「慢性頭痛診療ガイドライン」をいかにして普及させるか???? | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 昨日は、学会を主導される方々は、今後、いかにして「慢性頭痛診療のガイドライン」を普及させるかを考えておられるかについて述べました。


 片頭痛治療を行う場面で、これまで言われてきたことは「これまでの、生活習慣の見直し」です。単純に表現すれば、「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、リラックスすること」です。このような単純なことです。これで発作は、完璧に抑制されてきました。

 そして、神経内科関係の専門医は、「片頭痛のセルフケアー自己管理」の重要性を指摘され、これを徹底すべきとされ、完璧に行う限り9割の方々の片頭痛はコントロールされると言われます。

 さらに、片頭痛の名医とされる方々は、個々の患者さんのこれまでの生活習慣の問題点を病歴の上から把握することによって、この問題点の是正を指導され、片頭痛の改善に努めてこられました。

 こうした事実は、片頭痛が”多因子遺伝”によるもの即ち”生活習慣病”そのものであることを如実に示しているはずです。


 片頭痛はミトコンドリアの働きの悪さによって引き起こされる頭痛です。ミトコンドリアの働きが悪ければ、当然のこととして同時にセロトニン神経系の機能も悪くなってきます。ここに生活習慣および食生活の問題点が関与して「脳内セロトニンの低下」が起きてきます。この「ミトコンドリアの働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」が存在すれば、「体の歪み(ストレートネック)」が引き起こされることになります。
 生活習慣の改善の目標は、「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、リラックスすること」です。
 規則正しい生活とは、生まれつき体に備わっている生体リズムに沿った生活という意味で、最も自然で健康的な生活と言えます。
 ストレスは「ホメオスターシスの三角」を乱すことになります。この「ホメオスターシスの三角」には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。
 食事をバランスよく摂ることは、ミトコンドリアがエネルギー産生を行うためと、脳内セロトニン産生を行うために必須の条件になります。
 睡眠を十分にとることは、日中に傷ついたミトコンドリアの修復に不可欠であり、早寝・早起きはセロトニン神経の活性化に大切になります。
 姿勢を正しくすることは、背筋を伸ばすことでミトコンドリアを活性化させます。
 リラックスすることは、自律神経を調整するために必要で、ストレス耐性の体づくりにはセロトニン活性化が不可欠となってきます。

 
 結局、生活指導の根幹は、ミトコンドリアを活性化(元気づける)させ、脳内セロトニンを如何にして増やし、体の歪み(ストレートネック)を是正し、「ホメオスターシスの三角」を乱れを正すことにあります。「ホメオスターシスの三角」を乱れを正すためには、自律神経を整え、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスに配慮し、腸内環境を整えることが必須となってきます。


 このように、慢性頭痛の基本的な病態は3つにあります。


   1.「ホメオスターシスの乱れ」
  2.「体の歪み(ストレートネック)」
  3.ミトコンドリアと脳内セロトニン


 片頭痛の場合、遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在することから、同時にセロトニン神経系の機能低下から脳内セロトニンの低下がもたらされることになります。
 片頭痛の患者さんでは、ミトコンドリアの働きを悪くし、セロトニン神経を弱らせる要因の影響を緊張型頭痛の場合以上に、とくに受けやすいことになります。

 このような基本的な病態を念頭に置いた生活指導が求められ、片頭痛治療の根幹ともなるものです。これなくしては、片頭痛は改善されることはありません。


 従来、頭痛の専門家からは、片頭痛の治療原則は、誘因と思われるものをできるだけ取り除くこと、それでも痛くなったら片頭痛治療薬を飲むこと、そして頻発するようであれば予防薬を飲むこと、という3つの柱(原則)から成り立っているとされています。
 トリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされてきました。基本的に、片頭痛発作時には、脳内セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っている脳内セロトニンをバックアップしているだけです。「脳内セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下」は、あくまでもミトコンドリアの機能低下に生活習慣の問題点が加わることによって引き起こされた結果に過ぎません。トリプタン製剤で痛みを無くしても、「ミトコンドリアの機能低下」状態は厳然として存在しています。
 片頭痛発症の根幹には「酸化ストレス・炎症体質」というものが存在し、このために、活性酸素や遊離脂肪酸が過剰に産生されやすく、このため血小板凝集が引き起こされ、これが引き金となって血小板から”生理活性物質”であるセロトニンが放出されることによって、片頭痛発作につながっていきます。
 現在では、このように、神経伝達物質である「脳内セロトニン」の低下を補填するためにのみ片頭痛治療の主眼が置かれ、トリプタン製剤が第一選択薬とされています。
 しかし、トリプタン製剤によって痛みを抑制していますと、根幹にある「酸化ストレス・炎症体質」はさらに増悪してくることになり、慢性化に繋がってきます。
 片頭痛の予防薬として最初から開発されたものは塩酸ロメリジンだけで、他の予防薬は、片頭痛以外の病気で使用されていた薬剤で、こうした薬剤を使っていた人がたまたま片頭痛を持っていて、服用中に偶然、発作回数が減ったことから、その予防効果が確認された薬剤ばかりです。このため薬効の確かなものは何一つないのが実情です。そしてその効果も発作の程度・頻度をわずか減少させるだけでしかありません。


 片頭痛を防ぐには、その「誘因(引き金・トリガー)」を探し出しそれを除去するために必要ということから、これまで「片頭痛の治療原則」として、まず第一にすべきことが「誘因探し」とされてきました。
 そして、専門家が行う「生活上の注意」は以下のようなものです。その大半は、片頭痛の誘因を避けるといったお粗末なもので、これでは片頭痛が治ることはあり得ません。


①騒音に過敏性のある方は、ガード下やゲームセンターなどの騒音環境や人混みを避ける。
② 光への過敏性のある方は、明るい日差しや照明を避け、パソコンの輝度を和らげる。偏光サングラス装着も考慮する。
③タバコや香水のにおいへの過敏のある方は、においの淀んでいるような場所を避けたり、周りの喫煙者に配慮してもらう。
④激しい運動で誘発されやすい方は、もちろんそのような運動を避けるべきですが、運動不足にならないようにストレッチやラジオ体操、速足散歩などを心がける。
⑤乗物酔いし易い方は、し易い乗物を避けるか乗車時に席位置への配慮や遠方を見るなどの対策をする。
⑥寝不足や寝過ぎを避け、就寝時刻や睡眠時間を適量一定に保つ。
⑦気候の変動に注意し、室内や衣服内環境を整える。合わない気象時の外出を控える。
⑧月経前に決まって起きるような方は、医師と相談して短期間の予防治療を取り入れる。
⑨アルコールで誘発される方は、控えるべきですが、チーズやチョコレートなどの食物は誘発されたことがなければ、神経質になることはありません。
⑩精神的ストレスは避けにくいものですが、ストレスがゆるんだときに起こりやすいので、休日などでも⑥を含め、生活時間の一定化を図る。
⑪片頭痛発作を含む多くの因子が肩こりを来しやすく、肩こりが緊張型頭痛と共に片頭痛発作も引き起こしやすいので、肩こりの誘因(悪い姿勢、眼精疲労、寒冷・冷気、虫歯・歯肉炎、腰痛など)排除や肩こり対策(肩回し体操や速歩散歩などの適度の運動、温湿布の利用、入浴)を日頃から心がけておく。但し、首の細い部分へのカイロプラクティックやマッサージは脳血管障害のリスクがあるので避けること。


 このような極めて姑息的な指導しかされることはありません。


 片頭痛治療は、「生活習慣の改善」がすべてです。それも食生活の注意が大きな比重を占め、食生活の改善なしには、片頭痛改善はあり得ないほど重要です。
 これに、運動療法が付け加えられ、さらに「日常の生活指導」があります。このなかには、「体の歪み(ストレートネック)」を形成させない注意・「セロトニン生活」が重要になってきます。
 この指導の目的とすることは、ミトコンドリアの働きを悪くさせない・改善させることです。さらに「脳内セロトニン」をいかに低下させず・増やすことに主眼が置かれています。


 このように、片頭痛治療は、「生活習慣の改善」がすべてです。こうしたことから、経験豊富な先生方は、日常診療において、必ず、「生活習慣の改善」の指導が行われています。


 しかし、昨日も述べましたように、学会を主導される方々は、今後、いかにして「慢性頭痛診療のガイドライン」を普及させるかを考えておられます。
 ところが、この「慢性頭痛診療のガイドライン」では、こうした「生活習慣の改善」についての記載が全く存在しません。贔屓目にみれば、このような当然のこととして、省かれたとも言えるかもしれません。偉い専門医の方々は診察時に「生活習慣の改善」されるかもしれません。しかし、日本全国各地にこうした偉い専門医は均等には配置されていません。
 地域によっては、このような専門医は全く存在しないこともあります。

 私の診療地域では専門医はまったく存在しません。そうなるとどのようになるのでしょうか?
 頭痛診療を担当される方々は、この「慢性頭痛診療のガイドライン」を診療指針とされます。ガイドラインに記載がないことから、「生活習慣の改善」を指導されることは全くありません。精々、先程の「生活上の注意」といった片頭痛の誘因を避けるといったお粗末なものしかされないことになります。発作時のトリプタン製剤にしても、鎮痛薬に過ぎないものであり、予防薬に至っては薬効の極めてあやふやなものばかりで、わずか発作の頻度・程度を軽減させるものでしかありません。このため片頭痛患者さんは年季がはいるに連れて、発作頻度も程度も増悪してくる運命にあります。
 このような「慢性頭痛診療のガイドライン」の普及に躍起になっているということです。 このような馬鹿げたことを推進されようとしています。

 こうしたガイドラインの弊害はまったく考慮されることはありません。


 本来であれば、「慢性頭痛診療のガイドライン」の真っ先のトップに片頭痛治療の根幹となるはずの「生活習慣の改善」の内容が記載されなくてはなりません。そして、トリプタン製剤や予防薬は、あくまでも補助的な薬剤としての価値しかないはずです。このような本末転倒したものが「慢性頭痛診療のガイドライン」なのです。
 こうした「慢性頭痛診療のガイドライン」を基に現在の頭痛診療が行われているということを、私達、慢性頭痛で悩まれる方々は認識しておく必要があるということです。
 このようなことに何時まで経っても気がつくことなく、学会とはお祭り騒ぎでしかないようです。
 このことは、片頭痛の遺伝形式が、果たして単一遺伝子による優性遺伝なのか、”多因子遺伝”なのかといった基本的なことが蔑ろにされていることであり、このようなことは大半の片頭痛患者さんの先程述べたような現実の臨床実態をみれば分かるはずのものです。しかし、こうしたことにはまったく無関心のようです。