活性酸素って何??? | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 酸素は地球上のほとんどの動物にとっては、なくては生きていけない大切なものです。 しかしその酸素が呼吸によって体内に取り入れられると、その一部が「活性酸素」といわれる不安定な状態になり、近くの物質と結びつこうとします。物質が酸素と結びつくことを”酸化”といいますが、鉄がさびたり、空気に触れたりんごの切り口が茶色になったり、あるいは雨ざらしのゴムホースがぼろぼろになったりするように、活性酸素が体の中でさまざまな「さび」の状態を作るのです。
 活性酸素が過剰になると、物質が酸化によってぼろぼろに壊れてしまうのと同じ現象が、人体の中でも起こってきます。その結果、片頭痛、がん、動脈硬化、脳梗塞、心疾患、糖尿病、白内障などの生活習慣病を引き起こしてきます。また、活性酸素はしみやしわなどの原因になり、老化の最大の原因であることも分かってきました。
 現在の研究では、活性酸素は全疾患の90%以上に何らかの形で関っていると言われています。片頭痛も同じように、この活性酸素が関係しています。
 この活性酸素はミトコンドリアと切っても切れない関係にあります。
 活性酸素とはミトコンドリアがエネルギーを作り出す際に生み出されるものです。
片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。活性酸素はミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に作られてくるものなのです。
 細胞内小器官である「ミトコンドリア」は私達に生きるエネルギーを与えてくれますが、反面、活性酸素を最も多く発生する細胞内小器官でもあります。
 ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。


身の回りは活性酸素を生み出す要因だらけ


 実は活性酸素は、私たちが生きていく上で、どうしても発生してしまうものなのです。
 私たちが体に酸素を取り込み、消費する過程で活性酸素は自動的につくり出されます。 激しい運動をしているときはもちろんのこと、仕事や家事などをして普通に生活しているときも、くつろいでいるときや眠っているときも発生するのです。
 私たちは生きている限り活性酸素から逃れることはできません。
 太古、地球の生物が酸素を体に取り込んで生きるようになったときからの、宿命といえるかもしれません。
 もちろん活性酸素が体の中で増える一方だと、人間はたちまち死んでしまいます。
 そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
 ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、病気や老化が起きるのです。大量発生のきっかけにはさまざまなものがあります。
 体が傷を受けたり、ウイルスが侵入したときもそうですし、太陽光線も原因になります。
 これらは昔から、私たちの体に活性酸素を発生させる原因になってきました。
 その上、現在では、更に活性酸素を発生させる原因が増えています。
 それが食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質であり、大気中の有害物質や放射線などです。これらの原因は、昔にはなかったものです。
 豊富な栄養をとっているにもかかわらず、現代人に病気が多いのは、このことが原因ではないかと言われています。
 ウイルスや細菌は、病気を引き起こす元凶ですが、これも活性酸素発生の原因になります。これらの外敵が入ってくると、白血球が出動してきて外敵を殺そうとします。
 このときの武器が活性酸素なのです。白血球が敵の数に合わせて、びったり適量の活性酸素しか出さなければいいのですが、白血球は外敵を確実にやっつけるために必要量を上回る活性酸素をつくってしまいます。その余分な活性酸素が、まわりの細胞まで傷つけてしまうのです。体にとっての異物は、ウイルスや細菌ばかりではありません。
 実は、病気を治すために飲む薬や、空気中に存在する有害物質、そして食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質も、体にとっては異物なのです。
 このなかには、当然のこととして頭痛薬として使用される市販の鎮痛薬、非ステロイド性鎮痛薬、エルゴタミン製剤、さらにトリプタン製剤も含まれています。
 これらのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理解してしまうのです。
 そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。
 このように特に、現代の科学や文化の発達が生んだ数々の人工的な要因が、私たちを更にむしばんでいることが伺えます。
 薬や食品添加物の氾濫、農薬の普及、排ガスによる大気の汚染、水の汚染、原子力の利用による放射線被爆、電気製品による電磁波・・・・・生活環境の変化、破壊はすなわち体内での活性酸素の大量発生につながっているのです。
 昔から受けてきた紫外線にしても、オゾン層の破壊により、増加し続けています。
 活性酸素が引き起こすお肌のトラブルと言えば、シミが有名です。紫外線が活性酸素を作ると、活性酸素から肌細胞を守るためにメラニン色素が作られます。これがシミの元となるわけです。
 こうした要因は、ほんの数十年の間に急速に増えてきたものです。
 私たちの体の働きは、太古から少しずつ作られてきたものですから、この数十年の変化にはついていくことができません。
 体の中には活性酸素を取り除く働きもありますが、人間のミトコンドリアは、活性酸素の発生源が今よりずっと少ない時代につくられていますから、新しい要因が生み出す過剰な活性酸素まで取り除くことはできない状態にあります。
 活性酸素をつくり出す原因がこれだけ増え、体の中には対抗する手段が充分にはないとすると、私たちの体の中には、過剰な活性酸素が存在しているということになります。
 これが現代人の体をむしばみ、病気をつくり出しているのです。
 食物の豊富な国に住み、快適な暮らしをしているにもかかわらず、現代社会に暮らす日本人は病気から逃れることができません。
 ガンや糖尿病、心臓病などの成人病の発生が増えているのも、昔はあまりみられなかった喘息や花粉症、アトピーなどのアレルギーが増えているのも、環境の悪化による活性酸素の増加が原因と考えられます。
 日本は長寿大国となりましたが、長寿を謳歌している人の多くは、活性酸素を発生させる要因が少ない時代に育っていることを忘れてはいけません。
 また、昔の日本人の食事は活性酸素を取り除くために理想的な食事ともいわれています。 活性酸素の発生要因に囲まれ、欧米風に変化した食事をとって育っている若い人や子供が、長生きできる保証はどこにもないのです。
 また、高脂肪・高タンパク質食品に偏った食生活を続けると、カロリーのとり過ぎとあいまって、「SOD」(スーパーオキシドディスムターゼ)や「グルタチオンペルオキシダーゼ」、「カタラーゼ」といった、抗酸化酵素”の活性に必要不可欠なマンガン、鉄、銅、亜鉛、セレンなどのミネラル元素の不足を引き起こします。結果、活性酸素の発生が抗酸化作用より常に優位な状態、いわゆる「酸化ストレス」になります。
 偏食や過食は活性酸素の発生を加速し、がんや認知症などの疾患にも悪影響を及ぼします。カロリーのとり過ぎは活性酸素の発生量を増加させ、逆にカロリーを制限することは活性酸素の発生を減少させ、片頭痛を改善させ、老化の進行を抑制します。

 さらに、活性酸素の増加させる”環境の悪化”があります。


環境ホルモンとは?


 環境ホルモンが問題となりはじめたのは、1980年頃に世界各地で異常が発見されることによって、研究がされるようになりました。環境ホルモンは、外因性内分泌攪乱物質または外因性内分泌攪乱化学物質と呼ばれています。
 環境ホルモンという呼び名は、あるひとつの物質の名前ではなく、”生物のホルモンの働きを狂わせてしまう物質”の総称です。環境ホルモンは、体内の正常な働きをするホルモンの働きを壊すことで、様々な異常を引き起こします。
 体内の”ホルモンの働きを乱し”、生殖機能への影響などが心配されている環境ホルモンは、人工的に作りだされた化学物質で、正しくは「内分泌攪乱化学物質」といいます。環境ホルモンの多くは有機合成化合物で、環境庁が1998年5月に策定 、2000年11月に改定した「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」では、“動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれている正常ホルモンの作用に影響を与える外因性の物質”とし、疑われる化学物質として65物質をあげています。
 また、ゴミの焼却の際に生ず環境ホルモンも大問題になっていますが、私たちの周りには 医薬品、農薬、食品添加物、合成樹脂、合成洗剤など、人が作りだした化学物質がたくさんあります。
 問題は人体がダイオキシンなど環境ホルモンである有機化合物を受け入れやすく、分解・排出しにくい点です。そのために体の中に残って害をもたらすのです。たとえば、女性ホルモンに似た環境ホルモンが体内に入り込むことで、ホルモン本来の働きが乱されることになります(エストロゲン様環境ホルモン)。環境ホルモンは、前立腺ガンとの関係が心配され、免疫力を低下させるのではという不安もいわれています。
 食物では、アメリカの肉牛や養殖の魚に環境ホルモンの残留が見られますが、これは家畜の飼料やエサに成長を早める成長ホルモンが混ぜられているからです。
 私たちはゴミを出さないなど、身近にできることから取り組み、これ以上環境ホルモンを作らないようにすることも重要ではないでしょうか。


環境ホルモンの原因


 環境ホルモンの原因となっているのは、化学物質です。化学物質を大量に摂取しているとは、誰もが思わないのでしょうが、日々の生活の中で環境ホルモンは、身体の中に取り込まれているといってもよいでしょう。殺菌剤・防腐剤・殺虫剤・農薬・食品添加物・ダイオキシンなど、約70種もの化学物質があげられています。さらに、環境汚染された状態の川や海などからも有害物質が検出されています。産廃処分場の侵出水から、30種以上の環境ホルモンが検出されたという例もあります。


環境ホルモンの影響


 環境ホルモンは、知能低下・学力障害・注意力欠如・ストレスへの過剰反応・ 拒食症・強迫神経症・様々な不安症・鬱状態・アレルギーなど、人や生物に、多大な悪影響を及ぼすことがわかっています。さらに、環境ホルモンの影響を受けている動物の肉などを食べることも環境ホルモンの影響があります。そして、人間への影響として、キレやすい子供が増えたことも環境ホルモンの影響ではないか?と言われています。
 私たちが、なにげなく食べているジャンクフードには、着色料や保存料といった食品添加物(化学物質)が大量に入っています。さらに、カップメンやお弁当などの容器や缶ジュースの缶には、化学物質が使われていて、微量ですが、溶け出しています。私たちが、安全だと思っているものには、実際、多くの化学物質が入っているというのが現状なのです。しかし、そういったものは、私たちの目に見えるものではなく、見逃してしまいがちです。


 このように私達の身の回りには「有害物質」に満ちあふれている生活環境におかれています。このため有害物質に対する対策を考える必要があります。
 このような有害物質を除去するためにはデトックスが必要になってきます。


 デトックス(解毒)を行う上での基本的な対策は、次のようにまとめられます。

1.有害化学物質を摂らない、発生させない(薬、飲酒、魚介類、腸内細菌の健全化など)
2.有害化学物質を体内に吸収させずに排出する(食物繊維、硫黄を含む野菜類など)
3.吸収したものは排泄する(皮脂、含硫アミノ酸・野菜、キレート剤、水分不足など)
4.解毒代謝を向上する(ビタミン・ミネラル類、解毒負荷軽減など)

 こういったことから、慢性頭痛を改善させるためには「デトックス」が不可欠となります。


デトックスとは


 デトックスとは身体の中の毒素を外に出すということです。不要なものは出してしまうことが大事なことです。ちなみに便秘になると不快感を感じます。イライラしたり身体が重く感じたりしますが、快便の時は爽快じゃないですか。またサウナや岩盤浴で汗をたくさんかいた時も気持ちいいです。老廃物や毒素を出した時には爽快感を感じるのです。
 もちろん毒はなるべく身体に入れないほうがいいのですが、現実的にはとても難しいことです。だからなるべく出してしまうために「デトックス」が必要なのです。
 体内の毒素や老廃物を外に出すこと。これは必要なことなのです。
 ストレスが続いて血圧や血糖が上がるなど、新陳代謝が低下することで体に必要な栄養素などが届きにくく、老廃物などの不要なものが、排出しにくい状況になってしまいます。つまりデトックスができにくい状況になってしまいます。
 毎日の食生活で取り入れる食べ物(たんぱく質・脂質・炭水化物・ミネラル・水)で私達の体が維持されています。その人間の体の70%前後は水でできていますが、水の使い方で体の中の老廃物や汚染物質を流しだすことに大きなヒントがあるのです。
 人の体は、日々代謝を行い古いものと新しいものとに交換しています。細胞の数で5000億個の細胞が入れ替わるといいます。
 その結果、不要物としてたんぱく質や核酸が分解されて出てくる老廃物や、生命維持や代謝によって出てくるものなどの有害物質なのです。
 体の不要物質は、血液によって回収されますが、血液の循環がスムーズに行われないと回収されずに臓器や細胞の働きを邪魔することになります。


●尿を出しましょう!!・・水分摂取を怠りなく


 尿は体の老廃物を排泄したり、病気を教えてくれたりと人間の体にとって大切な役割をしています。体に毒素をためず健康体にするためにも、毎日の生活においての解毒(デドックス)を心がけが必要です。
 基本のデドックス・・・多くの解毒(デドックス)の中でも基本ともいえるものが、水を飲むということです。あらゆる代謝は水のある環境下で行われるので、水を飲むことで代謝がスムースになり、細胞が解毒(デトックス)されていきます。
 特に、尿から有害物質を排出するためには、尿の濃度を薄く保つことが必要で、水分が不足して尿の濃度が高まると、有害物質が溶けずに体内残ってしまいます。
 水をコップでこまめに意識して飲むことです。目安は1日1から2リットルほどです。 ただし、病気で医師にかかっている場合は、水分摂取の注意があるかもしれませんので、医師とご相談してください。

体のなかのさまざまな化学反応の媒体

 浸透圧バランス、pH調整、血液循環などの、体内で起こるほとんどの作用に水が関係しています。体温を調節や、栄養素を運んだり、不要なものを排出するのも、水が大きく関わっています。命の源とも言える働きをしているのです。
 大量の水が自分の中を流れ、あらゆる機能を支えていることを考えると、いきいきした体をつくるのに、水の質が体の良し悪しを左右すことになります。そのためにもよい水を取りましょう。 
 ストレスが多い環境下では体内で活性酸素が発生しやすく、さまざまな病気の80%は活性酸素が関与しているともいわれています。その活性酸素を消してくれるといわれる水素水が話題になっていますが、世界に奇跡の水といわれる名水もこの水素が多く含まれているそうです。(例えば、テレビでよく宣伝されているのが日田天領水です)


 ☆水の可能性に期待して、老廃物のデトックスを心がけましょう!


●食生活に気をつけましょう。・・食物繊維摂取不足には注意を


 沢山尿を出すために、食物繊維やカリウムは、便や尿を出やすくするので、たっぷり取ることをおすすめします。カリウムの多い食材には、ほうれん草やトマト、リンゴ、にんにく、人参、海藻など・・・。


要注意!食品添加物の現実


 食品添加物には、保存剤、殺菌剤、漂白剤、小麦粉改良剤、合成着色料、合成着香料、乳化剤などがあります。普通の食生活をしていても、私たちは1日に80種類以上の食品添加物を食べています。食品添加物の怖さとして、その発がん性が取り上げられています。
 摂取されている食品添加物の組み合わせによる害は測定されていません。仮に、食品添加物自体は、発がん性がないとしても活性酸素となると話が違います。いま、私たちが口にする食品は、食品添加物のお世話になっていないものが無い程です。
 そうした食べ物からも活性酸素が生まれるのです。食品添加物には亜鉛を消費するものが多く、亜鉛不足は、活性酸素を打消すSODの効果を弱めます。その結果体内に発生する活性酸素の増加が大量に増加することになります。そのような体内を水でデトックスをしましょう!


片頭痛における痛みの発生機序


 「片頭痛体質(酸化ストレス・炎症体質)」を基盤として、ちょっとしたことで(ストレスなど何らかの理由で)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生することによって血小板から血管外へセロトニンが放出され、血管を収縮させます。その後、役割を果たしたセロトニンは減少しやがては枯渇し、今度は逆に血管は拡張します。
 血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きます。 さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が放出され、血管を刺激して痛みが出てきます。この二つによって、片頭痛が起きてきます。
 
 このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、最初の引き金となる「セロトニン」は”生理活性物質”としての作用です。片頭痛発作時には、「脳内セロトニン」が不足した状態にあります。

 トリプタンという薬は、脳内セロトニンと同じよりに、血管には1Bという鍵穴があり、トリプタンはこの鍵穴に作用して、血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
 さらに血管の周囲から「痛み物質」が、シャワーのように血管に降り注いで、血管の拡張と炎症が起こっており、シャワーには1Dという鍵穴があって、トリプタンはこの鍵穴に作用して、「痛み物質」の放出をとめます。ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。


 トリプタン製剤は、あくまでも片頭痛発作時に減少した「脳内セロトニン」を補填しているに過ぎないことを肝に銘ずるべきです。これだけでは、不適切な治療としか言えないはずです。もっとすべきことがあり、それが「生活習慣の改善」です。


 本来、片頭痛予防の焦点は、「脳内セロトニン」をいかにして増やすか、さらに、「酸化ストレス・炎症体質」をどのようにして防止するかに置かなくてはなりません。


片頭痛の引き金となる活性酸素


 健常人では問題となることのない血流の変化であっても、片頭痛持ちの人は元来ミトコンドリアの働きが悪く、わずかな血流の増加であっても活性酸素を発生しやすい状態になっています。
 同じようなことは、運動をすることや飲酒、入浴などによって急に血行が良くなる場合や、早朝の自律神経の切り換えにともなう血流の変化やホルモンの分泌量の変化にともなう僅かな血流の変化も片頭痛持ちの人では活性酸素の発生の要因となってしまいます。
 低気圧や人ごみ(酸素濃度のわずかな低下)や季節の変化(寒暖にともなう血流の変化)もミトコンドリア機能の活性が低い片頭痛持ちの人ではミトコンドリアの代謝機能の低下と、それに引き続きおきる血流の回復により過剰の活性酸素が発生してしまうことになります。
 また、小麦などに含まれるタンパク質の成分であるグルテンに過敏な人では免疫系のマクロファージ(白血球の一種)がグルテンを異物として排除するときにも多くの活性酸素を発生することになり、片頭痛の発作の原因となります。
 風邪を引いた場合にも同様に風邪ウイルスに対する免疫系からの過剰な活性酸素が発生し片頭痛の引き金となることもあります。
 なお、風邪ウイルスは直接的に筋肉細胞や血管細胞を攻撃し、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質をも発生させます。
 このようにして、ストレスや運動、飲酒、入浴、風邪などの要因が活性酸素を発生させ片頭痛を引き起こしていくことになります。
 しかし、このような片頭痛発症要因に曝(さら)される片頭痛持ちの人であっても、仮に「ミトコンドリアの活性の低さ」を改善し、「酸化ストレス・炎症体質」を改善すれば活性酸素も異常に発生することはなくなりますから、片頭痛の発症へとは進まないということになります。
 いわゆる、片頭痛持ちの人は常に活性酸素が発生しやすく炎症を起こしやすい体質「酸化ストレス・炎症体質」であることと、細胞の活力を支配する「ミトコンドリアの活性の低さ」に問題があります。
活性酸素が発生しやすい「酸化ストレス・炎症体質」に加え「ミトコンドリアの活性の低さ」が重なれば非常にわずかな刺激であっても活性酸素が過剰に発生されてしまうのです。
 片頭痛に女性間の家族性が高いのはこの「ミトコンドリアの活性の低さ」が母性遺伝することも一因であるといえます。
 しかし、「酸化ストレス・炎症体質」や「ミトコンドリアの活性の低さ」については日々の食生活のあり方などにより誘発されるものですから、それらを改善することにより片頭痛は発症しなくなります。
 また、「酸化ストレス・炎症体質」では体内で過酸化脂質が生成されやすく、過酸化脂質も活性酸素を過剰に発生させる原因物質となります。
 ただし、過酸化物質については実際に体内で脂質が酸化され生成されること以上に加工食品などの過酸化脂質をすでに含む食品を摂ることの方が現実の問題としては大きいように思われます。


抗酸化物質って何???


 片頭痛やさまざまな病気には、活性酸素が深く関わっています。体内で活性酸素が過剰に発生して体がサビついた状態になることを「酸化ストレス」と呼び、その抑制は片頭痛改善のために不可欠な要素と考えられます。 
 フリーラジカルスカベンジャーは、活性酸素の毒消しをする物質です。これを増やすことによって、人体に蓄積された有害な活性酸素を無害化することができます。
 活性酸素とは、人間の身体に取り込まれて燃焼した酸素からできたものです。本来は殺菌や消毒作用がある有益なものですが、増えすぎると体内物質を酸化させ、老化や病気の原因になってしまうのです。


抗酸化作用のある食品


 活性酸素が病気を引き起こすということは、鉄などが酸素と結合して錆びるのと同じことです。このサビから身体を守ってくれる最も代表的なものとして、ビタミンC、ビタミンE、カロテン類を豊富に含む食品があります。

 この他、フラボノイド、カテキン、タンニン、ケルセチン、アントシアニン、イソフラボンなどに代表されるポリフェノール類、セサミノール、ショウガオール、アスタキサンチン、セレニウム、フィチン酸など含む食品も抗酸化作用があります。


ビタミンC


・野菜類…赤ピーマン、芽キャベツ、黄ピーマン、パセリ、青ピーマン、ブロッコリー、カブの葉、さやえんどう、キャベツ、ミニトマト、かぼちゃなど(多い順)
・果物類…アセロラ、ゆず、レモン、柿、キウイフルーツ、イチゴ、パパイア、はっさく、グレープフルーツ、温州ミカン、パイナップル(多い順/アセロラは群を抜いて多い)
・イモ類…ジャガイモ、サツマイモ
・海藻類…のり
・その他…ハム、ベーコン、たらこ
※ビタミンCの含有量は多くても、パセリや海苔、ゆずなどは一度にたくさん食べられる食品でありません。その意味では重量的にたくさん食べられる、キャベツ、ブロッコリー、かぼちゃ、イモ類、柿、ミカン類などはビタミンCの強力な補給源となります。


ビタミンE


・油脂類…ひまわり油、綿実油、サンフラワー油、大豆油、マーガリン油、菜種油(多い順)
・種実類…アーモンド、ヘーゼルナッツ、ヒマワリの種、落花生(多い順)
・魚類…すじこ、いくら、ウナギ、たらこ(多い順)
・その他…小麦胚芽、煎茶(茶葉)


カロテン(カルテノイド)類


・βカロテン…シソの葉、モロヘイア、にんじん、春菊、ほうれんそう、かぼちゃ、大根の葉、にら、小松菜、かぶの葉、チンゲン菜(以上、多い順)、茶類、海藻類
 カロテン類の種類は数百種といわれますが、その代表的なものがこのβカロテンで、体内に入ってビタミンAに変換されます。ビタミンAには目の明暗の識別や皮膚や粘膜を正常に保つなど、さまざまな働きがあります。
・リコピン…トマト
 トマトの赤い色素成分がリコピンで、βカロテンよりも抗酸化作用が強いことで注目されています。


ポリフェノール類


・フラボノイド…野菜・果物全般
 フラボノイドは野菜や果物などほとんどの植物に含まれる色素の総称で、ポリフェノールの一種です。ポリフェノール類の大半はフラボノイドで、それぞれの関係が混乱しやすいのでご注意ください。次に示すルチン、カテキン、ケルセチン、アントシアニン、イソフラボンは皆、フラボノイドに含まれます。
・ルチン…そば、イチジク、かんきつ類、ベリー類
 フラボノイドの一種で、抗酸化作用の他に、血流の改善効果があります。
・カテキン(タンニン)…緑茶(渋みの成分)
・ケルセチン…玉ねぎ(特に外皮)、リンゴ、緑茶、ブロッコリー、モロヘイアなど
・アントシアニン…ブルーベリー、さつまいも、なす、いちご、ぶどう、黒豆、黒ゴマ
 アントシアニンといえば「ブルーベリー=目に良い」というイメージが独り歩きしていますが、植物に含まれる青紫色の色素で、抗酸化作用があるフラボノイド類の一種です。
・イソフラボン…大豆、大豆製品
 大豆に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」と似た化学構造を持ち、同じような働きをすることで、美容界で脚光を浴びています。でも、抗酸化作用があるということのほうが重要で、本命でしょう。過剰摂取は美容に逆効果もあるので要注意です。


その他


・セサミノール…ごま
 ごまには、この他にカルシウム、ビタミンB1、鉄分、食物繊維、たんぱく質、リノール酸が豊富で、昔から「不老長寿の秘薬」と言われました。ただし、たくさん食べられる食材ではなく、あくまで脇役。いろいろと料理を工夫して毎日少しずつ摂るとよいでしょう。
・ショウガオール…ショウガ
 ショウガの辛味成分。ショウガにはこの他に殺菌効果や、体を温めて免疫力を高める効果などもあります。
・アスタキサンチン…鮭、イクラ、エビ、カニ
 赤い色の部分がアスタキサンチンです。食事だけで十分な量をとるのは難しく、サプリメントがあります。ただし、抗酸化作用のある成分はアスタキサンチン以外にもたくさんあることをお忘れなく。
・セレン(セレニウム)…小麦、肉類、魚介類、鶏卵、牛乳
 セレンは有害ミネラルの解毒にも有効とされています。ただし、セレン自体にも毒性があるので大量摂取には要注意。通常の食事でセレンが不足することはありません。
・フィチン酸…米ぬか、ごま、小麦、インゲン豆、トウモロコシなど
 フィチン酸は穀類の外皮(ふすま)に多く含まれ、多くは精製の過程で失われます。米の場合は玄米に多く含まれますが、ミネラルと結合して吸収を阻害するマイナス面もあります。


■体内の活性酸素を除去する食材をまとめてみますと・・


 ビタミンA:ニンジン、ほうれん草、卵黄、牛乳、バター
 ビタミンC : ブロッコリー、小松菜、ピーマン、トマト、イチゴ、緑茶、ジャガイモ
 ビタミンE:大豆、落花生、しじみ、うなぎ
 βーカロテン : ニンジン、小松菜、ほうれん草、かぼちゃ、ニラなど
 ポリフェノール : 赤ワインなど
 リコピン : トマトなど
 スルフォラファン : ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなど
 メラノイジン : みそ、しょうゆなど


強力な抗酸化作用を発揮するCoQ10。

 抗酸化酵素だけでは生体脂質の酸化を防ぐことはできません。そこで登場するのがビタミンE、CoQ10、ビタミンC、カロテノイド、ポリフェノールなどの抗酸化物質です。
 脂質の酸化を防ぐために生命が創り出した物質がビタミンEですから、これが一番重要です。しかし、条件によってはビタミンEはかえって脂質の酸化を促進することがわかっています。これを防ぐには、酸化抑制の過程で生成するビタミンEラジカルを還元する必要があり、ビタミンCとCoQ10がその役を担っています。とくに、同じ脂溶性のCoQ10の重要性が最近の研究から明らかにされてきました。結局、生体脂質の酸化を抑制するためには、ビタミンEとCoQ10とビタミンCがよいチームワークを組む必要があるのです。
 生体が酸化ストレスにさらされたときに最初に減少するのがビタミンCとCoQ10であることは強調しておきたいと思います。ご存じのように私たちはビタミンEとビタミンCを体内で合成することはできませんから、食品等から摂取する必要があります。一方、CoQ10は体内で合成できますが、肉・魚などの食品に含まれていることも確かです。


 現在、テレビで毎日宣伝されている「健康食品」は、このような「抗酸化物質」に関連したものばかりです。

 しかし、このような健康食品は値段も高く、片頭痛治療に使うことは、余り適切とは言えません。自分で工夫して補えばよいことです。


「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質)とは、何???


慢性頭痛は、「生体のリズムの乱れ」を引き起こす”生活習慣”から


 一次性頭痛(慢性頭痛)である緊張型頭痛と片頭痛は連続したものです。
 「脳の中に異常のない頭痛」の一次性頭痛(慢性頭痛)は、「生体のリズムの乱れ・歪み」を引き起こす”生活習慣”から生じてきます。生活のリズムは恒常性(ホメオスターシス)によって維持されています。恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっております。3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角形」と呼ばれます。
 「ホメオスターシスの三角形」は、ストレスにさらされることでバランスを崩し、頭痛に繋がっていくことになります。慢性頭痛は、ストレスの影響が極めて大きいのが特徴です。


 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系はホルモンと”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。

 緊張型頭痛は、環境因子の色彩の濃い頭痛です。この発症には、身体的ストレスと精神的ストレスが関与します。身体的ストレスには「体の歪み(ストレートネック)」が関与してきます。精神的ストレスには、「脳内セロトニンの低下」が関与します。
 片頭痛は、「ミトコンドリアの機能障害」による頭痛であり、その大半は、遺伝形式は”多因子遺伝”によるものであり、遺伝素因を基盤として、これに”環境因子”が加わって発症してくるものです。


 「ホメオスターシスの三角形」を構成するのが、自律神経、内分泌系、免疫系の3つです。 自律神経系の調節には、「脳内セロトニン」が、内分泌系には、「生理活性物質」が、免疫系には「腸内環境」が、慢性頭痛では、大きく関与しています。


 「脳内セロトニンの低下」は、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により低下・変動し、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると低下してくることになります。
 「生理活性物質」は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、局所ホルモン(エイコサノイド)(プロスタグランジン)のバランスを乱すことになります。結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
 「腸内環境」は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。高タンパク・高脂肪・低食物繊維の欧米型食事は、腸内環境にとって最大の敵と言えます。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。 抗生物質は病原菌をやっつけるだけでなく、よい腸内細菌まで殺し、腸内フローラを悪化させます。家畜に投与された抗生物質が肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。
 ”腸内環境”が「片頭痛体質形成」には極めて重要な位置を占めております。


 さらに長期間ストレスにさらされることで、「ホメオスターシスの三角形」は、バランスを崩し、マグネシウム不足(ミトコンドリアを弱らせ)、脳内セロトニンの低下、過剰な活性酸素を産生してきます。

 このように、「脳内セロトニン」「生理活性物質」「腸内環境」の3つで構成される「ホメオスターシスの三角形」は、ストレスに大きく影響されることになります。
 これらがお互い相互に関連しあっています。

 慢性頭痛の発症の根底には、こうした生活習慣の問題から生じた「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が存在します。


ミトコンドリアを弱らせる要因


 知らず知らずのうちに摂取される環境汚染物質や残留農薬などの有害物質は「代謝異常」にも深く関わり、「ミトコンドリアの働き」を悪くさせます。
 日頃から、こうした有害物質を除去させるためには、デトックスが必要となり、水分摂取が不十分で、食物繊維の摂取が少なければ、有害物質が蓄積することになります。その結果、益々、「ミトコンドリアの働き」を悪くさせます。
 このような有害物質を代謝する際に、活性物質が産生されることになります。
 また、身の回りには活性酸素を発生するものが多く存在し、これがまた「ミトコンドリアの働き」を悪くさせる要因となります。このため抗酸化物質の摂取が不十分であったり、睡眠不足になれば、活性酸素が過剰に蓄積することになり、これが「酸化ストレス・炎症体質(片頭痛体質)」を形成してくることに繋がってきます。


「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質)の形成過程


 細胞内小器官である「ミトコンドリア」は私達に生きるエネルギーを与えてくれますが、反面、活性酸素を最も多く発生する細胞内小器官でもあります。
 ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。


身の回りの活性酸素を生み出す要因


 活性酸素は、「呼吸をする」、「食事をとる」、「運動をする」など、ごく普通の生活をしているときにも発生します。酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で必ず発生するからです。そのほか、白血球が細菌を殺傷するとき、生理活性物質が作られるとき、有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗がん剤、アルコール、タバコ、大気汚染物質など)を解毒するとき、止まっていた血液が再び流れ出すとき(再濯流)、紫外線や電磁波(レントゲンなど)を受けたとき、強い精神的ストレスを受けたときなど、さまざまな要因により発生します。

「酸化ストレス」
 
 最初にも述べましたように、ミトコンドリアが酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で活性酸素は必ず発生します。この活性酸素は、「呼吸をする」、「食事をとる」、「運動をする」など、ごく普通の生活をしているときにも発生します。
 もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
 そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
 ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”抗酸化作用(抗酸化力)”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。

 「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態のことをいいます。


 たくさんのミトコンドリアが余裕を持ってエネルギーをつくる態勢だと、活性酸素はそれほど問題になりませんが、少ないミトコンドリアが必死にフル回転でエネルギーをつくろうとすると、活性酸素がたくさん排出されてしまいます。

 そして、さらに重要な点は、生まれつき受け継がれた「ミトコンドリアの働きの悪さ」は各人・各様で千差万別です。極端な表現をすれば、極端に悪い状態であれば「ミトコンドリア病」となり、その対局に「正常人」があるとすれば、片頭痛の方々は、「ミトコンドリア病」まで至っていない状態で、さらに「正常人」以下の中間に位置するものと考えて下さい。

 この「生まれつき存在する、ミトコンドリアの働きの悪さ」の程度は、片頭痛の方々では一様でないということです。極端に悪ければ、改善までに時間を要することになります。

 こうしたことから、片頭痛の方々の「セルフケア」の場面での生活指導の内容が患者さん個々で異なっており、一律に述べることの難しさがあった理由です。
 しかし、このような表現で片付けることは決して許されることではありません。
 ぼろぼろに錆びた金属にたとえられる、「錆び体質」といわれるものです。
 「酸化ストレス・炎症体質」は片頭痛発症の根底にある体質ということだけでなく、ほとんどの現代人が抱える、さまざまな慢性病や生活習慣病の根底にある慢性病の源となっているものです。

 「酸化ストレス・炎症体質」は長い間の生活習慣などにより起こり、特効薬を飲んだからといって直ぐに治るようなものではありませんし、特効薬などはありません。

 このように、片頭痛は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、”環境因子”として、生活習慣(とくに食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより引き起こされる疾患と考えられています。


片頭痛において「酸化ストレス・炎症体質」を形成するもの


 以上、「酸化ストレス・炎症体質」を改善するためには、その根底にある次のような問題を解決する必要があります。

 1)毎日の食事とともに摂取される有害物質をとらない
 2)乱れた腸内環境を整える
 3)解毒(デトックス)および解毒代謝能力を向上させる
 4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスの乱れを正す
 5)インスリンノ過剰分泌を抑える


 これらの根本的原因を解決しない限り「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質ともいいます)を改善することはできません。
 生活環境により、さらに毎日食事とともに摂取される有害物質、さらに食事の摂取のしかたから、腸内環境が乱され、さらに有害物質が体内に蓄積することにより「酸化ストレス・炎症体質」が作られてくることになります。このため、腸内環境を整え、デトックスを日々意識して行っていく必要があります。

 この部分を解決しないことには、片頭痛を根本的になくしてしまうことは不可能です。
 以上のような観点から、片頭痛治療は論じなくてはならないはずです。


 ただ単に、「国際頭痛分類 第3版β版」に基づいて、慢性頭痛を診断し、「慢性頭痛診療のガイドライン」に従って、エビデンスある薬剤を投与するだけでは、結局、対症療法に過ぎないはずであり、その根底にあるものは何ら改善されていません。
 こういったことから、トリプタン製剤をいくら服用しようとも、何度も何度も、片頭痛発作が繰り返されることになります。