”アダナ”のついた頭痛って何??? | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 有名なものは、ポニーテイル頭痛、アイスピック頭痛、飛行機頭痛、目覚まし頭痛、といったところでしょうか? 愛称のある名前がつけられています。
 これまでも、以前には述べましたが・・



ポニーテイル頭痛


ポニーテールにすると頭が痛くなるの??


 ホントのことです。そして、頭痛の専門家が使う「国際頭痛分類 第3版β版」にもちゃんと、以下のように記載されています。


頭蓋外からの牽引による頭痛

以前に使用された用語

 ポニーテール頭痛 ( ponytail headache )

 頭蓋軟部組織周囲の頭皮に障害がなく,牽引により起こる頭痛。

診断基準

A.B~Dを満たす頭痛が2回以上ある
B.頭皮に頭蓋外からの牽引が及んでいる間にの
  み誘発されて起こる
C.牽引部位で痛みが最大
D.牽引が解除されたあと1時間以内に消失
E.ほかに最適な 「国際頭痛分類 第3版 β版」の診断がない

 頭痛の持続時間は,頭蓋外からの牽引が及ぶ程度と時間によって変化する。頭痛は,牽引の部位で最大であるが,頭部の他の領域に及ぶことがよくある。

 このように定義されています。


ポニーテール頭痛
 
 ポニーテール頭痛とはポニーテールをした時に起こる頭痛で「ポニーテール症候群」と呼ぶこともあります。ポニーテール頭痛はポニーテールだけでなく頭の上で髪をお団子にするヘアスタイルで頭痛があるときも含みます。
 ポニーテールは頭の上の方で髪を束ねることで頭皮を一箇所に引っぱります。頭皮が引っ張られることで筋肉が無理に固まり血流が悪くなります。
 また頭皮の神経も圧迫するためそれを痛みと感じ頭痛が起こります。
 ポニーテールは髪の生え方に逆らって髪を結びます。これも頭皮にさらに負荷をかけるためポニーテール頭痛の原因になります。
 そして髪の毛を束ねると重さも一点に加わることになります。髪の毛は結構重たいですから分散されていた重さが一点に集中することで頭のバランスを保とうとして頭や首、肩の筋肉を緊張させます。筋肉にかかる負荷のバランスも崩れます。
 ポニーテール頭痛はこのような血流悪化と筋肉の緊張、神経の圧迫が原因です。

 従来、頭痛専門医の間では、ポニーテイルにすることによって頭皮に絶えず刺激が加わることによって、三叉神経を介して三叉神経核に絶えず刺激が送られることによって、これが片頭痛の誘発因子になると主張される方々もおられるようです。


でも楽だし、可愛い!なんとかならないの?


少しゆるめに下の方に結ぶ

 髪を頭頂付近で束ねると後頭部の髪の毛は生え方に逆らって生え際が引き上げられます。 頭皮に負担をかける結び方になりますので、髪を束ねる時は毛の流れにあまり逆らわないよう下の方で結ぶというのもポニーテール頭痛の対処方法になります。
 ポニーテールという髪型自体が頭皮に負担を与える髪型であることは間違いありません。 しかし年齢を重ねると頭皮のハリがなくなってくるため、髪を頭頂で結ぶ髪型は頭痛が起こりやすくなると思います。


 このようなポニーテイル頭痛を考える際に、最低限考慮すべきことは「アイスクリーム頭痛」と同様に、これを生じる前の謂わば”準備状態”の存在を念頭に置くべきです。

 すなわち、片頭痛の基本的病態には以下のようなものが存在します。


  まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
 そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
 その”環境因子”として、以下の6項目があります。

  1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
  2.免疫(腸内環境)の関与
  3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
  4.体の歪み(ストレートネック)の関与
  5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
  6.ミトコンドリアの関与



 このような”環境因子”があらかじめ存在した上で、ポニーテイル頭痛が加わって片頭痛の誘発因子となりうるものと考えるべきです。ということは、「ポニーテイル頭痛」単独では、片頭痛の誘発因子(トリガー)とは成り得ないものです。

 このように、多面的に捉えるべきであり、片頭痛には三叉神経を刺激するものは全てよくなく、頭皮、首、肩の筋肉を緊張させる要素もよくないということです。



飛行機頭痛


 飛行機に乗って着陸態勢に入るために急激に高度を下げ始めた時から着陸時までの間に眼の奥、こめかみ、眉間の辺りに刺すような痛みを起こしてきます。
初めて経験したときは本当に、頭の中や目の血管が切れているんじゃないかと思うほどの痛みです。鼻の中の上の方では何かピキピキと鳴っているのが聞こえてくるし、とてつもない激痛は襲ってくるし、痛さのあまり目からは涙がながれてくるし・・・
 この症状のことを、「飛行機頭痛」と言います。
 飛行中の客室内は、与圧されているとはいえ0・7~0・8気圧に低下します。さらに、低湿度、振動、騒音など、様々な環境の変化にさらされます。感冒や副鼻腔炎(蓄膿症)にかかっていると、副鼻腔と鼻腔との交通が遮断され、気圧の低下で副鼻腔内の空気が膨張します。すると副鼻腔の粘膜が刺激され、前額部や頬にずきずきする激しい痛みが起こります。このような頭痛は「飛行機頭痛」です。
 航空機は、通常9000~12000メートルの高さを飛行します。上空は気圧が低いため機内は気圧調整され、0.7~ 0.8気圧程度になっています。したがって離陸時の15~30分間に0.2 ~ 0.3気圧が下降し、着陸時の15~30分間に0.2 ~ 0.3気圧が上昇するという環境の変化になります。
 旅客機は燃料の節約と、高速を維持するため空気の薄い1万メートル以上の高度で巡航しています。その高度では低い気圧と薄い酸素のために人間は耐えられませんので、室内は密閉し「与圧」で気圧を上げてあるのですが、それでも高度3000m程の気圧です。もし地上と同じ1気圧に調整してしまうと、機体が金属で出来ていようと膨張し、着陸時には収縮し、それを繰り返すことで金属疲労により機体の設計よりはるかに短い時間で亀裂が発生し空中分解してしまいます。そこで人間には不快でなく、機体への負荷も少なくなる0.7気圧程度の与圧にするということになっています。

 それでは、気圧が低くなるとどんなことが起きるでしょうか。


 飛行機に乗る時未開封のポテトチップスを持っていますと、その袋は中身が壊れないよう少し窒素で膨らませてあるのですが、上空では機内の気圧が下がる為に未開封のままだとこの袋がパンパンになります。飛行機が上昇し気圧が下がると袋はパンパンに膨れます。 同じようなことが、ペットボトルでも経験されます。つまり、閉鎖腔は気圧が下がると膨らみます。逆に気圧が上がると潰れます。そして人間の体にも同じことが起きています。
 気圧の変化による副鼻腔の異常が頭痛を惹起するという考えです。降下時に、機内で急激な気圧上昇がおこり、このために 気圧の変化による副鼻腔損傷が生じると考えられています。
 つまり、閉塞された副鼻腔内の圧は、比較的低く保たれ、降下時に機内の気圧の相対的な上昇に伴い、内向きにvacuum effect(“the squeeze”)が生じ、このために、副鼻腔内の組織に 影響を与え、痛みが出現するという考え方です。
 通常は、副鼻腔と外気は交通していて、こういうことが起きないように、ある動き (唾をのみこむ、欠伸をする、耳抜き)をしています。
 子供さんは降下し始めに泣き始めることが多いようです。こんな時には、乗務員が急いでジュースを持って来て子供に飲ませています。大人は欠伸をしたり、唾をのみこんだり、耳抜きをしたり、耳管を開放することができます。子供は難しいのでジュースを飲ませて、飲み込む動作で耳管を開放させているのだと思います。

 プロペラ機ではジェット機よりも低い高度を飛行し、圧の変化も小さいようです。

 副鼻腔炎や中耳炎を患っている場合は、特に上記の状態が起こりやすいと考えられ、そういった疾患は 前もって治療しておきます。風邪などで鼻炎、鼻つまりも同様と考えられます。嚥下運動や耳抜きなどで副鼻腔や中耳内の圧を機内の圧と一緒に保てるようにします。具体的には、唾を飲み込む、アメをなめる、欠伸をする、このような所作により耳管が開放されます。耳抜きはいい方法ですが、あまり強くやりすぎるのはいけません。 かなりの確率で、激痛発作が来ることが予想される場合には、ロルフェナミンなど鎮痛剤を 離陸する前に内服し上空で薬剤の有効濃度がすでに到達するように工夫し、さらに痛みが来た場合には 追加することなどが有効ではないかと考えています。
 未だ不明な点が多く、純粋な飛行機頭痛の治療&予防が研究・開発されることが待たれます。


 片頭痛は、飛行機旅行で惹起されることがあります。

 これまで私の医院で85人の片頭痛患者を調べたところ、8%で飛行機旅行中に片頭痛の出現を認めています。これは、飛行機による影響も考えられるし、旅行という特殊な状況 (睡眠不足とからストレス)などの影響も考えられます。 →片頭痛を持った人は、飛行機に乗ると片頭痛が生じやすいことを示しています。


 片頭痛は、三叉神経核が刺激されることによって生じます。
 この三叉神経核を刺激するものが飛行機に乗ることで気圧の変化により、副鼻腔が膨張することで三叉神経末梢が刺激され、片頭痛を誘発することになります。


 しかし、基本的には、片頭痛は以下のように考えるべきものです


  まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
 そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
 その”環境因子”として、以下の6項目があります。

  1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
  2.免疫(腸内環境)の関与
  3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
  4.体の歪み(ストレートネック)の関与
  5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
  6.ミトコンドリアの関与


 このような6つの環境因子のうちの幾つかが存在するところに、飛行機に乗った影響が追加され、発作に繋がっていくものと考えるべきです。



アイスピック頭痛


 アイスピック頭痛とは、その名前の通り、頭をアイスピックで力一杯、ガチガチと突き刺さしたような鋭い痛みの頭痛のことです。
 これが数分置きにやってくるのですから、たまりません。一歩歩くとズキッ。ニ歩歩くとズキッ。その痛みのせいで、背筋が瞬間的にピンと真直ぐに伸びます。こんな状態が約1週間も続くのです。もう、頭を取り外してしまいたいほどの衝動に駆られます。


 これも以前、記事にしました。詳しくは以下をご覧下さい。


   ”アイスピック頭痛”って何???
     http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12047508477.html


 このアイスピック頭痛には、基本的に「体の歪み(ストレートネック)」が存在するものと考えられます。



目覚まし時計頭痛


 目覚まし時計のように毎日決まった時間に頭痛が起きるために眠りから覚まされ、頭痛が目覚まし時計の代わりになるため、このような名称が付けれています。


 これも、以前記事にしました。詳しくは以下をご覧下さい。


  「目覚まし時計頭痛」って何???
    http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12047908855.html


 この頭痛の意義は、日常起きる何でもないと思われる軽い頭痛に対して、市販の鎮痛薬を頻繁に服用していますと、片頭痛へと移行し、それでも市販の鎮痛薬で対処していますと、この「目覚まし時計頭痛」という睡眠時頭痛を引き起こしてきます。この「睡眠時頭痛」は症候学的には「群発頭痛」そのものを意味しています。
 市販の鎮痛薬を頻繁に服用していますと、こうした市販の鎮痛薬は、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせます。
 また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、痛みの閾値を下げるため痛みを感じやすくさせるために、薬剤乱用頭痛を引き起こしてくることになります。このように「ミトコンドリア働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」2つのが引き起こされてきます。これが根本的な原因となっています。
 市販の鎮痛薬を頻回に服用することによって、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、これが「セロトニン神経系」の機能まで悪くさせ、さらにこの上、”残業や徹夜も多く、不規則な生活を送っていたこと”から、セロトニン神経系の働きを減弱させ、益々、「脳内セロトニン低下」を来したと考えるべきです。このため、片頭痛が増悪するに至ったわけです。
 このように、ミトコンドリアと脳内セロトニンが関与し、この両者は「体内時計」に関与し、体内時計の乱れを生じてきます。従来より、群発頭痛は「体内時計」の乱れから引き起こされるとされています。このように示唆的な頭痛と考えるべきです。



貨幣状頭痛


 10円ハゲは、10円玉くらいの大きさの円形脱毛症のことですが、10円玉くらいの頭皮が痛む変わった頭痛があります。これは10円頭痛とは言わず、正式名称は貨幣状頭痛 (Nummular headache)といいます。比較的珍しい頭痛ですが、受診していない潜在患者は多数いると思われます。


 これについても、以前記事に致しました。詳しくは以下をご覧下さい。


  その他の一次性頭痛 6 貨幣状頭痛
   http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11975844860.html


 貨幣状頭痛の病態は現段階ではまったく不明で、まさに”不思議で・神秘的な頭痛ですが、緊張型頭痛や片頭痛と同時に存在するものがあることから、慢性頭痛全体に共通する病態が存在するのではないかと思っております。




 以上のような愛称のつけられた慢性頭痛だけをみても、個々の頭痛を単に、症候学的に「国際頭痛分類 第3版β版」の診断基準に従って、区別して診断するのではなく、慢性頭痛とは、どういった頭痛なのかという根源的な意味合いから論ずるべきです。


 すなわち、慢性頭痛の病態とは、以下のようなものが根源的に存在します。


  まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
 そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
 その”環境因子”として、以下の6項目があります。

  1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
  2.免疫(腸内環境)の関与
  3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
  4.体の歪み(ストレートネック)の関与
  5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
  6.ミトコンドリアの関与


  このような立場から、慢性頭痛に関する「臨床頭痛学」は構築されるべきです。