まず、このような経験はこれまでなかったでしょうか?
今朝、頭が痛い夢を見て、痛みで目が覚めて、起きたらほんとに頭が痛かった。
後頭部(右寄り、上の方)の一か所をなにかで刺されるような痛みが1~2秒続き、すぐ消えるが、数十秒ごとにまた同じ痛みが来る(ぼんやりした重たーい痛みは、頭全体に継続してある)。それがひたすら繰り返し起こる。針じゃない。もっと太い何かでぐりっと一瞬えぐられるような、そんな痛み。痛みが来るたびに身体がビクっとなり、一瞬気が遠くなるような感じがする。痛みが来る瞬間を待ちかまえてしまって、物事に集中できない。ほとんど毎日といっていいくらいに頭痛に悩まされる私だけれど、今日のは強烈だった。頭の一部分をぐさっと刺されるような頭痛、これは私にとってわりとしょっちゅう起こるタイプの頭痛なのだけれど、こんなに痛みが強く、こんなに長く続いたのは久しぶり。
夢の中でも痛くて、夢の中で頭痛薬を飲んでもまったく効かなくて(ま、当然効かないよね)「どうして!!」っとイライラした状態で目が覚め。現実の世界でも痛くて、さらにイライラがつのり。朝食後、頭痛薬を飲んでいったんおさまったのだけれど、午後になってまた再発。仕事中の頭痛、特にこの刺される感じのやつは最悪。とにかく集中できなくなる。もう一回頭痛薬を飲み、なんとか今日を乗り切ったけど、頭痛には慣れっことはいえ今日のはかなりひどかった。
これは、アイスピック頭痛の典型例です。アイスピック頭痛とは、その名前の通り、頭頂をアイスピックで力一杯、ガチガチと突き刺さしたような鋭い痛みの頭痛のことです。
これが数分置きにやってくるのですから、たまりません。一歩歩くとズキッ。ニ歩歩くとズキッ。その痛みのせいで、背筋が瞬間的にピンと真直ぐに伸びます。こんな状態が約1週間も続くのです。もう、頭を取り外してしまいたいほどの衝動に駆られます。
今回は、このアイスピック頭痛に関連した「一次性穿刺様頭痛」についてです。
最初の例は、大後頭神経痛ともいうべきかもしれませんが・・・
まず、【一次性穿刺様頭痛】の「国際頭痛分類 第3版 β版」での診断基準を示します。
「国際頭痛分類 第2版」 の診断基準では、三叉神経第一枝領域とされていましたが、今回の改定で診断基準から疼痛の部位の記載がなくなりました。
A.B–Dを満たす自発的な単回または連続して起こる穿刺様の頭部の痛みがある
B.それぞれの穿刺様の痛みは数秒まで持続する
C.穿刺様の痛みは不規則な頻度で、1日に1-多数回再発する
D.頭部自律神経症状がない
E.ほかに最適な「国際頭痛分類 第3版 β版」の診断がない
短時間の頭痛で、自律神経症状を伴わないのが特徴です。三叉神経痛や短時間持続性片側神経痛様頭痛発作との鑑別が必要になります。
それでは、「一次性穿刺様頭痛」について概説します。
一次性穿刺様頭痛
「国際頭痛分類 第2版」 では「局所構造物または脳神経の器質的疾患が存在しない状態で自発的に起こる一過性かつ局所性の穿刺様頭痛]とされており,以前にアイスピック頭痛,ジャブ・ジョルト,周期性眼痛症などの名前で報告されたものもこれに相当すると考えられていますが,いずれも少数例の報告であり,詳細な病態は不明です.
以前の疫学統計では,有病率が1~2%以下のまれな疾患と考えられていましたがSjaastadらはノルウェーの1教区での調査で,35.2%の住民がこの頭痛を経験していたとの結果を報告しており,比較的多い頭痛である可能性もあります.またこの報告では,男性よりも明らかに女性に多いとされています.本邦では散発的に少数例の報告がある程度ですが,手塚先生が26例の症例をまとめています.
三叉神経第1枝領域に数秒以内の穿刺様頭痛が繰り返し起こる,という以外には細かい規定はなされていません.Sjaastadらは痛みの持続は大多数の症例で3秒以内と報告しています.発作頻度はさまざまです.片頭痛や群発頭痛を合併している患者が多く,それらの症例では片頭痛や群発頭痛が起こる部位に一致して穿刺様頭痛が起こるといいます.器質的疾患の除外が必要なのは当然ですが,痛みの部位が厳密に1ヵ所に限定している場合には特に注意が必要です.
三叉神経第1枝領域に起こるごく短時間の痛みという点では,結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)と三叉神経痛は鑑別診断の対象となります.痛みの性質,持続時間,部位のいずれも短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)と共通していますが,一次性穿刺様頭痛では随伴症状がないことが,診断基準に含まれており,結膜充血・流涙が診断基準に含まれる短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)との鑑別はこの点で明瞭です.三叉神経痛ともトリガー・ゾーンの存在などにより鑑別は可能です.
この疾患に関する研究は非常に少なく,発症機序は不明ですが,神経痛様の痛みであることから何らかの中枢性の疼痛コントロールメカニズムの障害が考えられています。
治療に関してはインドメタシンの有効性が以前から指摘されており,インドメタシン反応性頭痛のひとつとされています.このほかにはCOX-2阻害薬,ガバペンチン,ニフェジピン,パラセタモール,メラトニンが有用とされています.
長期的に追跡された報告は少ないのですが,多くの例で自然寛解がみられ,症状が持続する患者は少数であるとされています。
このように、従来”三叉神経第一枝領域”とされていましたが、今回の改定で診断基準から疼痛の部位の記載がなくなったことから、大後頭神経痛も含めても問題はないようです。
私も、以前この「一次性穿刺様頭痛」を経験したことがありますが、私の場合の原因はパソコンのやり過ぎでした。
私は、居間で座りながらパソコンを操作していますが、操作する場合にアームレストがないので、自分では気が付かなかったのですが、腕全体を少し上げるようにしてキーボードを打っていたのでした。これが、首に負担を掛け神経を痛めていたんです。
直す方法は、特効薬みたいなものは無いので、ただひたすら、パソコン操作を抑えて神経に負担を掛けないようにし、自然治癒させるしかないのです。
皆さんも、パソコンをあまり長時間使用して、身体に変調をきたさないよう、注意して下さいね。
このように、病態は思わないところにあるのかも知れません。