「体の歪み(ストレートネック)」は大切??? | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 「体の歪み(ストレートネック)」は、慢性頭痛を考える場合、極めて大切です。


それぞれの分野の方々の考え方


 まず、東京脳神経センターの松井孝嘉先生、さかいクリニック代表 酒井慎太郎先生は、「体の歪み(ストレートネック)」は、日常的な”前屈みの姿勢”とムチウチ事故の2つが発症の要因とされ、これが緊張型頭痛および片頭痛の原因と考え、この点が治療方針の根幹となっています。


 カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々は、悠久の昔から、その施術の理論的な背景として「体の歪み(ストレートネック)」にその基盤を求め、自らの施術により「体の歪み(ストレートネック)」を改善させることによって、慢性頭痛を改善してきました。


 歯科医の先生方は、「体の歪み(ストレートネック)」は、歯の噛み合わせの悪さに原因があるとされ、「歯列矯正」と「テンプレート療法」を行うことで実績を挙げています。


 カサハラフットケア整体院の笠原厳先生は、「体の歪み(ストレートネック)」の原因として、外反母趾、指上げ足(浮足)、扁平足などの足裏の異常を挙げ、「足裏のバランス」を整えることを目的として治療をされて参りました。


 私は、「体の歪み(ストレートネック)」の発症要因として、ミトコンドリアと脳内セロトニンとの関連から述べて参りました。


 しかし、頭痛の専門家は、このような「体の歪み(ストレートネック)」は日常茶飯事にみられるものであり、さらに金科玉条のものとされ、絶対的な基準ともなる「国際頭痛分類第3版 β版」には、一切この点か記載されていないことから、「体の歪み(ストレートネック)」は頭痛とは全く無関係のものと考え、問題にすることなく無視されます。 このため、慢性頭痛の診断を行う場面では、CTやMRIの画像検査はされますが、頸椎X線検査を行うことはなく、もっぱら「薬物療法」に終始されます。


 このように、頭痛の専門家と専門外の方々とは、「体の歪み(ストレートネック)」に関する考え方は、正反対の観点をとり、ここに根本的な相違を示しています。


 それでは、どのように考えるべきなのでしょうか?

現代社会は、”活性酸素”に満ちあふれた生活環境にあります


 私達の体を構成する細胞の中にある”ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。活性酸素は、ミトコンドリアがエネルギーを作る際に産生されてきます。
 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」引き起こしてきます。

 そして、私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
 セロトニン神経系は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こします。
 このように、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。


 現代社会では、活性酸素に満ちあふれた生活環境に置かれていることを考える限り、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、「脳内セロトニン低下」と相まって、「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしやすい状況にあります。
 すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 こういったことから、現代では、「体の歪み(ストレートネック)」が日常茶飯事にみられるようになってきました。こうした背景をまず、念頭においておくことが大切です。


 この点が、専門家の言われる、「体の歪み(ストレートネック)」が日常茶飯事にみられる、ということを示しており、専門家にはこのような”時代的な背景”が念頭にないためです。


緊張型頭痛の発症の起点は”前屈みの姿勢”


 日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
 さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。
 こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけることになります。
 これにさらに、イスに座るとつい脚を組んでしまう、ヒールの高いクツを長時間履いている、立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている、横座りをする、立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い、いつもどちらかを下にして横向きに寝ている、または、うつ伏せになって寝ている、長時間座りっぱなしの仕事、イスやソファーに浅く座ってしまう、バックなどはいつも同じ方の肩にかける、重たいモノを持つ仕事をしている、赤ちゃんをダッコしていることが多い、などの無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎( 背骨)の歪みが生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、「体の歪み(ストレートネック)」を最終的に引き起こしてきます。


 現代社会では、活性酸素に満ちあふれた生活環境に置かれていることを考える限り、これに「ミトコンドリアの働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」 が常に存在しており、
 さらに、最も大切な点は、慢性頭痛の起点(スタート)は、

1.前屈みの姿勢や俯きの姿勢などを長時間続けるような生活習慣
2.「ムチウチなどの外傷」により、首の筋肉組織を痛めたりする
 にあり、ここから「体の歪み(ストレートネック)」を来すことにあります。


 このようにして「体の歪み(ストレートネック)」が作られてくることになります。
 体の歪み(ストレートネック)とは、首だけでなく全身の歪みです。
 このような場合、頸椎X線検査では、側面像では頸椎は直線的となりさらに前へ傾斜し、さらに正面像では、左右のいずれかへ傾くことになります。この左右どちらかへの傾きが、体の歪み(ストレートネック)における症状発現の鍵を握っています。左右のバランスがとれておれば問題はありませんが、どちらかへ傾くことによって片側により負担がかかることによって肩こり・頭痛その他の症状の発現を引き起こすことになります。
 そうなれば、日常生活を送る際に、片側の頸部の筋肉だけに常時刺激が加わってくることになります。

「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓                  ↓
↓       脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓                  ↓
↓       中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓                  ↓
↓       脳の過敏性、頭痛の慢性化

自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
                               
(慢性頭痛)

緊張型頭痛の起こり方


 人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下方の背骨全体にかかることにより、すぐに下部の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないようにS状の湾曲を呈しています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。S状の湾曲を示すことによって体重の掛かり方を分散させています。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いておれば、後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。これが、専門家が”とるに足らない頭痛”とされる緊張型頭痛です。
 専門家には、頸椎X線検査では、側面像では頸椎は直線的となりさらに前へ傾き、さらに正面像では、左右のいずれかへ傾く、という決定的な所見の相違には配慮することなく、単に”側面像では頸椎は直線的となりさらに前への傾き”しか診ていないため、頭痛とどう関係しているのかといった考察が欠如してくるため、問題外とされることになります。


尾側亜核で三叉神経と頚神経が収束する


 ストレートネックのために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳のなかで、三叉・頚神経複合体を形成していて、つながっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経にも伝わります。
 このため、「体の歪み(ストレートネック)」が改善されないまま、放置されることにより、後頸部筋肉群にかかった刺激は常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。このようにして、脳の過敏性、頭痛の慢性化へと繋がっていくことになります。さらに、閃輝暗点を引き起こす要因にもなっています。


 そして、この「体の歪み(ストレートネック)」は女性に圧倒的に高頻度に見られ、このため、慢性頭痛は女性に多いことになっています。


小児の場合では

 最近の子どもはゲームやパソコンを長時間続けてやっている子が増えてきています。また、ゲームだけでなく変な体勢で本を読んだり、テレビを観ている子もいます。
 小児でも、大人と同様に「体の歪み(ストレートネック)」は診られます。
 小児期にみられるストレートネックが、生まれつき「ミトコンドリアの働きの悪さ」のために形成されるものなのか、発育途上のためなのか、あるいは成人のストレートネックと同様に後天的に「姿勢の悪さや体の歪み」によって形成されてくるものなのかという点に問題を残しておりますが・・
 ただ、これまで、小児の片頭痛の大家とされる専門家の考えには、「体の歪み(ストレートネック)」といった概念は全く存在しません。


 先日も述べましたが、小児の片頭痛は、背骨伸ばしのストレッチによる「体の歪み(ストレートネック)」と食事上の問題点を改善させるだけで、大半の片頭痛は改善されます。
(一部の”ミトコンドリア病”に近いような片頭痛の場合は確かに困難ですが・・)

 専門家は、「体の歪み(ストレートネック)」と「食事上の問題点」を改善を徹底させることなく、姑息的な対処しかされず、挙げ句の果ては、小児の片頭痛の領域までにトリプタン製剤の適用拡大および市場拡大しか念頭にないようです。これは何を意味するのでしょうか??


  まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。


 これが、慢性頭痛を考える際の基本原則です。


 「体の歪み(ストレートネック)」は、慢性頭痛の発症の起点(スタート)になるものであり、さらに緊張型頭痛および片頭痛の基本骨格(骨組み)となるものです。


 こういったことから、「体の歪み(ストレートネック)」は慢性頭痛において、極めて位置を占めています。


 専門家は、「国際頭痛分類 第3版β版」を遵守されることから、このような観点に至ることはなく、慢性頭痛の中の緊張型頭痛は、極めて取るに足らない頭痛とされ、片頭痛は原因不明の”神秘的で・不思議な頭痛”とされることに至っています。
 これは、緊張型頭痛も片頭痛も連続した一連のものと考えない結果でもあります。