独眼竜”臨床頭痛学” その4 問診表 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 現在、多忙を極める「頭痛外来」で、患者さんが頭痛を訴えて医療機関を受診されますと、まず、記入させられるのが問診表です。主訴や、診療上の希望、既往歴、服薬歴、アレルギー歴などはどこの医療機関でも記入させられていると思われます。これは、あくまでも診察する側の診療効率を上げることを目的としたものです。各施設で使用される問診表には、それぞれの特徴や個性があります。画像診断が簡単に行われる時代ですので、二次性頭痛の除外よりも、一次性頭痛の鑑別を重視して作成したものがほとんどのようです。 慢性頭痛を主訴に受診した患者に、一般的な問診表に加えて使用しているものです。それよりも片頭痛を見逃さないようにするためのものです。”患者さんのメリットを最優先にする”ことを建前としていることから、当然のこととして、日常生活にはほとんど支障を来すことのない緊張型頭痛は殆ど軽視されるというか無視され、片頭痛優先の問診表というのが実情です。さらに患者さん自身も、受診のきっかけとなった受診した時点での辛い頭痛にしか意識がなく、それ以前に経験した軽い頭痛は殆ど問題にされることはなく、診察医も同様の考え方で対処しています。こうしたことから、片頭痛が緊張型頭痛の状態から発症しながら、最初の緊張型頭痛のことは問題にされることはありません。このため、片頭痛が緊張型頭痛から連続した頭痛であるといった発想には決して至らないということです。ここに慢性頭痛の発症起点がどこにあるのかということが闇に葬られています。


 次の頭痛問診票の大きな問題点は、複数の頭痛がある患者では、問診表の記載から判断が難しくなることです。
 『国際頭痛分類』は、頭痛患者の分類ではなく、頭痛発作の分類をしようとするものです。多くの頭痛患者が複数の頭痛をもっています。こうした複数の頭痛をお持ちの頭痛患者さんには、問診表の記入の仕方に困惑され、いずれの質問項目に該当するような記載をされます。そうなれば診察医には訳が分からなくなってしまいます。


 こうしたことから、典型的な片頭痛か緊張型頭痛か、しか診断できないことになります。

 こうしたことから、私は問診表は原則として使用しないことにしております。

 一人の頭痛患者と30分、1時間とじっくり時間をかけて自分の頭痛について話してもらうことが重要と思っております。患者さんは多くのことを教えてくれます。頭痛発作中の状況、痛む部位、痛み方、そのときの気分、随伴する症状、具体的にどのような対処をしているかなどなど。会話を遮断せず、患者の話を傾聴することが重要と思っています。
 これを拝聴したあとで、以下のように質問を追加していきます。


 最初に頭痛を自覚しはじめたのは、今回から遡ってどのくらい前で、どの程度であったのかを確認することが大切だろうと思っております。
 そして、これまで一番激しい頭痛があったのかどうか、それがどの程度だったのか、嘔吐したり、寝込んだり、光や音が煩わしく、じっと静かにする必要があったのか・・
 さらに、「頭痛が出現したとき、悪化したときに、生活の仕方や環境でなにか変化したことがありませんでしたか」という質問が大切と思っています。ここから、誘因、増悪因子を探ることができるからです。
「ご自分では、頭痛の原因は何だとお考えですか」という質問は有用な情報を引き出すことができます。患者自身が頭痛に関連していると考えている事象を連鎖的に引き出すことができ、患者の思考パターン、生活背景、家庭、職場 環境などさまざまな情報が得られることが多いからです。
 「これまで経験してきた頭痛で、いろいろなパターンがあると思いますが、何種類くらいの頭痛がありますか。ご自身の考えで、パターン分けしてみてください」と質問します。たとえば、3種類であれば、各々について問診を行います。
 そして、これまでどこかで頭痛のために医療機関を受診され、どのような検査を受けたことがあるのか、そして今回の頭痛は以前受診した時とは頭痛の性状に変化があったのか、もしあれば、どのように変化しているのかを具体的に確認します。
 このようにすれば無駄な検査はしなくて済むようになります。
 最後に、ご家族、ご兄弟姉妹を含め親戚には”頭痛もち”がいないかどうかを確認しておくことも重要になってきます。

 このように最初は、患者さんに自由に自分の頭痛について語ってもらった上で、以上のような質問を追加して補完すれば、より多くの情報が得られるということです。


 問診表だけに頼ってしまうことは、慢性頭痛を一定の枠にはめ込んでしまいかねないということです。


 このように、「問診表」中心の「頭痛外来」 と直接患者さんからお話をお伺いしながら質問を行っている一般開業医とは、”慢性頭痛の捉え方”に差が出てくることが理解されるはずです。こうした質問による問診形式をとった積み重ねが、片頭痛と緊張型頭痛は一連の連続したものであるという結論に至ることができるということです。


 ここに頭痛外来を担当される頭痛専門医と一般開業医の「慢性頭痛」の捉え方に絶対的な差異がみられ、ここがお互い相容れない最大の原因となっています。