「脳過敏」って何??? | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとしたことで反応しやすくなることです)にあるとされます。この「脳過敏」は、果たして、片頭痛患者さんに生まれつき備わった体質によるものなのでしょうか、それとも、もっと別に原因があるのでしょうか?
 そして、この解釈は、現在の頭痛研究を迷走させる根源ともなっているものです。
 この点は重要な部分ですので、改めて述べることに致します。
 これまでの繰り返しに過ぎませんが、再度、確認の目的です。


専門家は・・・


 片頭痛の人は、まぶしい光やうるさい音、強いにおい、天候の変化などに敏感で、他の人が気づかない、わずかな兆候も見逃しません。強い日差し、タバコや香水、炒め物などの匂い、低気圧、急激な気温の変化などの環境因子によっても片頭痛が引き起こされますし、片頭痛持ちの人は、ちょっとした環境の変化に敏感に反応します。
 片頭痛を持つ人の脳は、片頭痛がない人の脳より興奮性が高く、その働きが良すぎるのです。そのため小さな変化にも脳が反応し、それを神経の痛み信号に変換して頭痛を起こす、と考えられています。
 「脳の高い興奮性」はつらい頭痛を起こす一方で、天才肌の優れた才能を開花する可能性があるとも言われています。古今東西を問わず、何か一つのことに突出した才能を持つ天才、例えば作家や音楽家、画家、ノーベル賞受賞者などに片頭痛を持つ人が多いことが知られています。頭痛があった有名人には、夏目漱石、樋口一葉、芥川龍之介、後白河上皇、バーナード・ショー、モーツァルト、ベートーベン、ゴッホ、ピカソ、ギリシア神話のゼウスなどが名を連ねています。


 こうしたことから、片頭痛の方々は、片頭痛を持たない凡人とは、体のデキが違うと崇め奉られてきました。
 この「脳過敏」のために、片頭痛の発作が天気に左右され、低気圧が近づくことで発作が誘発され、閃輝暗点を伴ってくると考えられていました。
 そして、このような「脳過敏」は片頭痛の患者さんの生まれつき備わった特徴的なものとされてきました。

 「脳過敏」が片頭痛を神秘性のある頭痛である所以とされてきました。

 専門家のなかには、「脳過敏」の原因をただ単に短絡的に”市販の鎮痛薬”で頭痛をとって誤魔化していることにあるとされ、頭痛発作の都度”トリプタン製剤”を服用し、抗てんかん薬のデパケンの服用を強要されます。
 抗てんかん薬は、これから述べる「脳過敏」そのものの要因を無視して、こうした抗てんかん薬で「脳過敏」を無理矢理抑え込んでいるだけのことです。
 頻回の”市販の鎮痛薬”の服用は、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、片頭痛を増強させます。また、頻回の”市販の鎮痛薬”はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、痛みの閾値を下げるため痛みを感じやすくさせるために、「脳過敏」を引き起こしてくることになります。このようにミトコンドリアと脳内セロトニンの2つの観点から考えなくてはなりません。これが根本的な原因となっています。
 抗てんかん薬を中止すれば、2つの要因が根底に存在し、進行しているわけですので、 このような単純なものではないことは、誰でも理解されるはずです。


 さらに別の頭痛専門医は、片頭痛持ちが歴史を動かす!? 卑弥呼・信長と片頭痛(富永 喜代 All About)」でも示されるように、卑弥呼、織田信長を例に挙げて、以下のような見解を示されます。


 ”片頭痛の方々は、気圧の変動を誰よりも早く察知し、低気圧の到来を予見することができます。片頭痛には低気圧に反応するタイプがあります。特に、これから低気圧が近づいて天候が悪化するタイミングに反応するタイプが多いようです。
 片頭痛を持つ人の脳は、片頭痛がない人の脳より興奮性が高く、その働きが良すぎるのです。そのため小さな変化にも脳が反応し、それを神経の痛み信号に変換して頭痛を起こす、と考えられています。”


 このように、専門家は一般的には「脳過敏」は生まれつき備わった体質とされています。



 ”脳過敏”を引き起こす3つの要因


 しかし、これまでも述べてきましたように、この「脳過敏」の原因は、以下にあります。


     ”脳過敏”を引き起こす要因として


  1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
  2.脳内セロトニンの低下
  3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続


 この詳細については、これまでも述べてきましたが、再度確認の意味で述べることにします。これは神秘性を秘めた片頭痛を白日のもとに晒すことが重要と思うからです

1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足


 まず、最初に確認しておくべきことは、片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。
 マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
 細胞膜にはミネラルイオンが通過できる小さな「穴」があり、透過できるイオンの種類によって、「ナトリウムチャネル」とか「カルシウムチャネル」といった名がつけられています。これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミネラルイオン濃度の調整をするのです。ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度を適正に調整する作用があります。 
マグネシウムイオンが不足すると細胞内小器官(ミトコンドリア)の”膜構造ならびに細胞膜構造”のイオンポンプの力が弱くなり、細胞内小器官であるミトコンドリア膜の透過性も亢進し、ミトコンドリア内に入り込んだカルシウムイオンは、ミトコンドリア外へ出ていけません。カルシウムはミトコンドリア内に少しずつ蓄積してきます。ミトコンドリア内カルシウムイオンの増加が起こります。それを薄めるために細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
 細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎると、ミトコンドリアの調整機能は破壊されてしまいます。調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまいます。ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死には、ミトコンドリア内のカルシウムイオン濃度が強く係わっており、カルシウムイオン濃度は片頭痛の発症にも非常に大きな原因となります。
 このようになった細胞に、適量のマグネシウムが供給されると、溜まっていたカルシウムイオンなどが排出され、それにつづき、水分も排出されますが、この水ぶとり状態も限度がありカルシウムイオンがある量を超えると、その細胞は不必要となり見捨てられます。 そして、後にはカルシウムイオンなどで一杯になった固まりだけが残されます。これが石灰化した細胞のことです。動脈硬化の原因の一つです。結果的に、この細胞は死滅してしまいます。
 細胞内のマグネシウムが著しく不足すると、カルシウムイオンを細胞外に排出するカルシウムポンプの調整機能が働かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状態)が続くことになります。片頭痛の前兆や、発症の引き金となる脳血管の収縮は、脳血管細胞内のカルシウム濃度の高まりによっても生じます。それはつまり、マグネシウム不足がもたらす結果でもあるのです。
 このようにして、マグネシウムイオンの低下はミトコンドリア内カルシウムイオンとナトリウムイオンの増加およびカリウムの喪失による細胞内でのカリウムイオンの低下を招きます。同じくマグネシウムイオン感受性のATP依存性カルシウムポンプの活性低下を招くことになり、細胞は興奮しやすくなります。これが「脳過敏」を引き起こしてきます。
 このようにしてマグネシウムイオンの減少はミトコンドリアの好気的代謝異常をきたして、神経細胞を興奮しやすくすることになります。
 これらは片頭痛の根本的原因として考えられているものです。


 片頭痛では、ミトコンドリア代謝異常が生まれつき存在するために、ミトコンドリアはマグネシウムイオンの減少による影響をさらに受けやすくなることになります。マグネシウムイオンの低下は片頭痛発作の結果でなく発作の始まる前から存在しているのです。神経細胞の”興奮性の亢進”はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコンドリアの代謝異常の結果として生じているものです。このようにして、「脳過敏」が形成されることになります。


 片頭痛とてんかんは密接な関係にあって,「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」ことが強調されていますが、”脳の興奮性の亢進”は、上記のことを示すものです。

 そして、マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせることに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。これが「脳過敏症候群」の本態です。市販の鎮痛薬の服用が原因ではありません。間違えないようにして下さい。この点は極めて重要なことで、忘れてはなりません。
 ネット上では、「脳過敏症候群」は、市販の鎮痛薬の服用による”不適切な治療”が原因であると大々的に吹聴されますが、これは根本的な誤りです。


 この点に関しては、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は分子化学の立場から、以下のように解説されます。以前にも掲載致しましたが・・


 脳神経の刺激伝達はおもにナトリウムの細胞内取り込みにより生じる神経パルス(ナトリウムの取り込みにより、細胞外の陽電荷は瞬時に陰電荷に、内部に集合している陰電荷は同時に陽電荷に変わるというイオン電荷の逆転が起きる現象)により行われます。軸策内に於いても髄鞘に生じる放電が伝播され、その刺激が伝達されます。
 神経細胞や筋肉細胞など組織細胞は細胞外にあるナトリウムやカルシウムなどのミネラルの取り込みと排出によって細胞としての役割を果たします。ナトリウムは「放電」を起こすことにより神経伝達を可能にし、カルシウムは細胞を緊張させることによって神経伝達を速め、筋肉に力を与えます。このときマグネシウムは細胞の中に居て取り込まれたナトリウムやカルシウムを細胞内から同時にくみ出し、カリウムは同じように細胞内に居て複雑なイオンのバランスを整える働きを担っています。
 簡潔に、脳の働きいわゆる、情報伝達や脳細胞の緊張や緩慢、興奮や衰弱はこれら神経細胞外にいるナトリウムやカルシウムと細胞内にいるカリウムとマグネシウムにより精密にコントロールされています。
 このときに、マグネシウムが不足するとどのようなことが起きるでしょうか。

 ナトリウムやカルシウムはそれらの取り込み口を開けることで、細胞内外のイオン濃度差により瞬時に取り込まれます。取り込まれたミネラルは瞬時にナトリウムポンプやカルシウムポンプにより排出されることによって正常は働きが営まれるのですが、ナトリウムやカルシウムの汲み出しはイオン濃度差に逆らうため大量のエネルギー(ATP)が必要となります。ATPからエネルギーを取り出すために「ATP分解酵素」が必要ですが、このATP分解酵素はマグネシウムと結びついてはじめて働くことができる「マグネシウム酵素」の一つであり、マグネシウムが不足するとマグネシウムポンプが充分に働くことができなくなります。そうすると、細胞内のナトリウム濃度が上がり、充分な放電が起きなる(カルシウムも同様に汲み出されなければ神経細胞の脳過敏が継続することになる)。脳細胞は疲弊してしまうのです。

 また、細胞内のナトリウムイオン濃度が上がると、細胞内の高まった浸透圧を下げようと体液中の水分が細胞内に移動し、細胞浮腫を引き起こし、さまざまな障害を起こすようになります。この状態でさらにナトリウムイオンが取り込まれますと、水分の移動だけでは細胞内の浸透圧のバランスが取れなくなり、なんとしてでもナトリウムを細胞内から排出しようとする機能が働き、最終的には細胞内のカリウムやマグネシウムまで放出されてしまうことになります。
 このように必要以上に取り込まれたナトリウムイオンやカルシウムイオンは細胞の働きや代謝に重大な異常を引き起こすことになるのです。特に血液量が制限されやすい海馬近辺で起きれば「てんかん」の発症可能性を増し、後頭葉で起きれば、「大脳皮質拡延性抑制」を誘引することになります。
 このような症状を引き起こす根本的な原因はナトリウムポンプやカルシウムポンプの作動不良(ATPからのエネルギー不足)であり、最大の要因はATPの分解酵素に必要なマグネシウム不足ということができます。従って、通常1日当たり200mg~400mgのマグネシウムを補充することにより、短時間のうちにこれらの症状はおのずと改善されていきます。
 また、マグネシウムを補充せずこの状態を放置していますと、神経細胞内より放出されたマグネシウムは尿とともに排泄されることになりますので、より脳過敏や片頭痛などを引き起こしやすい状態となります。
 脳過敏や閃輝暗点、片頭痛には、その発症要因であるマグネシウムの補充が先ず優先されるべきなのです。短絡的に、脳過敏に即“てんかん薬”とは、いかがなものかと言わざるを得ません。


2.脳内セロトニンの低下


 片頭痛は、私達の体を構成する細胞の中にある”ミトコンドリアの機能障害”による頭痛です。ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出していて、エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
 そして、私達が日中活動している際に”常時”活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 言い換えれば、ミトコンドリア働きが悪いと、脳の神経細胞の場合、「セロトニン神経」が選択的に「ミトコンドリアの働き」の影響を受けやすく、セロトニンを産生しにくく、セロトニンの合成やその合成のための酵素も充分な量を生成できなくなってしまいます。その結果、「脳内セロトニン不足」が引き起こされてきます。
 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
 セロトニン神経は、痛みの感覚を抑制する役割を担っています。
 セロトニン神経が活性化されていると、鎮痛効果が現れます。
 痛み自体がなくなるのではなく、セロトニン神経の活性化により痛みの感覚をコントロールすることで、痛みを感じにくくなります。
 反対にセロトニン神経が弱まると、ささいなことで体の痛みを感じるようになります。
 脳内セロトニンが低下すれば、頭痛が出現しやすくなってきます。

 脳内セロトニンの低下は、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあらわれ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、さまざまな自覚症状を訴えるようになります。
 この「脳内セロトニン低下」が「脳過敏」を引き起こす要因となっています。
 “小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば益々「脳内セロトニンが低下」することになります。さらに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、「脳過敏」を増強させてきます。
 「脳内セロトニンの低下」により脳が過敏になり、本来は痛くない刺激を痛みと感じるアロディニア(異痛症)が、片頭痛発症後5年くらい経過して出現することがあります。


3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続


 先程も述べましたように片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。ミトコンドリアの働きが悪ければ同時にセロトニン神経系の機能まで低下してきます。その結果脳内セロトニンの低下が引き起こされます。
 脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 このため、片頭痛では容易に「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてきます。


「体の歪み(ストレートネック)」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓                  ↓
↓       脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓                  ↓
↓       中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓                  ↓
↓       脳の過敏性、頭痛の慢性化

自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
                               (慢性頭痛)

 首にはたいへん多くの神経や血管が集中しています。首の筋肉や関節の異常などによって、これらの神経や血管が圧迫されると、自律神経の働きが乱れ、さまざまな不定愁訴が起きることが多いのです。その症状は、頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、イライラ、不眠など、実に様々です。ときには、こうした不調が自律神経失調症やうつ病など、こころの病気にまで発展することもあります。


 ストレートネックが長期間、放置されて引き起こされる病態が東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頸性神経筋症候群」です。結果として、さまざまな自律神経失調症状が引き起こされ、ストレートネックを伴う片頭痛の場合には、頭痛発作が「天気」によって左右されたり、光が異様に眩しく感じられたり、めまいが頭痛発作と関係なく出現したり、閃輝暗点の発症要因ともなり、不眠、不安障害、パニック障害やうつ状態にまで発展することもあります。(これらは片頭痛の共存症とされています)
 ムチウチに遭遇しますと、ストレートネックは必ず、生じてきます。
 こういったことから、慢性頭痛がこじれた状態になったり、ムチウチの場合にも同様ですが、頭痛をはじめとする色々な訴えが出てきます。
 その代表的なものは、「気象の変化、低気圧」によって頭痛が出現したり不定愁訴が増悪し、あたかも「天気予報士」のように天候を言い当てる方々もおられ、”気象病”の代表的疾患とされるほどです。


 このようにして、長期間持続する「体の歪み(ストレートネック)」は脳過敏を引き起こし、頭痛発作が天気に左右されたり、閃輝暗点を引き起こすことになります。


 私は「閃輝暗点」を伴う方々で、頸椎X線検査でストレートネックを呈する方々に対して、ストレートネックを改善させることによって、閃輝暗点がどのようになるのかを検討してきました。
 60歳以上の方で、若い頃、片頭痛の既往のない方で「閃輝暗点」を訴えて来院された方々を15例経験していますが、これらの方々全例にストレートネックを認め、同様に「ストレートネックの改善」のみで、「閃輝暗点」は消失しています。
 これとは別に、若い世代の「閃輝暗点」を伴う片頭痛の場合も、当然「ストレートネック」を伴っておられる方々に「ストレートネックの改善」を行わせますと、前兆である「閃輝暗点」がまず消失してから片頭痛が改善されていくという経過をとっています。



 このような3つの要因が「脳過敏」を引き起こし、さらに片頭痛の慢性化の要因にもなってきます。


専門家はなぜ、この3つを容認しないのでしょうか


 学会を主導される方々は、この国際頭痛分類である「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の”絶対的基準”とされ、世界共通の言語とされます。この「国際頭痛分類」は欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していたものです。「国際頭痛分類 第3版β版」を”絶対的な基準”とすることから、トリプタン御用学者は当然のこととして、トリプタン製剤を片頭痛の第一選択薬とし、片頭痛の病態はトリプタン製剤の作用機序からだけでしか説明されないことになり、結局、トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とまでされるに至りました。
 このため、「片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛」という考え方は徹底して排除されることになっています。
 さらに、「国際頭痛分類 第2版」での改訂以来、頭痛と頸椎病変の定義が極めて曖昧になったことから、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」はエビデンスなしとされ、カイロプラクター・整体師・鍼灸師による施術をエビデンスなし、とされ全く評価されることはありません。このように、専門家は「国際頭痛分類 第3版β版」を”絶対的基準”とすることから、緊張型頭痛と片頭痛は全く別の範疇の頭痛であり、緊張型頭痛と片頭痛が連続したものであるとの機能性頭痛一元論を否定され、「体の歪み(ストレートネック)」を否定することにより、慢性頭痛とくに片頭痛の骨組み・屋台骨を取り去り、まさに、片頭痛そのものを”骨抜き”というか、全く”理解不能な頭痛”にまでしてしまいました。
 先程も述べましたように、片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序からしか説明されないことから、「脳過敏の原因が何か」さらに「片頭痛の慢性化がどこからくるのか」が説明できなくなったことから、片頭痛はもともと「脳のなかに異常のない頭痛」(一次性頭痛・機能性頭痛)とされて来たにも関わらず、これが最近では「中枢神経疾患」であると考えられるようになり、このような支離滅裂な、まさに”迷走ぶり”が示されています。


 このように「片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛」という考え方をされないため、セロトニン神経系の関与を否定され、さらに「体の歪み(ストレートネック)」を否定することにより、「脳過敏」は生まれつき備わった体質とされています。あるいは「市販の鎮痛薬」を服用することに原因を求めています。


 本来、片頭痛は以下のように考えるべきものです。


  まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
 そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
 その”環境因子”として、以下の6項目があります。

  1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
  2.免疫(腸内環境)の関与
  3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
  4.体の歪み(ストレートネック)の関与
  5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
  6.ミトコンドリアの関与


 専門家は、なぜだかこのような考え方はされません。

 このようにして「脳過敏」は片頭痛患者さんの特質であり、このために神秘的な頭痛とされますが、「脳過敏」は先程の3つの要因から生じてくるものです。


 こうしてみる限り、専門家が金科玉条のものとされる「国際頭痛分類 第3版β版」は”諸悪の根源”のようです。