慢性頭痛の周辺 その44 脳過敏 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 最近の片頭痛研究領域では,片頭痛の発症機序の考え方に、片頭痛前兆の研究や片頭痛特効薬トリプタンの作用メカニズムなどから、現在では血管の疾患ではなく、大脳の深い部分にある間脳あるいは脳幹と呼ばれる器官の付近に「片頭痛発生器」があると考えられるようになってきています。つまり片頭痛は「中枢神経疾患」であると考えられています。 こうしたことから、中枢神経性の要素を考慮することがすでに近年の研究の主流になってきており,片頭痛の予防の考え方も中枢神経の興奮性(脳過敏)の抑制に変化しつつあり,片頭痛の予防薬の開発目標は、皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかが鍵になっています。そして、今後の新薬の開発に躍起になっている現状が存在します。
 この中枢神経の興奮性(脳過敏)の抑制を目的として、脳過敏症候群なる説も輩出され、専ら「抗てんかん薬のデパケンで治療する」のが原則とされ、これに従わない医師は「ヤブ医者」呼ばわりされている現状があり、デパケン以外の「抗てんかん薬」の新薬が多数検討されるに至り、さらに片頭痛は進行性疾患とされるに至っております。


 これは、「脳過敏」を来す要因の検討が全く無視されているための当然の結果です。

 このように、本来、原因不明の「脳のなかには異常のない」頭痛とされていたものが、脳のなかに異常のある「中枢神経疾患」とまで改められてきています。
 このような論点の可笑しさを、検証しておくことは極めて重要と考えます。
 ここで、改めて、くどいようですが「中枢神経の興奮性(脳過敏)」について触れておくことに致します。これまでの繰り返しに過ぎませんが、確認のためです。


 まず、片頭痛は、これまで”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であるとされています。

Welch KMA, Ramadan NM Review article; Mitochondria, magnesium and migraine. J Neurol Sciences 134 (1995) 9-14 2000.04.02


 この点は、間中信也先生の開設される「頭痛大学」でも明記されます。

 片頭痛の患者のおよそ半分が「マグネシウム不足」が存在します。以前までは片頭痛とマグネシウムの関連性が明らかになっていませんでしたが、最近の調査では片頭痛を抱えている半分の患者がマグネシウム不足であることが判明しております。(全てではありません。誤解されませんように・・)


マグネシウム欠乏で片頭痛の起こるメカニズムとして

 これまで、下村登規夫先生は、「神経研究の進歩、46巻3号、2002年6月」で以下のように述べておられます。

 マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
マグネシウムイオンが不足すると細胞のイオンポンプの力が弱くなり、細胞内小器官であるミトコンドリア膜の透過性も亢進し、細胞内に入り込んだカルシウムイオンは、細胞外へ出ていけません。カルシウムは細胞内に少しずつ蓄積してきます。細胞内カルシウムイオンの増加が起こります。それを薄めるために細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
 したがって、マグネシウムイオンの低下は細胞内カルシウムイオンとナトリウムイオンの増加およびカリウムの喪失による細胞内でのカリウムイオンの低下を招きます。これは能動的にナトリウムポンプを調節しているマグネシウムイオン感受性のナトリウム/カリウムATPaseの活性低下を招くとともに、同じくマグネシウムイオン感受性のATP依存性カルシウムポンプの活性低下を招くことになり、細胞は興奮しやすくなります。
このようにしてマグネシウムイオンの減少はミトコンドリアの好気的代謝異常をきたして、神経細胞の易興奮性をもたらすことになります。
 これらは片頭痛の根本的原因として考えられているものです。
 ミトコンドリア代謝異常が基礎にあったとすると、ミトコンドリアはマグネシウムイオンの減少による影響をさらに受けやすくなることになります。マグネシウムイオンの低下は片頭痛発作の結果でなく発作の始まる前から存在しているのです。神経細胞の易興奮性はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコンドリアの代謝異常の結果として生じているものと思われます。このようにして、「脳過敏」が形成されることになります。

 片頭痛とてんかんは密接な関係にあって,「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」ことが強調されていますが、”脳の興奮性の亢進”は、上記に関連したものです。
 言い換えれば、片頭痛における「てんかんの要因」は、ミトコンドリアの活性低下に「マグネシウム不足」が加わったことによって起きたに過ぎないということです。

 このためには、もう一度「片頭痛の病態」を明らかにしておく必要があります。

 これまでも再三指摘して参りました。


 「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓                 ↓
↓       脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓                 ↓
↓       中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓                 ↓
↓         脳の過敏性、頭痛の慢性化

自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
                              (慢性頭痛)

 片頭痛の遺伝的素因(ミトコンドリアの活性低下)があれば、片頭痛の場合は、「セロトニン神経が働きが悪くなって「痛みの感じやすさ」が存在するところに、首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。この点は、北見公一先生が同様のことを指摘されておられました。

また、さらに、これとは別個に、例えば以下のような生活習慣で

   ・あまり外出をしない
  ・移動にクルマを頻用し、歩くことが少ない
  ・コンピュータ操作などで1日数時間にわたって同じ姿勢をとり続ける
  ・夜ふかし、朝寝坊の昼夜逆転生活 


 このようなことが、「脳内セロトニンを低下」させることも要因としてあげられます。

 そして、これに加えて、市販の鎮痛薬、病院で処方される「鎮痛薬」と「トリプタン製剤」「エルゴタミン製剤」の過剰服用や、「有害物質」の蓄積により、これが「化学的ストレス」となり、「慢性的なセロトニン不足」を引き起こす原因となり、結果的に「脳内セロトニンの枯渇状態」に至らしめ、このため「痛みに対する感受性を低下」させ、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあらわれ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、「脳過敏」に至るものと思われます。
 これとは別に“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することにより、これがさらに増強されてきます。
 本来は痛くない刺激を痛みと感じるアロディニア(異痛症)が、片頭痛発症後5年くらい経過して出現することがあります。これは「脳内セロトニンの低下」により脳が過敏になって生じてきます。


 以上のように、「ミトコンドリアの活性低下とマグネシウム不足」「体の歪み(ストレートネック)」「慢性的な脳内セロトニンの低下」この3つの側面から「脳過敏」を考えなくてはなりません。

片頭痛の病態(メカニズム)


 参考までに、現在、学会および頭痛専門医の間で容認されている考え方をまず述べます。

 片頭痛の病態仮説は多数提唱されています。セロトニン説、血管説、神経説は古典的な病態仮説で、これらの学説に基づいて片頭痛の研究が進められてきました。現在もっとも広く支持されているのは、これらの仮説を発展、統合した、皮質拡延抑制と三叉神経血管説です。前者は閃輝暗点を、後者は片頭痛の疼痛を明快に説明することができます。


・三叉神経血管説


 三叉神経と頭蓋内血管、とくに硬膜血管とその周囲の三叉神経終末の神経原性炎症を重視した学説です。”なんらかの刺激”により血管周囲の三叉神経が活性化されCGRPなどの血管作働性ペプタイドが放出され肥満細胞の脱顆粒、血漿蛋白の血管外への漏出と血管拡張が起こります。神経原性炎症は三叉神経を刺激して、神経興奮の順行性伝導は中枢に伝達され頭痛として感じられます。神経興奮は逆行性にも伝導して、ほかの部位の三叉神経を活性化しCGRPなどを放出することにより神経原性炎症が拡大していきます。順行性の興奮伝導は、脳幹の三叉神経核を活性化させ、悪心、嘔吐などの自律神経症状を発現させ、視床から大脳皮質に伝達されて痛みとして認知されます。この過程で、末梢の三叉神経が感作され順行性にも逆行既にも過剰な信号を伝達する現象が末梢性感作です。さらに三叉神経核や視床における中枢感作が成立しますと、硬膜血管の拍動が、三叉神経から脳幹、視床の神経経路を介して激しい拍動痛や持続痛として認知されます。


・皮質拡延性抑制


 皮質拡延性抑制とは、神経細胞とクリアの脱分極、および、引き続いておこる神経活動の抑制が、大脳皮質を2~6mm/分の速度でゆるやかに拡延する現象です。実験モデルで観察される現象として、Leaoが1944年に記載しました。片頭痛の前兆のひとつにギザギザの光が視野のなかを拡大してゆく閃輝暗点があります。
 閃輝は視覚刺激の入力がないのに光が見えるという陽性の症状であり、閃輝か消失した後もしばらく同部位に視覚刺激の入力があっても見えないという陰性症状が暗点です。これが後頭葉視覚野における皮質拡延性抑制を反映した現象と考えられています。最近、高磁場機能性MRI(fMRI)を用いて、片頭痛患者の視覚前兆が後頭葉の皮質拡延性抑制であることが直接的に示されました。皮質拡延性抑制を促進する多くの因子が興奮性、脱分極性の事象であることから片頭痛患者では脳の興奮性が高まっており、皮質拡延性抑制がおこりやすい状態にあると考えられています。
 皮質拡延性抑制と三叉神経血管系の神経原性炎症の上流に頭痛発生器の存在を推定する学説も提出されているが議論も少なくありません。さらに、皮質拡延性抑制が三叉神経血管系の神経原性炎症を惹起するとのデータも示されています。皮質拡延性抑制が片頭痛前兆をおこし、三叉神経血管系の神経原性炎症が頭部の疼痛をおこしているのは確実ですが、皮質拡延性抑制、神経原性炎症を惹起するものや、その関係については今後の研究成果を待つ必要があります。


 以上が、まず現時点で容認されている考え方です。


 これとは別に鹿児島の田村脳神経クリニックの田村正年先生は以下のように「片頭痛の骨組み」のなかで、片頭痛の病態について述べておられます。


 その病態には、セロトニン、ノルアドレナリン、一酸化窒素等、様々な生体内物質が関与する可能性が考えられています。中でも、セロトニンについては、片頭痛発作中のセロトニンの減少、発作後の尿中セロトニン代謝物の増加、セロトニンを減少させるレセルピンの投与による片頭痛様発作の誘発等が報告され、片頭痛発作に深く関わっていることが確認されています。
 セロトニンによる片頭痛発作誘発の機序については、血小板等からセロトニンが過剰に放出されて脳血管が収縮し、放出されたセロトニンがMAO-Aによって代謝されて枯渇すると、今度は血管の拡張が起こり、頭痛が発現するとの説がよく知られています(血管説)。
 また、最近では、三叉神経終末からCGRP、サブスタンスP等の神経ペプチドが遊離され、これらによって血管壁の透過性亢進、肥満細胞の脱顆粒等が起こり、局所の血管周囲の炎症から頭痛に至るとの説も有力となっています(三叉神経血管説)。
 セロトニンは血管に作用するだけではなく、三叉神経からのCGRPの遊離を引き起こすことも報告されており、これに対しては、5-HT1B、5-HT1Dとともに、5-HTF受容体が関与する可能性が指摘されています。スマトリプタンは、5-HT1B、5-HT1Dとともに、5-HTF受容体に対してもほぼ同等の親和性を示すことが 試験管内の実験により報告されており、新たな作用点として注目されています。


片頭痛発生器


 まず、片頭痛を考える上で重要なポイントは、発作の元が生じた時に、その発作が増強されやすくなる特性を、もともと片頭痛患者が有している可能性があります。
 これは、一部の遺伝性片頭痛患者において Ca2+ チャネル異常による神経細胞機能の変調が存在する事や、片頭痛患者において発作間欠期に交感神経系の機能低下の存在することと一致します。
 このような片頭痛を増強しやすいと考えられる母体に、何らかの原因で脳幹に存在していると考えられている“片頭痛発生器”が活性化され、皮質拡延性抑制spreading despression や三叉神経血管系の異常な活性化により頭痛が生じると考えられます。
 つまり、全てのヒトに片頭痛発生器があり、それが活性化することはあるのですが、一部の人に、その刺激を増幅してしまう“体質”があり、それが臨床的な“片頭痛”として現れます。その片頭痛発生器ですが、片頭痛発作発生源として脳幹の縫線核、青斑核および、中脳水道周囲灰白質 (periaqueductal gray mater : PAG)が候補に挙げられています。とくに 中脳水道周囲灰白質PAG は前頭葉や視床下部から入力を受け、三叉神経脊髄路核や脊髄後角へ投射する下行性痛覚抑制系の神経回路を形成する一部であり、高解像度 MRI により片頭痛患者で 中脳水道周囲灰白質PAG における鉄含有量の増加が認められたことと合わせ、注目されています。
 また、中脳水道周囲灰白質 PAGの血管奇形からの出血で慢性片頭痛となった症例が報告されており、この系の疼痛抑制の障害により頭痛発作が助長された可能性が考えられています。
 片頭痛発生器への刺激、すなわち、前頭葉や視床下部へは、ストレスやいろいろな刺激・食物などが原因となります。


 このなかで、「Ca2+ チャネル異常による神経細胞機能の変調が存在する」は、片頭痛患者さんは、ミトコンドリアの働きの悪さがあり、ここにマグネシウム不足が加わったことに起因するものと考えるのが妥当と思われます。
 さらに、「その発作が増強されやすくなる特性を、もともと片頭痛患者が有している可能性があります」「発作間欠期に交感神経系の機能低下の存在」に関しては、東京脳神経センターの松井孝嘉先生が提唱される「頸性神経筋症候群」の観点から説明可能と思われます。すなわち、これらは、「体の歪み(ストレートネック)」に関連したものです。
 そして、ストレートネックと閃輝暗点との関連性については、以前述べました。


 これに対して、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は、片頭痛の「発生機序」に関して以下のように述べておられます。


片頭痛はなぜ起きる?


 いくつか代表的な説があるのですが、いずれも「なぜ片頭痛を起こす体質になるのか、なぜ片頭痛を起こす人とそうでない人がいるのか?」については明らかにされてぃません。
 そしていずれの説も、「何かよくゎからない原因」によって片頭痛は起きるとされています。
 また、マグネシウムやビタミンB2を多量に投与すると片頭痛が改善されることから、「ミトコンドリアの代謝障害が片頭痛の発症にかかわっている」という説もあります。
 片頭痛を発症する「体質的な原因」はよくゎからないものの、片頭痛が発症すると体にどのような変化があらわれ、どんなメカニズムで頭痛や嘔吐などが起きるのか、どんな薬が症状の抑制に必要なのかといったことはほぼわかっています。
 近年、片頭痛の痛みや発作を抑える特効薬が開発されましたから、薬さえ適切に使用すれば、ずいぶん凌ぎやすくなったことは確かです。


片頭痛の発生要因は2つ


 さきほど、代表的な説がいくつかあるものの、いずれも「片頭痛の原因は何だかよくわからない」と述べました。
 私の研究の結果を結論として先に申し上げると、片頭痛の原因となるのは「活性酸素」と「遊離脂肪酸」であり、それらが発生する要因としては、「ミトコンドリア活性の低さ」と「酸化ストレス・炎症体質」であると考えています。いずれも聞いたことがある言葉かもしれません。ここからは、これらについてわかりやすく解説していくことにしましよう。
 活性酸素と遊離脂肪酸については、皆さんも何度か目にされたり、聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。どちらも健康を害するものとして、またはエイジング(老化)を進める原因として、健康関連の本や雑誌で盛んに取り上げられているものです。
 要は、これらを取り除き、改善することができれば、「片頭痛体質を治すことも夢ではない!」ということがわかつてきたのです。
 見方を変えると、片頭痛体質を改善することは、アンチエイジングや健康な体をつくることにもつながるということです。まさに一石二鳥にも三鳥にもなるというわけです。


片頭痛は暴れるホース!?


片頭痛は次のプロセスを経て起きると考えられます。


①脳の血管内にセロトニンという物質が増え、脳血管が収縮する
        ↓
②脳に血液が充分に供給されなくなり、炎症性物質を生じるとともに、脳の表面に脱分極(神経細胞の電気的変化)が起きる
        ↓
③血管が拡張し、血液が勢いよく流れるときに痛みをともなう


 これをわかりやすくいうと、最初は脳の血管が収縮して血流が減り(片頭痛前兆期)、しばらくするとその反作用として脳血管が拡張し、多くの血液が脳に流れるようになります。そのとき発生する炎症性生理活性物質により、心臓の鼓動に合わせて強い痛みを生じるのです。
 たとえるなら、水の流れているホースを踏みつけて流れを悪くしたあと、それをパツと放した状態。ホースは暴れるようにして勢いよく水をほとばしらせます。このホースの暴れている状態が片頭痛だと考えられるのです。こうした状態が数時間から長い人で数日ほど続くわけです。


片頭痛の原因「活性酸素」の呼び水は”ストレス”


 片頭痛は暴れるホースの水-この原因となるのが、脳血管内のセロトニン濃度の変化を引き起こしたり、脳表面の脱分極を引き起こしたりする「活性酸素」や「遊離脂肪酸」です。これらはなぜ発生するのでしょうか?
 人は精神的なストレスを受けると、アドレナリンというホルモンを分泌し、血圧が上がり、心拍数が増えて血糖値が上がります。これは、緊張状態に備えるための体の変化です。
 このとき、体内を循環している血液は、おもに心臓や肝臓、筋肉に集中し、脳への血流は低下(虚血)します。
 脳細胞への血液が不足すると、細胞内にあるミトコンドリアで産生されるエネルギー発生物質(ATP)も減少します。脳は、体の各器官に指令を送るときに、カルシウムなどのイオンの濃度調整によって伝達物質を送り出して指令を伝えます。 しかし、ATPが不足すると、脳細胞内のミネラルイオン濃度を調整するポンプが正しく機能しなくなり、いわゆる”機能停止状態”になってしまいます。
 その後、ストレスから解放されると再び脳血管への血液の供給がよくなり(再潅流)、機能停止状態になっていたミトコンドリアは急速に機能を回復させます。このとき、過剰な活性酸素を発生させます。これは長いあいた正座をしたあとに立ち上がろうとして、足がしびれたり痛みを感じたりするのと似たような現象です。


ミトコンドリア活性が低い=酸化ストレス体質が片頭痛を招く


 私たちの体は食事などで体内に取り込んだ脂肪や糖分といった燃料分を燃やしてエネルギー(ATP)を作り出すときに「酸素」を使います。車のエンジンが、ガソリンに酸素を加えて爆発させることによってエネルギーを得ているのと同じです。 これと同じことが細胞内のミトコンドリアでも起きています。このときに発生するのが「活性酸素」なのです。
 じつは、活性酸素にはウイルスなどの外敵を撃退してくれる働きもあるのですが、活性酸素が過剰に産生されると、体を傷つける悪い働きをしてしまいます。同様に、脳血管や脳細胞に作用して、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質を発生させる原因となります。このように、活性酸素が人体に有害な影響を及ぼす状態のことを「酸化ストレス」といいます。
 こうした状態になっても、通常人体は活性酸素を打ち消すための抗酸化物質を適度に産生します。また、食事によって抗酸化物質を体内に取り込むことも可能です。
 しかし、片頭痛持ちの人はもともとミドコンドドア活性が低いため、健康な人ならばほとんど問題にならないような血流の変化や、ちょっとした血流の増加であっても、活性酸素が過剰に発生してしまうのです。

 以上のように述べておられます。


どのように考えるべきでしょうか


 こういった点を踏まえて、マグネシウムの必要摂取量を確認の上、これまでの食生活を振り返ってみて必要摂取量を摂取しているかどうかを確認する必要があります。十分量摂取しておられれば、あなたの片頭痛は”別の要因”で起きていると考えるべきです。
 十分量摂取しておれば、体の歪み(ストレートネック)の有無を検討の上、仮にあれば、まずこちらから是正すべきです。そして、「脳内セロトニンを低下させる」要因がないかどうか検討する必要があります。これらがすべて否定された場合に初めて”てんかんの要因”が疑われた場合に「抗てんかん薬」の服用を考慮すべきです。この場合は当然のこととして脳波検査の上、「てんかん波」を確認する必要があります。この場合、高電位速波の所見だけで判断するのは不適切で、あくまでも「てんかん波」を確認すべきです。
 こうしてみる限り、どうしても「抗てんかん薬」が必要とされる方々は、極々限られてくるものと考えております。「抗てんかん薬」がミトコンドリアの働きを悪くする可能性を念頭に置かなくてはなりません。こういったことから、「抗てんかん薬」の使用は限定すべきです。安易な使用は片頭痛を作ることになりかねません。

 「抗てんかん薬」はその「薬効」からして、原因を問わず、いずれの「脳過敏」を表面的には抑えることは可能です。しかし、この「脳過敏」を起こした「本家本元」に対する対応なく、ただ”漫然と”「抗てんかん薬」の投与では済まされないと考えます。「抗てんかん薬」(デパケン)自体の「ミトコンドリア」に対する作用を考える限り、このような対処方法は不適切であることは、”ド素人”でも理解されるはずです。あくまでも、レスキューの意味合いで、一時的な使用に止めるべきです。


 以上、「脳過敏」を論じる場合、ミトコンドリア、セロトニン神経系、体の歪み(ストレートネック)の3つの観点から考えることが重要であり、現在の学会を主導される方々には、こうした論点が全く欠如していることを念頭におく必要があります。


 このため、頭痛研究の方向までが歪められている事実を知っておく必要があると考え繰り返しになりますが敢えて掲載致しました。