老神経内科医のボヤキ その9 更年期障害 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

動悸、のぼせ、耳鳴り、眠れない、イライラする・・


 中高年の女性に多いとされるさまざまな身体の異常とそれに伴う情緒不安定は、「更年期障害」と言われています。ホルモンバランスの崩れによって起こるとされ、女性ホルモンを補う治療方法が一般的に行われております。
 また、本来閉経期前後の女性に多いはずの更年期障害が、若い年代に起こる若年性更年期障害、男性にも似たような症状が出る男性更年期障害があると言っている先生もいます。


 以上のように、40歳代、50歳代以降の女性に不定愁訴があると、ほとんどが更年期障害と診断されるようです。血液検査を行って、女性ホルモンの1つである卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が著しく減少していることが確認された場合は、薬でエストロゲンを補うホルモン補充療法が有効とされています。この年代の女性で、エストロゲンが減少しているのは当たり前ともいえます。
(エストロゲンとセロトニンの量は関連があると、従来から指摘されています)
 ところがホルモン補充療法を行っても症状が改善されない人も少なくないのです。


 こういった方々に対して、東京脳神経センターの松井孝嘉先生は以下のような考え方をされます。


 私の知人のベテランの産婦人科医師の経験では、更年期障害と診断された方でも、ホルモン補充療法で治せるのは4割程度だと言っています。残り6割の人の不調は別の原因で生じているそうです。このような場合は、ストレートネックを疑ってみる必要があるのです。もし、婦人科で更年期障害の治療を受けても症状がよくならないときは、首のこりがないかをチェックし、異常があれば頸部の筋肉の緊張を緩和させる治療を行うべきです。
 首の筋肉の異常を治療すると、不定愁訴は霧散して、更年期障害といわれていた症状はホルモンの治療なしで完治するとされております。


 一般的には、閉経後は片頭痛の3分の2は改善するとの報告がありますが、更年期では女性ホルモンの変動で頭痛が増悪する患者やこの時期に起こる家庭生活や社会生活の変化(子どもの成長、親の介護、夫の社会的地位の変化)などのストレスが誘因で頭痛が悪化することがあります。更年期障害の1つとして頭痛はよくみられる症状ですが、このなかには片頭痛が悪化している例も多いと考えられています。


更年期と片頭痛の関係


 女性の更年期は卵胞ホルモンである「エストロゲン」が減少しやすくなります。
 このエストロゲンは脳内物質の1つである「セロトニン」に影響を与え、エストロゲンが減少するとセロトニンが正しく分泌されなくなります。
片頭痛はこのセロトニン分泌量の急激な変化による脳血管の拡張によって引き起こされると言われています。
 更年期は生理不順になったり、閉経したりする時期ですので片頭痛になる女性が増えるのです。
 さらに、家庭生活や社会生活の変化(子どもの成長、親の介護、夫の社会的地位の変化)などのストレスによって「脳内セロトニンの低下」も関係します。


問題は、ストレートネックが関与していると仮にしても、現在、ストレートネックを改善させる手段を頭痛専門医は持ち合わせていません。
 「ストレートネックの長期間にわたる持続」と「脳内セロトニンの低下」はともに”自律神経障害”を引き起こしてくることになります。
 ストレートネックは、片頭痛の発症の鍵をにぎっていることは、これまでも繰り返し述べましたが、このような更年期に至るまでに改善させるべきです。
 そして、早期から「セロトニン神経系の活性化」を図るべきです。
 ここまで、放置するところに問題があります。早期に手を打って改善させておけば、更年期障害そのものを防げる可能性もあり得るわけですから・・


 トリプタン製剤だけの”片手落ちの片頭痛診療”は、いつまで続くのでしょうか??