頭痛と首は切っても切れない関係にあります。しかし、専門家は関係なしとされます。私には、正に、これが信じられない思いがしております。
「体の歪み(ストレートネック)」は慢性頭痛とくに片頭痛の”背骨”に相当するもので、これ抜きで片頭痛を考えれば謂わば”亡骸、”を診ているようなものです。それ程、重要な位置を占めるものです。このため繰り返し・繰り返し述べることに致します。
慢性頭痛の発症の起点は”前屈みの姿勢”
日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。 仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。
こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉(首)に負担をかけることになります。これにさらに、イスに座るとつい脚を組んでしまう、ヒールの高いクツを長時間履いている、立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている、横座りをする、立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い、いつもどちらかを下にして横向きに寝ている、または、うつ伏せになって寝ている、長時間座りっぱなしの仕事、イスやソファーに浅く座ってしまう、バックなどはいつも同じ方の肩にかける、重たいモノを持つ仕事をしている、 赤ちゃんをダッコしていることが多い、などの無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎(背骨)の歪み(捻れ)が生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、「体の歪み(ストレートネック)」を最終的に引き起こしてきます。
このようにして「体の歪み(ストレートネック)」が作られてくることになります。
緊張型頭痛の起こり方
人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下方の背骨全体にかかることにより、すぐに下部の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないように脊柱はS状の湾曲を呈しています。S状の湾曲を示すことによって体重の掛かり方を分散させています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いて(捻れて)おれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こり・めまいに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。これが、専門家が”とるに足らない頭痛”とされる緊張型頭痛です。このように頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いてる(捻れている)ことが、重要なポイントになってきます。
このような点は、これまでも東京脳神経センターの松井孝嘉先生が指摘されたことです。
専門家は、「頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜している」ことしか、注目されず、左右いずれかに傾いてる(捻れている)及び前屈位での前屈の不十分さを見落とされます。
片頭痛の起こり方
このようにして、日常生活を送る際の”何気ない姿勢(とくに前屈みの姿勢)や動作”などが長期間持続することによって「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることになります。そうなってきますと、さらに、緊張型頭痛が増強されることになり、さらに「体の歪み(ストレートネック)」を基盤として片頭痛になる可能性のある方は、生まれつき「ミトコンドリアの働きの悪い」”遺伝素因”があり、頭痛を訴える度にアスピリンを含んだ鎮痛薬を服用し続けたり、ミトコンドリアをさらに弱らせる抗生物質の服用・マグネシウム不足・有害物質の摂取等々の生活習慣等によって、さらに「ミトコンドリアの働きが悪く」なって来ます。これとは別に“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することになり、これがさらに増強されてきます。こうした「ミトコンドリアの働きの悪さ」があるところに、さらに「マグネシウム」の不足が持続してきますと、「脳過敏」を引き起こしてきます。そして先ほどのストレートネックが持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さらに「脳過敏」を増強させます。 これに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、「脳過敏」を増強させ、さらに症状を多彩なものとさせます。
「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓ ↓
↓ 脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓ ↓
↓ 中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓ ↓
↓ 脳の過敏性、頭痛の慢性化
↓
自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
(慢性頭痛)
尾側亜核で三叉神経と頸神経が収束する
ストレートネックのために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳のなかで、三叉・頸神経複合体を形成していて、繋がっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経にも伝わります。
このため、「体の歪み(ストレートネック)」が改善されないまま、放置されることにより、後頸部筋肉群にかかった刺激は常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。このようにして、脳の過敏性、頭痛の慢性化へと繋がっていくことになります。さらに、閃輝暗点を引き起こす要因にもなっています。
片頭痛も緊張型頭痛も共通して「頸部筋肉群の疲労」を基盤として発症してきます。
この根拠として、両頭痛に共通して「ストレートネック」が認められる点です。
片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)のない場合は、首の筋肉のこりは、大後頭神経に痛みのみ起きることによって、純然たる「緊張型頭痛」を発症します。
片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)があれば、片頭痛の場合は、「セロトニン神経が働きが悪くなって「痛みの感じやすさ」が存在するところに、首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。
”脳過敏”を引き起こす要因
1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとしたことで反応しやすくなることです)にあるとされます。このように少なくともこうした3つの「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、”緊張型頭痛”から”片頭痛”にまで進展していくことになります。だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。この点に関しては、女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少する、と言われています。
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経周期でその分泌量は大きく変わります。
特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられています。
このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということです。
以上のように、だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。こうした年代に女性の場合は、片頭痛を発症してきます。
そして、発症当初は、発作の程度も頻度も少ないのですが、これが結婚を契機として出産・育児を経験することになり、これまでの生活習慣は一変します。具体的には、睡眠時間が、育児に際して、十分に確保できなくなることを意味しています。片頭痛の場合、睡眠時間が確保できませんと、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、ひいてはセロトニン不足に繋がってきます。根底にある「体の歪み(ストレートネック)」は経験的に30歳までに改善させませんと、固定化してきます。こうしたことから、概して女性の場合、30歳を超えてきますと、とたんに頭痛の頻度も増え、程度も酷くなってきます。
次々に追加される悪化要因
このため30~40歳代の苦難の時期を迎えてしまいます。その理由は、特に女性の場合、家族・夫婦間および職場でのストレスなどの”さまざまなストレス”が加わることにより、「脳内セロトニン」不足が持続することになります。
こうした時期になると、鎮痛薬やトリプタン製剤の服用も月に10回を超えるようになり、これがさらに「化学的ストレス」となって(見方を変えれば、鎮痛薬やトリプタン製剤も私達の体には異物です。異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。このため発作を起こりやすくします)、益々「脳内セロトニン」低下を倍増させてきます。これに対して抗てんかん薬(特に、デパケンは注意が必要です)を追加されることにより、一時的には発作回数は軽減されることはありますが、長期間連用しますと今度は「ミトコンドリア」を弱らせる結果、さらにトリプタン製剤の服用を減らすことができなくなるといった”泥沼の状態”を引き起こしてきます。まさにエンドレスの状態に至ってしまいます。さらに、更年期を過ぎてきますと、若い頃のように血管の”しなやかさが失われ”反応性も乏しくなり、片頭痛本来の拍動性頭痛でなく、緊張型頭痛のような鈍い頭痛に変化してきます。これは、ストレートネックがそのまま持続しているためです。そして、頭痛に加えて、イライラ、不眠、めまいなどの不定愁訴が加わってきます。これが、東京女子医科大学脳神経外科の清水俊彦先生が提唱される「脳過敏症候群」そのものであり、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頸性神経筋症候群」に相当します。こうしたことから、うつ状態・めまい・冷え性等々のさまざまな”共存症”を合併することになります。これは「脳内セロトニンの低下」によるもので、こうした時期には同時に、本来は痛くない刺激を痛みと感じる”アロディニア(異痛症)”が出現してくることになります。また、片頭痛発作が天気・低気圧に左右され、寝過ぎで発作が誘発されやすかったりと多彩な症状を呈してくることになります。
男性の場合は、「体の歪み(ストレートネック)」に加えて、食生活の問題から「ミトコンドリアの働き」が悪くなり、これに生活習慣の不規則により、また仕事上のストレスが重なることによって「慢性的な脳内セロトニンの低下」が引き起こされることによって、片頭痛へと発症していきます。
根底にはストレートネックが存在します
このように、慢性頭痛発症の根底には、まず、体の歪み(ストレートネック)が存在します。このストレートネックは早い人では子供の頃から既に存在します。遅い場合は、前屈みの姿勢を強いられる作業環境に置かれ続けた場合、後天的にも形成されてくることになります。こうした方々は、片頭痛の発症時期は当然遅くなってきます。30歳以降に発症してくることも多いように思われます。
また、ムチウチの事故に遭遇しますと、その後、ストレートネックが形成・増悪してきて、このために緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛のいずれの形でも頭痛が引き起こされてきます。しかし、国際分類では、ムチウチ後7日までに出現しませんとムチウチとの関連性は否定されます。しかし、現実には、ムチウチ後、かなり時間が経過してからムチウチと同じ症状が出現してくることは日常茶飯事ですが、この点は、国際分類では極めて曖昧な形になっています。これは、頭痛と頸椎病変に関する取り決めが極めて曖昧なことによります。こういう点から、ムチウチからストレートネックが形成されてくるという松井孝嘉先生の主張を頭痛専門医は全く受け入れることなく、片頭痛の”慢性化の治療不可能な要因”として”頭部外傷・頸部外傷”を挙げています。これは余談ですが・・
また、群発頭痛の場合、最初は片頭痛のようなパターンをとりながら、ある時期から群発頭痛へ移行したり、片頭痛と群発頭痛との間を行ったり来たりする場合も経験されます。 群発頭痛は「体内時計」の乱れによって起きてくることが従来から指摘されています。 体内時計は、ミトコンドリア、セロトニンと関係があります。こうして考えれば、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の慢性頭痛は、一連のものと考えなくてはなりません。
根本的に存在する要因
このように慢性頭痛の発症には、「体の歪み(ストレートネック)」「ミトコンドリア」「セロトニン」の3つの要因が関与しています。根本原因は、「ミトコンドリアの働きの悪さ」にあり、この3つがお互いに、密接に関与し・影響しあっています。決して、この3つが独立して存在するわけではなく、相互に関係しあっています。
この3つが片頭痛の”環境因子”となっていて、これらの関与の仕方の比重は各人・各様であり、どの要因のスペクトラムが色濃く関与しているかの違いと思われます。
以上、片頭痛の発症様式を考える場合、以下が基本となっています。
まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
その”環境因子”として、以下の6項目があります。
1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
2.免疫(腸内環境)の関与
3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
4.体の歪み(ストレートネック)の関与
5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
6.ミトコンドリアの関与
このような基本的なことを念頭において、片頭痛の発症様式を考えなくてはいけません。
以上のように、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。これほど、「体の歪み(ストレートネック)」は、片頭痛発症においてまさに重要な位置を占めており、これ抜きには論ずることはありえないものです。
体の歪み(ストレートネック)の基本的な原因・考え方は・・
体の歪み(ストレートネック)は、歯の噛み合わせの悪さや外反母趾・扁平足・浮き足などの足病変が関与するとされる方々もおられますが、基本的には以下の2つです。
(1)ミトコンドリアの関与
脊柱の両側には直立姿勢に重要な脊椎起立筋が姿勢をガードしています。
背骨を支える「脊柱起立筋」という筋肉は、体の中で最も長い骨を支えるため、赤筋が最も多く存在している筋肉です。持久力のある筋肉は、まさにミトコンドリア系の赤い筋肉です。このように全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に、ミトコンドリア量が多い事がわかっています。
こういったことから、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」引き起こされることは明らかです。
(2)脳内セロトニンの不足
セロトニン神経は、筋肉へ働きかける役割を担っています。
セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることで、影響を与えています。セロトニン神経が働きかけるのは、抗重力筋です。抗重力筋とは、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉のことです。まぶたが開き、首が立ち、背筋が伸び、歩いたりできるのは、この抗重力筋のおかげです。セロトニン神経が活性化していると、まっすぐな姿勢や生き生きした表情になることができます。反対にセロトニン神経の働きが弱まると、背中が丸まったり顔の表情がどんよりしてしまいます。
このため、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「ストレートネック」を引き起こします。
以上、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
片頭痛の場合、「ミトコンドリアの働きの悪さ」に「脳内セロトニン低下」が加わることによって、姿勢保持が困難となり、容易に体の歪み(ストレートネック)を形成してくることになります。すなわち、ミトコンドリアの働きの悪さと脳内セロトニン低下が存在すれば、
1.前屈みの姿勢などを長時間続けるような生活習慣
2.「ムチウチなどの外傷」により、首の筋肉組織を痛めたりする
ことによって、容易に、体の歪み(ストレートネック)が作られてくることになります。
脊柱のS状湾曲の形成過程
生後、脊柱はC状のカーブを示しているだけです。それから3、4ヶ月に入り、寝返りや首をもたげる動作を始めると、頚部は前方凸のカーブを示してきます。お座りができるころには、腰部にわずかながら前方凸のカーブができ始めます。生後1年後くらいして、立ち上る練習を繰り返しているうちに、腰の前方凸カーブが完成され、S字状の脊柱カーブ、つまり人間特有の背骨(大黒柱)ができあがります。しかし、まだ完成された形ではありません。
立ったり、歩いたり、人間としての動きが繰り返されているうちに、股関節や膝の関節も真っ直ぐになり、筋肉も立位を維持し、活動していけるように強化され、一人前の人間の姿が完成されるのです。つまり、上体を垂直にして立つ人間は、頚部と胸部と腰部に、交互に凹凸のカーブをつくり、力学的な負荷を軽減する構造になっているのです。
こうして、二本足で立つ人間の腰には、前方凸のカーブができるべくして出来あがったわけですが、ゴリラや類人猿、あの北京原人でさえ腰のカーブをつくり、脊椎起立筋群は歩くことによって強化されていきます。現代のように歩くことが少なくなると、こうした筋群は弱対化し、あるいは退化してしまいます。文明の発展とは逆に、今度は腰や体の弱体化が進んでいくのです。腰痛はこうした必然性のもとにどんどん増え続けるに違いありません。
また、脊柱にかかってくる負荷や背骨の故障は、脊柱が末梢神経を脊髄から分枝しているため、すぐに神経のトラブルにもなるのです。人間は立っていること自体、すでに骨格や筋肉に生理的な緊張を強いています。それに加えて社会環境や労働環境のストレス、老化という身体の退行性があります。
文明の発展とは逆に、今度は腰や体の弱体化が進もうとしています。
また、活性酸素を発生させる生活環境によって、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、脳内セロトニン低下と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。
すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
こういったことから、現代では、ストレートネックが日常茶飯事にみられるようになってきました。
小児のストレートネック
整体師の鈴木勝己さんによれば、以下のように述べておられます。
「片頭痛がある子どもは、肩こりや自律神経失調症を合併している場合がほとんどで、体のバランスの崩れも影響していると考えられます。
当院に頭痛で来院される患者さんの多くに、姿勢の乱れによる首の緊張が診られます。
首は、重い頭を支えているので、少しの体のバランスの崩れが影響する部位です。
首(頸椎)は、脊柱の上から7つ目までの骨で構成されていて、それぞれがスムーズに動くことによって、首を前後左右に動かすことが出来るようになっています。
脊柱は、横から見るとゆるいS字カーブを描いていて、これを生理的湾曲と呼ぶのですが、このカーブの乱れが、首や体のいろいろな部分に不調をもたらします。
子供は脊柱の形成が未発達であり、脊柱の生理的湾曲(S字カーブ)が完成されていません。更に運動不足による筋力の低下により、S字カーブがきちんと形成されないばかりか、姿勢を維持する事が出来ない子供が増えています。
脊柱は、長い年月をかけて作りあげられます。S字カーブの形成の乱れが、いろんな病気に波及しますので、子供の姿勢を以下の点からしっかりチェックする必要があります。
•正座がきちんとできるか。
•あぐらがかけるか。
•まっすぐに立っていられるか。(傾いていないか。)
•首の回旋がきちんとできるか。(前後左右に均等に動かせるか。)
猫背などの姿勢の悪さは、体全体の歪みですので、できるだけ早いうちにバランスを整えることが大切です。」
以上のように述べ、小児の片頭痛でも「体の歪み」との関連性を指摘されております。
また、歯科医の内田信友先生は、以下のように指摘されておられます。
子どもが片頭痛を起こしやすい原因としては以下の理由が考えられます。
•長時間、変な姿勢でゲームをやっている
•小型のゲーム機などを長時間やっている
•食生活(栄養バランス)に偏りがある
•ストレスを溜め込んでいる
•首の骨が歪んでいる
最近の子どもはゲームやパソコンを長時間続けてやっている子が増えてきています。また、ゲームだけでなく変な体勢で本を読んだり、テレビを観ている子も要注意です。
姿勢が悪いと、肩こりや体の筋肉が緊張してしまい頭痛を引き起こす原因となります。
子供の姿勢には注意が必要です。
そして、「背骨伸ばし」のストレッチで、大半の小児片頭痛が軽快すると述べておられます。
以上のように、小児の片頭痛でも、大人と同様に片頭痛と「ストレートネック」及び「体の歪み」との関連を指摘されております。
しかし、整体師の方々のホームページを点検しますと、ごく「当たり前」のように記述されております。これは、何を意味しているのでしょうか?
整体師の方々は、多くの小児片頭痛に「体の歪み」を指摘され、歯科医の先生は、小児の片頭痛が”背骨伸ばし”のストレッチだけで、軽快しているとの報告をみますと、まさに奇異な感じを受けます。
ところが、これまでの片頭痛の成書には、小児の片頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」 に関する記載は、まったく存在しません。これがまさに不可思議というしかありません。
首と腰はつながって動いている
脊椎と骨盤とは非常に深い関係で結ばれています。仙腸関節を触りながら頭を動かすと、仙腸関節も動いているのがわかります。つまり、脊椎と骨盤にある仙腸関節とがコンビを組んで、お互いに連動しながら、頭や体の重みを支えているのです。
このコンビは運命共同体のようなものです。すなわち、仙腸関節に異常があれば頸椎や腰椎にも異常が出ますし、頸椎や腰椎に異常があれば、仙腸関節にも異常が生じます。ですから、首や肩の不調の原因に仙腸関節が関係している場合は大変多いのです。また、仙腸関節の異常から、頭痛と腰痛の両方に悩まされているという方も多くおられます。
仙腸関節の機能異常を解消する決めては、やはり仙腸関節ストレッチです。
仙腸関節への仙腸関節ストレッチは、仙骨の位置を調整することによって行います。 この仙骨は、脊椎を一番下で支えている土台のようなものですから、仙腸関節を開いて、これを的確に動かすことにより、腰椎や頸椎の微妙なバランスの歪みを正すことができるのです。
言ってみれば、仙腸関節を動かすことによって、腰椎や頸椎を動かしているということです。仙腸関節に仙腸関節ストレッチを行うと、ストレートネックの人も元のカーブのある状態に戻りやすくなりますし、頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアなど、椎間板の症状も解消させることができます。
なお、仙腸関節に対するケアは自分でもできます。
とにかく、この仙腸関節は、首から遠く離れていても、首に与える影響はとてつもなく大きいのです。例えば、腰痛の治療目的で、仙腸関節ストレッチを行いますと、肩こりまで解消する場合が多く経験されます。首と腰とはいつもつながって動いています。
どちらかのバランスの崩れは、必ずもう一方のバランスの崩れへとつながります。
こうしたことから、慢性頭痛とくに片頭痛では同時に腰痛を伴ってきます。
自律神経機能との関連について・・とくに天気・低気圧との関連から
首にはたいへん多くの神経や血管が集中しています。首の筋肉や関節の異常などによって、これらの神経や血管が圧迫されると、自律神経の働きが乱れ、さまざまな不定愁訴が起きることが多いのです。その症状は、頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、イライラ、不眠など、実に様々です。ときには、こうした不調が自律神経失調症やうつ病など、こころの病気にまで発展することもあります。
ストレートネックが長期間、放置されて引き起こされる病態が「頸性神経筋症候群」です(東京脳神経センターの松井孝嘉先生による)。結果として、さまざまな自律神経失調症状が引き起こされ、片頭痛にストレートネックを伴う場合には、頭痛発作が「天気」によって左右されたり、光が異様に眩しく感じられたり、めまいが頭痛発作と関係なく出現したり、不眠、不安障害、パニック障害やうつ状態にまで発展することもあります。(これらは片頭痛の共存症とされています)
こういったことから、慢性頭痛がこじれた状態になったり、ムチウチの場合にも同様ですが、頭痛をはじめとする色々な訴えが出てきます。その代表的なものは、「気象の変化、低気圧」によって頭痛が出現したり不定愁訴が増悪し、あたかも「天気予報士」のように天候を言い当てる方々もおられ、”気象病”の代表的疾患とされるほどです。
それでは、このような自律神経失調症状は、ストレートネックとどのように関与しているのでしょうか? これに対して、2つの考え方があります。
(1)胸鎖乳突筋の関与
自律神経と脊柱は深い関係にあります。背骨の調節を行い機能を正常にすることによって、自律神経のバランスが整い、片頭痛の改善が期待できます。特に首の上部(上部頚椎)が重要で、上部頚椎に問題が見られることが多いようです。
ストレートネックが存在しますと、体中至る所に様々な緊張が不自然な歪みや血行不良を起こします。こうした機能低下の引き金となっている重要な筋肉があります。
それが胸鎖乳突筋と呼ばれる筋肉です。ちょうど頭の付け根(耳の後ろあたり)から、首筋(くびすじ)、鎖骨にかけて首の両側に付いています。
この筋肉の緊張は頭痛やめまい、耳鳴り、難聴などの引き金になる原因筋と考えられ、おおかた自律神経を司る筋肉とみるカイロプラクターもいるほどです。
緊張型頭痛・片頭痛に悩む方の多くは、この筋肉の影響によって、首の至るところに突っ張りやコリ・鈍痛を感じるのが特徴でもあります。(一度、首や肩を色々と押してみてください。痛みやコリを感じる部分があるはずです)
そういったことから、この胸鎖乳突筋の緊張を和らげることが、緊張型頭痛・片頭痛のひとつの改善ポイントになってきます。
以上のようにカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々は考えて、「体の歪み(ストレートネック)」の施術をされて実績を挙げておられるようです。
(2)頸椎そのものが関係??
この考え方は「さかいクリニック」代表の酒井慎太郎先生によるものです。
不定愁訴を伴う症状は「頭と首の境目」が治療のカギ
ここでポイントになるのは、首の後ろ側の上部の後頭骨と第1頸椎の間です。この部分をゆるめておくことが、首の健康をキープするうえで、大変重要になってきます。
後頭骨は、頭蓋骨の一番下の骨であり、第1頸椎は、7個ある頸椎の一番上の骨です。つまり、「頭」と「首」の境目にあたるところ、この部分をを用いて広げたり、レーザーなどを当てて温めたりすると、非常に治療がうまくいくことが多いのです。首、肩のこりや痛みばかりではありません。この部分への治療が威力を発揮するのは、首や肩の不調に加えてさまざまな不定愁訴を訴えている場合です。首にトラブルが起こると、同時多発的に頭痛やめまい、吐き気、耳鳴り、イライラといった症状が起こることが少なくありません。首を痛めた後、体のあちこちに不調が現れ、自律神経失調症のような症状(バレリュウ症候群)が出ることもあります。そういった数多くの不定愁訴が現れるタイプの不調にもこの部分をゆるめることが大変有効です。
実は、なぜ、この「頭と首の境目」を緩めると、こうした好成績の治療ができるのか、そのメカニズムについては、よくわかっていません。ただ、この部分は脳と首の接点であり、大脳と体をつなぐたくさんの神経や血管が集中しているところです。この重要な部分の隙間が狭くなると、自律神経系や血流などにさまざまな影響が出るのではないかと推測されています。神経や血管が圧迫されると、大脳から体の各器官への指令がうまく伝わらなくなってなってくる可能性があります。それで、肩や首の不調とともにさまざまな不定愁訴が現れてくるのではないかと思われます。
私は、この「頭と首の境目」の部分が、首や肩の状態を左右する非常に大きなカギなのではないかと思っています。
このカギが閉まってしまっているか、開いているかは、首・肩の健康に大きな違いが出てきます。カギを開けてちょっとゆるめてあげるだけで、それまで堰き止められていたいろいろな”流れ”が回復するような気がします。恐らく、ここを緩めることで、脳から体へ向かう血液の流れや、脳脊髄液の流れ、神経伝達の流れなどが一斉に回復するのではないでしょうか。
当医院には、首・肩こりや痛みはもちろんのこと、さまざまな不定愁訴に悩まされ続けた方がたくさん来院されています。そういう大多数の患者さんが、「頭と首の境目」にレーザーを当てたり、「関節包内矯正」を行ったりすることによって実際に治っているのです。
ですから、いろいろな不定愁訴を伴う首こりや肩こりも、決してあきらめることはありません。「頭と首の境目」のポイントに狙いを定め、脳と体の連絡をよくする治療を行えば、すっきり治すことが可能なのです。
「閃輝暗点」とストレートネックの関与
私は「閃輝暗点」を伴う方々で、頸椎X線検査でストレートネックを呈する方々に対して、ストレートネックを改善させることによって、閃輝暗点がどのようになるのかを検討してきました。その結果は、これまでも記事にしましたが・・・
60歳以上の方で、若い頃、片頭痛の既往のない方で「閃輝暗点」を訴えて来院された方々を15例経験していますが、これらの方々全例にストレートネックを認め、同様に「ストレートネックの改善」のみで、「閃輝暗点」は消失しています。
これとは別に、若い世代の「閃輝暗点」を伴う片頭痛の場合も、当然「ストレートネック」を伴っておられる方々に「ストレートネックの改善」を行わせますと、前兆である「閃輝暗点」がまず消失してから片頭痛が改善されていくという経過をとっています。
こうしたことから、「閃輝暗点」とストレートネックは何らかの因果関係があるのではないかと疑ってしまいます。
以上のように、「体の歪み(ストレートネック)」は慢性頭痛、とくに片頭痛の基本骨格となり、骨組み・屋台骨ともなるものであり、同時に訴えられる「めまい」「腰痛」の原因ともなり、さらに不眠、不安障害、パニック障害やうつ状態にまで発展することもあります。(これらは片頭痛の共存症とされています)「閃輝暗点」の要因にもなります。
頭痛の専門家の見解
しかし、現在、頭痛専門医は、この「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」の関係については、全くエビデンスなし、とされ、即ち「関係なし」とされております。
それを”あからさま”示すものは、専門医が遵守される「慢性頭痛診療のガイドライン」です。ここでは、「体の歪み(ストレートネック)」に着目して施術を行われるカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の治療に対する評価が推奨ランクCとされ、まったく評価されていない現実があります。しかし、こうした方々の施術により片頭痛の多くの方々が改善されてこられた事実があることを忘れてはなりません。
現在、頭痛専門医が、この「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」をエビデンスなし、とされる根拠は、2点です。
その1点は、「体の歪み(ストレートネック)」は、現代では、”日常茶飯事にみられる所見”であり、特別取り立てて論ずることでない、とされます。
もう1点は、2004年の「国際頭痛分類 第2版」にあります。この改訂以来、それまで頭痛と頸椎の関与を考慮されておられた、寺本純、竹島多賀夫先生以下大半の先生方は、”右へ習え”で、口を揃えてエビデンスなし、とされるようになりました。
それを証明するものは、第38回の日本頭痛学会総会における、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の御指摘を、まったく無視され現在に至っております。
このように、現在の頭痛専門医は、「体の歪み(ストレートネック)と頭痛」をエビデンスなし、とされています。ところが、片頭痛のセルフケアのなかの指導項目として「姿勢を正しくしましょう」という事項が歴然としてあります。これは、「体の歪み(ストレートネック)」に関連した指導項目のはずです。こうした矛盾を矛盾として認識されません。そして、頸椎X線検査上みられるストレートネックの診断基準がありません。
頭痛と関連のあるストレートネックが、どのようなものかが理解されておらず、すべて”一緒くた”に、混同して考えていることにも問題があります。
そして、「頭痛と関連のあるストレートネック」に対する治療手技がまったくありません。こうしたことから、慢性頭痛の方々の多くが、医療機関を敬遠され、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の施術を求めて、受診される現実があります。
最も大切な点は、慢性頭痛の起点(スタート)は、
1.前屈みの姿勢などを長時間続けるような生活習慣
2.「ムチウチなどの外傷」により、首の筋肉組織を痛めたりする
にあり、これから「体の歪み(ストレートネック)」を来すことにあります。
当然のこととして、これに「ミトコンドリアの働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」 が関与してくることは言うまでもありません。
こうしたことから、専門家は「体の歪み(ストレートネック)」をエビデンスなし、とされることによって、慢性頭痛そのものの骨格が失われ、すべて虚像の世界になってしまいます。慢性頭痛の起点(スタート)を見失うことになり、挙げ句の果ては、「慢性頭痛すべて」が原因不明とされ、何時までも頭痛研究が進展しない理由となっています。
これまでの繰り返しに過ぎませんが、「体の歪み(ストレートネック)」は慢性頭痛を考える際の基本となるものです。
これに、市販の鎮痛薬を日常的に服用することによって、慢性頭痛の性状が修飾され、最終的に薬剤乱用頭痛に繋がっていくことになるため注意が必要です。
こういったことから、慢性頭痛を診る際は「頸椎X線検査」は必須の検査です。このような検査もすることもなく、問診から診断し、ただ単に薬物療法のみに終始される医療機関を受診されれば、いずれ”薬漬け”にされてしまう運命にあると考えるべきです。
こういったことから、これまで「頭痛とストレートネック」の成績をまとめました。
「頭痛とストレートネック」http://taku1902.jp/sub041.pdf
にも関わらず専門家は、依然として無視されるために、平成25年11月には「片頭痛治療の考え方・進め方」(文芸社)を出版することによって、エビデンスの確立を呼びかけて参りました。
しかし、「片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛」であるとすれば、同時にセロトニン神経系の機能低下が引き起こされ、当然のこととして、「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こすことになり、エビデンスを確立するまでのことではなかったということです。改めて、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生の”慧眼”には眼を開かされる思いがします。結局、エビデンスの確立を云々する以前の問題として、頭を使わなければ、「臨床頭痛学」の進展は望めないようです。ここに専門家がモタモタしている理由があるようです。頭を使わなくては何も進展しません。
以上述べてきましたように、専門家は、緊張型頭痛と片頭痛は全く別の範疇の頭痛とされますが、「体の歪み(ストレートネック)」の関与から、緊張型頭痛と片頭痛は一連の連続したものであると結論づけられます。
「体の歪み(ストレートネック)」は、慢性頭痛発症の起点となり、片頭痛の誘発因子・慢性化の要因ともなり、”めまい、腰痛、天気に左右される、閃輝暗点”の要因ともなり、片頭痛の共存症・病態の理解には不可欠のものとなっています。