副鼻腔炎は片頭痛を増悪させる
副鼻腔炎の症状として、片頭痛の様な症状が現れることもありますが、片頭痛の人が副鼻腔炎を合併していると、片頭痛の症状が酷くなったり、片頭痛の治療の効果が少なくなると言われています。実際に片頭痛の治療に置いても、副鼻腔炎があるかどうかを調べ、ある場合はまずその治療を行います。
片頭痛の人に副鼻腔炎が起こると、副鼻腔炎の炎症が三叉神経の第二枝を刺激することにより、三叉神経が深く関わっている片頭痛を悪化させてしまいます。
副鼻腔炎の炎症が上顎洞(じょうがくどう)や前頭洞(ぜんとうどう)に生じると悪化させる傾向が強くなります。
また片頭痛の人は三叉神経領域の炎症に弱いため、慢性化した小さな副鼻腔炎の炎症であっても片頭痛を悪化させてしまいます。
急性の副鼻腔炎では、かなりの強い頭痛を訴えて来られる方もいます。そのような方は、鼻炎症状(鼻水、鼻づまり)もはっきりしていますので、診断は比較的容易です。抗菌剤を内服することで数日で症状は消失します。副鼻腔炎が原因であったことを告げると、大抵の方は驚きます。
また、急に連日頭痛が続くようになって来られた方で、頭痛が始まったほぼ同時期から鼻炎症状が見られるようになっていても、ご本人からは鼻炎症状を話される方は少ないです。こちらから、鼻炎症状はないか聞くと、”ああ、有ります!”と言った感じです。どうやら、”副鼻腔炎が頭痛の原因となる”といった認識が低いようです。また、多少の鼻炎症状があっても怖い病気じゃないからと放っておいてしまう方が多いようです。
慢性的に副鼻腔炎を繰り返している人も要注意です。慢性的な人では、鼻の奥深くの副鼻腔でのみ炎症を起こしている場合もあり、そのような場合は鼻炎症状が全くない場合も多く、CTやMRIの検査をして始めて見つかったりします。こちらも大抵は抗菌剤の投与で治ります。
現在のように、CTやMRIの検査が手軽に・簡単に行えなかった時代には、「慢性頭痛」の原因の大半は、この副鼻腔炎によるものだと豪語される耳鼻科医もおられました。
ですから、”急にひどい鼻炎症状が続く方”、”アレルギー性鼻炎のある方”、”副鼻腔炎になったことがある方”などは、たかが鼻炎と油断せず、日頃から症状が悪化しないよう気をつけ(症状によってはしっかり治療を継続し)、また症状の悪化があるときは病院を受診するようにしましょう。
参考までに副鼻腔炎による頭痛の特徴は以下の通りです。
”頭痛の始まった時期に一致して、鼻水・鼻づまりがある”
”起床時に一番痛みが強い”
”頭を前屈する(下を向く)と痛みが悪化する”
”頬部や眉間を軽く叩くと痛む”
”今までになく、連日頭痛が続く”
以上のような頭痛がある時は、放っておけばひどくなり治療すれば直ぐに良くなりますので、早めに受診してください。