片頭痛患者さんの受診率 その2 整体・カイロプラクテック・鍼灸 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

はじめに・・整体・カイロプラクテック・鍼灸の歴史


 整体の歴史は古く、2000年以上前から行われてきました。
バビロニア中国で記録が残っているようです。
筋肉にはトリガーポイントと呼ばれる筋肉の中にしこりができる状態があるのですが、文献の中で、その操作が整体のように捉えられます。
 整体法が始まったのは、19世紀始め頃と言われており、原型は中国の推拿(すいな)と言う古典按摩(こてんあんま)が進歩したものと考えられています。
 古典按摩には2000年以上の歴史があります。この技術が日本へ渡り、当時 日本武術の中で存在していた「整体」と融合し、今のような技術体系になったのは、大正時代になってからだと言われています。
 明治44年に按摩術が、大正9年にマッサージが免許制になって行きますが、西洋医学一辺倒の考え方に反発した多くの整体師によって整体術は免許制になる事はありませんでした。
 現在では、東洋医学を基礎として発展してきたものを「整体(法的には療術)」と言い、西洋医学を基礎として発展してきたものを(カイロプラクティック)と呼ばれています。


カイロプラクティックの起源は、紀元前の古代ギリシャ・ヒポクラテスの時代に、手だけで行われていた施術です。
時は過ぎ、1895年にアメリカのD.D.Palmer(ダニエル・デビット・パーマー)により確立され、今日まで120年程かけて医学的・科学的理論をベースに正統自然医療として認められてきました。
Dr.パーマーは、1897年アイオワ州ダベンポートにて「パーマー・スクール・オブ・カイロプラクティック」を開校させ、普及に努めました。その後、全米各地に学校が設立され、現在では医学大学と同レベルとなりました。さらに、Dr.パーマーが法制化にも力をそそいだおかげで、1905年のミネソタ州からはじまり、1974年までに全米の州で法制化が整いました。その後、ヨーロッパ・アジアなど世界中へ広まり、現在では世界80カ国以上で行われ、そのうちイギリス・フランス・オーストラリア・カナダなど先進40カ国以上で法制化され、保険診療の対象になっています。
1997年には、世界的な組織である「世界カイロプラクティック連合(WFC)」が世界保健機関(WHO) に承認され、カイロプラクティックは国際的に認められるヘルスケアの一つとなりました。

 初めて日本にカイロプラクティックが伝えられたのは1916(大正5)年でした。
歴史的にみれば発祥国アメリカと十数年の差しかないにも関わらず、欧米諸国と日本の業界事情には大きな差があります。日本国内では法整備がいまだになされておらず、そのため誰でも自由にカイロプラクティックと称して治療・開業が可能となってしまっています。そういった正規な教育を受けないままに治療行為を行う業者が全体の95%以上、とも言われています。これは「教育」の違いによって生じている格差であり、こういった状況を打開させるため、2005年、 WHOは「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するガイドライン 」 を制定し、国民の安全性を確保するため厳しい国際基準を設けました。この基準をクリアできた教育機関は国内で RMIT大学日本校(現TCC)だけであり、よって日本で正規の資格を所有するのは、海外の専門大学を卒業した者か、RMIT大学を卒業した者と定められました。これら正規資格所有者は、2万人以上いると言われているカイロプラクターのうち800人程度しかいません。


 鍼灸は、一般に「はり・きゅう」または「しんきゅう」と呼ばれています。東洋医学或いは漢方医学の一分野として中国に起源をもつ我が国の伝統的医療です。鍼灸は金属の細い針を経穴(ツボ)に刺入し、或いは艾(もぐさ)を燃焼させて経穴(ツボ)に刺激を加え病気を治そうとする施術です。鍼灸医学は、日本には6世紀の初め飛鳥時代に仏教の伝来より11年遅く、また漢方薬より先に渡来したと云われています。古代の中国で揚子江流域やその南方の地質が豊かでさまざまな植物が茂った所ではその根・皮・木・草等を採集して煎じて飲む薬としての療法が発達したとされています。一方、黄河流域は土地が痩せて植物の種類も少なく生育も悪い地方では、煎じ薬に頼りがたく経験的に針灸療法が発達したものと思われます。この2つの医学は、中国の漢の時代にひとつに集大成されましたので今日では、漢方医学と呼ばれています。

そして、鍼灸医学は、我が国に渡来して以来明治時代の初期までの長い間、漢方薬と共に医学の主流として広く人々に活用されてきましたが、幕末のオランダ医学(西洋医学)の伝来によって次第に衰退を余儀なくされてきました。その後、明治政府の欧米化政策により1874年、日本の医学を西洋医学とする立法が制定され医学の主流を西洋医学に明け渡すこととなりました。何故このようになったのか、欧米化政策がひとつの理由ですが、その他として東洋医学は内因性の病気には、その特徴を生かし治療効果もそれなりに評価されてきましたが外因性のもの(外傷)にたいしては効果が遅いことが挙げられます。特に、戦場などで受けた外傷に対しては、西洋医学の外科の方がはるかに役立ちましたから東洋医学が軽視されたとも云われています。しかし、最近では、公的な医学研究所・医科大学・鍼灸大学や鍼灸短期大学・医療機関等で科学的な各種の実験、研究がされて少しづつ鍼灸医学の効果が証明されてきましたので、日本をはじめとして米国やヨーロッパ各国でも鍼灸が盛んになってきました。
現在では、埼玉医科大学・東洋医学センターの山口智先生を中心として、臨床研究が進められております。


肩こり・頭痛に対して


 このように、整体師・カイロプラクター・鍼灸師の施術は歴史も古く、従来から「肩こり・頭痛」に対して古くから行われてきた治療法です。
 緊張型頭痛・片頭痛などの慢性頭痛の場合、肩こりを伴うことが多いことを以前にも記事に致しました。


  緊張型頭痛と肩こり・・・どのように解釈すべきか
   http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11944736707.html

  片頭痛と肩こり・・・どのように解釈すべきか 
   http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11944729693.html


  そして、これまで”頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」”に関して、私の考え方を述べて参りました。


 しかし、日本頭痛学会は、2004年に改訂された「国際頭痛分類 第2版」以降は、”頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」”に関して、全くエビデンスなし、とされ、その結果、この基準を根拠として作成された「慢性頭痛診療ガイドライン」では、整体師・カイロプラクター・鍼灸師の方々の行われる施術は、民間療法として”推奨ランクC”、すなわち、まったく評価されていません。

 しかし、このような評価しか、されていないにも関わらず、緊張型頭痛・片頭痛などの慢性頭痛の方々は、日頃から肩こりに苦しまれ、こうした方々の施術により、片頭痛の予防効果を実感される方が多いことから、医療機関を受診することもなく、こうした治療施設に足を運ばれる現実があります。学会の評価とは全く関係なく、こうした事実は無視できないはずであり、こうしたことも医療機関への受診率を低下させる原因にもなっています。


 こうしたことは、トリプタン製剤(薬物療法)という歴史の浅い治療方法よりは、ずっと人気があることを明確に示しているものです。