(1)”前かがみ””うつむき”姿勢が元凶
ストレートネックを生み出す最大の原因。
それは、前かがみの姿勢やうつむきの姿勢などを長時間続けるような生活習慣にあります。原因の99% は、ここから来ていると言っていいでしょう。
みなさんも、日頃、いかに前かがみやうつむきでいることが多いか、ご自分の生活を振り返ってみて下さい。このため、ストレートネックにならないように注意が必要です。
パソコンの画面に釘付けになっている時間がとても長くありませんか?パソコンを使っていなくても、デスクワークをしていたり、携帯電話・スマホやゲームの画面を見ていたり、座って本を読んでいたり、車を運転したり・・・。1日のほとんどの時間を前かがみやうつむきで過ごしているという人も少なくないのではないでしょうか。そういう毎日の生活習慣が、ストレートネックをつくる”大もと”になっているのです。
とくに、パソコン作業を長時間続けていると、座りっぱなしのまま、知らず知らずのうちに前かがみやうつむきになってしまいます。なかでもノートパソコンを使っていると、画面の位置が低く、目線が下向きになってしまうため、前かがみ・うつむきになりがちです。ひどい人になると、猫背になって、顔とあごを前に突き出すような姿勢で作業をしていたりします。
このように前かがみ・うつむきの姿勢を長時間続けると、首や肩の筋肉が緊張しっぱなしになって、こりが進んでしまいます。そして、こうした「筋肉が緊張しっぱなしになる状態」が日々積み重なると、ガチガチに緊張した筋肉に常に頸椎が引っ張られるかたちとなって、本来のカーブが少しずつ消失していってしまうのです。
なお、こういったストレートネックの症状は、基本的には長い月日をかけてジワジワ進むものです。しかし、なかには急速に進むこともあります。たとえば、四六時中、前かがみになって根をつめるパソコン作業を行うような日々を続けたとしたら、ほんの2,3週間ほどでカーブが消失してしまうことも少なくありません。また、ときには車の追突事故などでムチウチになり、ストレートネックが一気に加速することもあります。
とにかく、頸椎とは、非常にナイーブにできているところなのです。
前に述べたように、人の頭は6キロほどあり、それがうつむき姿勢をとったときには、首にかかる荷重は3倍にもふくれあがるのです。
ですから、うつむきっぱなしで首に疲労をため込んだり、首に大きな衝撃を加えたりしてはいけません。
いいかげんに現代人は首を酷使する毎日から脱却しなくてはなりません。そして「首をいたわる生活習慣」を身につけるべきなのではないでしょうか。
肩こりや首こりとは、簡単に言えば”体を動かさずにいることによって起こる筋肉疲労です。筋肉疲労というのは、運動をすることで起こるものと思われがちですが、動かない姿勢をずっと続けていることによっても、かえって特定の筋肉を疲労させてしまいます。
なかでも、肩こりや首こりを招くのは、長時間座りっぱなしの姿勢を続けているとき、何時間もパソコンに向き合っていたり、休まずに車の運転をし続けたりしている場合です。そういうとき、肩や首の筋肉はずっと収縮したまま緊張し続けています。その緊張状態の持続が筋肉疲労を招き、”こり”を起こす原因になるのです。
肩や首の筋肉が緊張して疲労すると、筋肉の中を走る血管が圧迫され、その部分の血行が妨げられます。そして、血行が悪くなると、当然、その部分への酸素や栄養の供給が不十分になってきます。
本来、筋肉は酸素を使ってブドウ糖を燃焼させて、必要なエネルギーをつくり出しています。ところが、血行が悪く、酸素が十分に行き渡っていないと、ブドウ糖が不完全燃焼を起こし、乳酸などの老廃物質に変わってしまいます。この老廃物質が筋肉や神経を刺激して”こり”や”痛み”として知覚されます。
さらに、そのままじっと動かさずにいると、血行はますます滞り、筋肉内に老廃物質がどんどん貯まっていってしまいます。血流が促されるのは、周囲の筋肉が収縮・弛緩を繰り返すときですから、その筋肉運動がない限り、”こり”は次々に発生していくばかりです。それに、”こり”や”痛み”の情報が脳に達すると、その情報がフィードバックされて、患部の筋肉や血管の緊張をいっそう高めてしまいます。すると、それによって、また多くの老廃物質が生産され、”こり”がひどくなっていってしまうのです。
つまり、肩や首のこりや痛みを放っておくと、いずれ、”こり”が”こり”を呼ぶという悪循環サイクルができてしまうことになります。そして、その悪循環が日々重ねられていくうちに、肩や首の筋肉がガチガチに固まり、より重度の症状へ繋がっていってしまうわけです。