片頭痛って何? これからの頭痛学 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 有史以来、片頭痛の原因は不明とされ、”遺伝的疾患”とされ、”不思議で・神秘的な頭痛”と、私達は教え込まれ、以下のように指導されてきました。


 片頭痛は、基本的には遺伝的要因によっておこる病気です。ですから、将来、遺伝レベルの治療ができるようにならない限り、完全に治しきってしまうことはできません。
 片頭痛治療薬のトリプタンが発売されたときには、『特効薬だ』などといった大げさな宣伝がされたために、完全に治ると期待した患者さんがたくさんいましたが、結果的には失望した人が多いようです。
 片頭痛は、若い時に始まり、高齢になると軽くなりますが、ほとんど一生涯つづく病気であると考えなければいけません。したがって、つねに頭痛と『同居』しながら、対応していくべきものだと考えて下さい。


 こうしたことから、頭痛の専門家からは、片頭痛の治療原則は、誘因と思われるものをできるだけ取り除くこと、それでも痛くなったら片頭痛治療薬を飲むこと、そして頻発するようであれば予防薬を飲むこと、という3つの柱(原則)から成り立っているとされています。


 これまで、2000年に日本にトリプタン製剤が導入されたことによって、トリプタン製剤が片頭痛という辛い頭痛を劇的に緩和させたことから、専ら、片頭痛の本態に関する研究は、トリプタン製剤の作用機序の面から進められ、この作用機序から、その病態・本態が説明されてきました。その説明は以下のようなものです。


 基本的に、片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップしています。
 このようにして、トリプタン製剤は効力を発揮するとされてきました。
 

 しかし,肝心要の”中枢神経系でセロトニンが減少する”理由についてはまだ謎とされます。
 片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかとされ、このような「脳過敏」を起こす原因もこれまた、不明とされます。
 そして、前兆に関連して、「大脳皮質拡延性抑制」が提唱されていますが、この「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないとされます。
 その前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状があってから前兆が起こり,さらに激しい発作が起こること,発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました。そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が持たれています。
 このような観点から病態を説明する最大の問題点は、片頭痛が慢性化する理由は、一切、見当がつかないとされていることです。


 このように疑惑だらけの説明をされてきました。


 これまで頭痛治療の世界では、各種の諸々の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”さえとれば、これで解決したと安易に考えられてきました。


 すなわち、頭痛があれば、まず市販の鎮痛薬を、これでダメなら病院での鎮痛薬NSAIDs、これで効かなければエルゴタミン製剤を、これでもかなければトリプタン製剤が勧められてきました。このように段階的に、”鎮痛薬”の服用が推奨されてきました。
 そして、最後の”砦”とされるトリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされてきました。
 トリプタン製剤は確かに鎮痛効果は優れています。しかし、これをいくら飲まれたからといって、片頭痛そのものは根本的に治ってしまうことはありません。大半の方々は、一生、トリプタン製剤のお世話にならなくなっているのが実情で、逆に、片頭痛そのものが慢性化していく方々が3割前後おられます。
 このように片頭痛が頻回に起こるようになった段階においても、発作の都度トリプタン製剤を服用するようにガイドラインに示されるため、必然的にトリプタン製剤による薬剤乱用頭痛に陥ることになります。
 こうなれば、頭痛専門医といえどもお手上げの状況になってきます。


 現在、学会を主導される方々は国際頭痛学会が作成された「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および頭痛研究の”絶対的な基準”とされ、これを遵守されなければ「頭痛専門医」の称号は得られないことになっています。 このため、頭痛診療および研究を志す場合は、「国際頭痛分類 第3版β版」を”絶対視”しなくてはならないことになっています。
 しかし、この「基準」の生い立ちをみれば、突き詰めれば「トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者」が作成したものであることから、このトリプタン製剤という”枠内”でしか片頭痛が考えられることはありません。このようなことから、先程のような諸々の問題点がありながら、どなたも異論を呈することはありません。
 謂わば、「カルト教団の教義」を彷彿とさせるものです。
 また、一方、臨床頭痛学という生身の人間が感じる”頭痛”を扱う自然科学の分野です。このような場面に、「国際頭痛分類 第3版β版」という”人為的な分類”を”絶対的な基準”とすることの異様さ・異常性に、気付かれる専門医はどなたもいません。


 そして、頭痛研究を行う場合には、「国際頭痛分類 第3版β版」で一次性頭痛と分類される緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛、その他の一次性頭痛に分けて、これを個別に別々に研究すべきとされ、一次性頭痛(慢性頭痛)をひっくるめたトータルで俯瞰するような考えをされることはありません。
 本書で明らかにしていますように、このなかの片頭痛一つとっても多くの要因が関与し、その関与する要因の比重は片頭痛患者さん個人個人さまざまなはずです。
 このような流動的・多面的な要因から発症するものを、ただ単に「国際頭痛分類 第3版β版」で片頭痛と診断した患者群で、研究されていることを意味しています。そして、必ずここにコーホート研究といった疫学的手法を用いることになります。このようなやり方をする限りは、科学的根拠のある成績が得られないことは、ズブの素人でも理解されるはずです。
 こういったことから、今後とも片頭痛の本態は明らかにされることはありません。


 学会を主導される方々が、いつまでもこのような考え方をされるため、片頭痛で現実にお悩みの方々は、自分独自で工夫され、みずから片頭痛を改善させてきました。
 なかには、このような体験談をネット上に掲載されたり、なかには「片頭痛改善マニュアル」を作成され販売される方々もおられます。
 このようなマニュアルを実践され、多くの方々の改善させた喜びの声がネット上に掲載されています。
 これとは別に、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々は独自の理論に基づいて、多くの片頭痛の方々を改善に導かれています。
 こうした方々は遙か悠久の昔から行われてきたもので、現在の学会を主導される方々の歴史が、20年前後であるとすれば比べものにならないはずでありながら、その有効性に対する評価は、ガイドラインではCランク、すなわちエビデンスに乏しいとされ、まったく評価されていません。
 最近では、リンパケアという分野も新たに生まれてきたようです。
 このように片頭痛治療に関与する分野は、日増しに範囲が拡大してきています。


 このように片頭痛治療の世界を概観してみますと、学会を主導される方々を頂点として、頭痛専門医、さらに学会員の医師集団とは、さしずめ「国際頭痛分類 第3版β版」を遵守し、「薬物療法」のみを行う集団と考えるべきかもしれません。


 専門家は、片頭痛とは一生、お付き合いすべきとされ、「片頭痛改善マニュアル」作成者は、自分たちの方法で治るとされ、カイロプラクターの方々は、自分らの施術が一番とされ、歯科医の方々は歯のかみ合わせを治せと言われます。
 このように片頭痛に関する情報はまさに世間に溢れかえっているようです。


 このような情報を私達はどのように考えるべきなのでしょうか?


 そこで、本書では、このような諸々の分野が存在し、極めて多数の方々が片頭痛を改善されている事実を直視することによって、片頭痛とは、どのように考えるべき頭痛なのかを考えてみたいと思います。


 果たして、治る頭痛なのでしょうか、それとも一生、治らないものなのでしょうか?


 問題は、各界の方々の考え方がすべて網羅できるかどうかがポイントになってきます。


 今回は、こうした「片頭痛って何か?」というテーマをもとに、これまでの考え方を整理してみることに致します。
 このように禅問答にも等しい「片頭痛って何か?」をきちんと整理した上で、自分の片頭痛を見直さない限り、片頭痛の改善は到底望めないからです。
 ただ単に、片頭痛という辛い頭痛をトリプタン製剤で緩和させるだけが、片頭痛治療のすべてでないことを理解して頂くためのものです。


  「片頭痛って何?  これからの頭痛学」
       
http://taku1902.jp/sub436.pdf


                                    目次

はじめに

第1章 ”片頭痛”とは、どのような頭痛なのでしょうか?

第2章 ミトコンドリアについて

第3章 「酸化ストレス・炎症体質」とは

第4章 ミトコンドリア機能を悪化させる要因

第5章 ミトコンドリアの役割

第6章 セロトニン神経系の重要性

第7章 片頭痛の発生機序

第8章 慢性頭痛はどのように発症するでしょうか

第9章 慢性頭痛の症状

第10章 片頭痛の本態はなぜ解明されないのでしようか

おわりに


 私のブログをご覧になられて、極く一部の記載に共感される方々が極めて多く、困惑されることが多々あります。少なくとも、「片頭痛とは何か」という全体像を把握して頂くことが最も大切なことです。

 このような単純なことを理解して頂くことを目的として、これまで「論点」を少しずつ変えて訴えております。

 片頭痛という頭痛は”機能的な頭痛”です。その要因は、極めて多面的・流動的なものです。これを理解して頂くために表現を少しずつ変えて、片頭痛の実像に迫るのが私のブログです。

 頭痛専門医のように欧米の学者の論説を、頭で考えることもなく、単純に信じ込むような考え方に相対峙して、皆さんに納得して頂けるように述べているに過ぎません。