製薬会社と医師 その1 はじめに | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 以前、国家公務員等共済組合連合会 呉共済病院内科に勤務していた時代の話ですが、現在では到底考えられないことですが、これが実際に行われていたことです。
 現在、このようなことは、あり得ないことですが、すでに時効と思われますので・・


 当時の内科は、医師20名で構成され、病院全体でベッド数500床のうち、内科は200床でした。そして、内科医長がすべてを取り仕切っていました。
 以前も述べたことがありますが、患者さんに処方する薬剤の処方薬の数です。この数は、内科医長の方針により、1処方・5剤が原則でした。ある疾患の処方で、肝心要の薬剤は、大体2剤前後ですが、これに3種類が追加されます。この3種類のなかには必ず、小野薬品の消化酵素剤であるタフマックEを入れることが原則とされていました。
 この方針は、外来患者および入院患者すべてに行われていました。これが、毎日内科医員すべてに強制され、このため莫大な数量になることが理解されると思います。
 タフマックEというおくすりは、安いくすりですが、このような使われ方をするため、小野薬品にとっては、言うことはなかったはずです。こうした見返りに、医局で行われる”内科旅行”の費用は、小野薬品が全て面倒をみておりました。

 また、あるメーカーが、新たに例えば「抗生物質」を初めて販売する際には、この抗生物質を感受性検査でよければ、必ず処方するようにとの通達が、いつも行われていました。そして、この見返りとして、何らかのものを提供する約束になっていました。
 このようにして、新薬が処方され、その量は計り知れないものでした。

 こうしたことから、各メーカーのプロパー(現在では、MRといっていますが)は、こぞって内科医長のご機嫌伺いに来訪していました。このなかのプロパーで未だに忘れられない人物は、山之内製薬の石動さんでした。この方は、他のプロパーと別格の方で、年末の12月31日には必ず来訪され、内科医長への挨拶をされておられました。
 こうしたことから、学会出張に際しては、切符・宿泊施設の便宜はすべて製薬メーカーが行っていました。このようにして、各メーカーの薬の売り込みが行われていました。


 さらに、主要医薬品の市販後調査がありました。私も脳卒中の診療を中心に行っておりましたが、当時は第一製薬の脳梗塞後遺症治療薬”ブレンデイール”の市販後調査を依頼されたことがあります。これに対する謝礼が当然ありました。当時、100万円もしたパソコン一式がキャッシュで買えるほどのものでした。現在では、贈収賄で逮捕必定のことが公然と行われていた時代です。

 こうしたことから、医師は製薬メーカーの言いなりなのが実態でした。


 この当時、脳梗塞の治療薬として血栓溶解剤である、ウロキナーゼがミドリ十字から販売されていました。この頃、ある学会で、「血栓溶解剤である、ウロキナーゼには、血栓溶解作用は、現行の保険適用とされる量では、まったくない」と発表したことがありました。
 この学会から、帰った直後、病院長および内科医長から、この発表を取り消すようにと叱責されたことが忘れられない記憶です。このように、製薬メーカーには楯突いてはならないというのが原則・鉄則でした。

 その後、当時の内科医長が病院長になった途端に、このような「製薬会社と医師」の関係」を断ち切るために、病院全体の医師の溜まり場である「医局棟」を作り、この出入り口には「受付」を置いて、製薬メーカーのプロパーの出入りを禁止するようになりました。 こうして、これまでの「製薬会社と医師」の関係を断ち切られるようになりました。
以上のようなことが、一般の病院では当時行われておりました。
 現在では、以上のようなことが行われれば、贈収賄で捕まることになります。
 しかし、現代でも、こうしたことは、形を変えて、陰で当然行われています。
 このようにして、「製薬会社と医師」の癒着は、今も昔も変わらないようです。
 特に、一般病院の上に君臨する大学病院・各医療センターで行われていることは、言うまでもないことであり、表面に出ていないだけのことです。
 例えば、我が国の医学部の多くは、製薬企業からの資金なしで、研究を進めることはできないのが実情です。。
 このため「奨学寄付金」の形で資金を提供します。製薬企業にとって奨学寄付金は「病院で薬を売るための所場代」、あるいは「金で処方を買う」行為そのものであり、「研究内容など何でもいい」のです。
 そして、多くの場合、医局への奨学寄付金以外に、教授個人に対し、講演料や監修料の名目で金が支払われています。

 こういったことが、大学病院では、公然と行われているわけです。


 卑近な例では、頭痛医療の世界では、某トリプタン製薬メーカーは、生理時の片頭痛に対して、効きもしない某トリプタン製剤を、役者をたびたび変え、繰り返し・繰り返し宣伝され、その見返りは莫大なものと推測されます。こうした事実を忘れてはなりません。


 このようにして、製薬メーカーは医師を支配下に置いているといえます。


 参考までに、内科医長から病院長にまで登り詰めた岡田啓成先生は、病院新築に際して、これまで居住していた医師官舎を取り壊すに当たって、呉市宮原通りの一等地に「岡田御殿」と称される豪邸を建てられ、国家公務員等共済組合連合会 呉共済病院という安月給では払えない額であったことからも、こうしたことを裏付けるものと思われます。