭痛まで、これらはまさに取るに足らない頭痛として完全に無視され、このような頭痛に対する「市販の鎮痛薬」の服用を野放しにしたことによって、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、さらに「脳内セロトニン」の低下を引き起こさせる結果となり、これに様々な生活習慣の問題が加わることによって、緊張型頭痛から片頭痛へと移行させることになりました。
 このように片頭痛の起点ともなるはずの極く軽い頭痛から緊張型頭痛までも無視することによって、慢性頭痛の発症の起点を曖昧なものとさせてきました。
 このようにして、慢性頭痛の発症の起点を見失わせることにより、片頭痛を醸成・熟成させてきた根源と考えるべきものです。


 こうして考えれば、「国際頭痛分類 第3版β版」を絶対的な基準とされる方々は、どなたのために頭痛研究をされておられるのでしょうか。

 ここに私は、疑問を持っております。


 以上のことを念頭において、以下を再度、熟読頂ければと思っております。


  これでよいのか 頭痛医療 一開業医からの提言
    
http://taku1902.jp/sub469.pdf


 少なくとも、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成した 「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛研究の絶対的な基準とすることは、臨床頭痛学本来の目的には極めて不適切であり、今後”犯罪者意識”を植え付けなくするためにも止めるべきです。これが、慢性頭痛で悩める方々にとって最低の条件になるものと思っております。