「新・臨床頭痛学」の第13弾です | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

緊張型頭痛と片頭痛はまったく別の頭痛???


 片頭痛医療の世界にトリプタン製剤が導入された段階で、トリプタン製薬メーカーは、トリプタン製剤の販売促進目的のために、私達一般の方々に向けて、新聞・テレビ・ネットを通じて、「片頭痛の啓蒙活動」を行い、医師には、こうした「片頭痛の知識」をパンフレット・冊子にして啓蒙活動を盛んに行ってきました。
こうした啓蒙活動のなかで常に示されるのは、「片頭痛が緊張型頭痛とは明確に区別される」とされてきました。これは、医師に対しては片頭痛であれば、トリプタン製剤を処方させるためであり、一般の方々には「片頭痛であれば、片頭痛の”特効薬”がある」ということを宣伝する目的で、明確に区別していました。これが、いつしか専門家の間ですら片頭痛と緊張型頭痛は明確に区別されると”錯覚”される原因にもなっています。

 こうしたなかで、専門家が使う、「国際頭痛分類第3版 β版」の真の目的とすることは、片頭痛を明確に定義することによって”片頭痛と間違いなく診断”して、この片頭痛に対して”トリプタン製剤を処方する”ためのものです。
 このため、”片頭痛と明確に定義された”「国際頭痛分類 第3版β版」の基準に合致しないものが緊張型頭痛とされ、いわば緊張型頭痛は”ゴミダメ”的な性格の強い頭痛とされ、専門家の間では、極めて”取るに足らない頭痛”とされています。
 しかし、緊張型頭痛と片頭痛、の境界領域にあるものが存在し、この2つが明確に区別できません。
 そして、現実に、”同一の”一次性頭痛(慢性頭痛)の患者さんを詳しくみてみますと、緊張型頭痛の要素、片頭痛の要素、を混在しています。このように考えれば、緊張型頭痛、片頭痛、も一連の連続したものと考えるのが当然と思われ、こうしたことから、「機能性頭痛一元論」という考え方をされる頭痛の専門家もおられることを忘れてはなりません。

 単純に言えば、”生活に支障を来せば”片頭痛であり、”生活に支障がなければ”緊張型頭痛であり、この両者は連続したものであり、そして、緊張型頭痛であれ片頭痛であれ、共通した病態が存在しているということです。


 以上のように、緊張型頭痛と片頭痛が別の頭痛であるといった考え方は、2000年に、日本にトリプタン製剤が導入された時点で、トリプタン製薬メーカーが、洗脳した”愚かな”専門医を介して、大々的にあたかも片頭痛と緊張型頭痛が”全く別の頭痛”と啓蒙活動を行ってきたことにその由来があります。
 現在では、ネット上では、片頭痛と緊張型頭痛が全く別の頭痛とされるのが一般常識とされます。こうしたことは、専門医にまで波及させるほど徹底しています。こうしたことから、片頭痛が緊張型頭痛と連続したものでありながら、片頭痛と緊張型頭痛は全く別の頭痛であるとの考え方が専門家のなかまで浸透し、片頭痛と緊張型頭痛は全く別の頭痛であるとの”神話”を作り上げてしまったことを忘れてはなりません。
 このようにして、慢性頭痛の起点ともなる緊張型頭痛を取るに足らない頭痛と考えさせることによって、片頭痛の病態解明を”闇へと葬むる”ことにしてしまいました。

 片頭痛と緊張型頭痛が全く別の頭痛といった論点は、あくまでもトリプタン製薬メーカーの論理であり、慢性頭痛とくに片頭痛の本態解明を阻害してきた最大の原因があると考えなくてはなりません。このような事実を専門家ですら認識できていないことが、まさに憂うべきこととしか言えないはずです。

 こういった緊張型頭痛と片頭痛はまったく別物なのかどうかを、慢性頭痛の発症過程から考えてみました。
 このような緊張型頭痛と片頭痛がまったく別の範疇の頭痛なのかどうかは、現実に、片頭痛発作が起きた際に、これが緊張型頭痛なのか片頭痛なのかの判断を自分自身でする必要があり、いつも医師が区別してくれる訳ではありませんので、どのような関係にあるのかを明確にしておく必要があります。


今回は、以下のファイルです。


第13章 慢性頭痛の症候学
http://taku1902.jp/sub380.pdf