1)有害物質の摂取
まず、日常の生活習慣が原因となる「有害物質(毒素)」があります。
毒素というのは普通に生活していて入ってくるものなのです。PM2.5などの大気汚染が話題になっています。すぐには健康被害になる濃度ではないと言いますが、もしそれが身体に溜まって蓄積していったらやがて身体に悪い影響になるかもしれません。
土壌からはダイオキシン、タバコの副流煙、ピアスや化粧品やシャンプーにも毒になる成分があるのです。水銀は予防注射に使う有機水銀や歯の詰め物に使われています。また毎日口にする飲食物からの有害ミネラルや残留農薬だってありますし、食物添加物を口にしないで生活するなんて不可能です。私達の身の周りは毒がいっぱいなのです。
ひと言で毒素といってもいろいろあるのですが、「体外毒素」と「体内毒素」大きく二つの分類されます。
体外毒素
水銀やカドミウムなどの有害ミネラルや、あるいは最近では食品添加物が問題視されますが、食べ物などから身体に入ってきてしまう、本来人間の身体には存在しない毒素のことを、「体外毒素」といいます。
そんなのは公害がある地域に住んでいる人だけの問題でしょ。と思いますか?そんなことはありません。冒頭に書いたように日常生活の中で身体に入ってきてしまうのです。食品添加物を全くとらない人はいないはずです。それこそ無人島で自給自足の生活をするくらいのつもりじゃないと無理でしょう。
また有害ミネラルとは水銀、ヒ素、アルミニウム、鉛、カドミウム、ニッケル、スズなどの重金属ですが、残念ながら、毛髪検査を受けると水銀、ヒ素、アルミはほとんどの人から検出されます。
それに、仮に体外毒素を身体に全く入れないことに成功できていたとしても「体内毒素」というものだってあります。
日常の食事から摂取される有害物質には次のようなものがあります。
・DDT、PCB、有機水銀、カドミウム、ダイオキシン類などの環境汚染物質
・タール系色素、亜硝酸塩、臭素酸カリウムなどの食品添加物
・OPP、TBZ、イマザリルなどのポストハーベスト農薬
・有機塩素系農薬、有機リン系農薬、燻蒸剤、除草剤などの残留農薬など
・ヒジキ、ワラビ、ふきのとうなどの天然食品、カビ類、調理法により生成する発がん物質など
これらの有害物質は大別すると次の二つに分類されます。
①食べるとただちに細胞などを傷つける細胞毒性が強い有害物質
②長い時間をかけて体に毒が溜り、やがて毒性が発現す残留(蓄積)性有害物質
①の細胞毒性が強い有害物質は、毒性試験での因果関係がはっきりしていますし、食品への表示義務があるものが多いためあらかじめ分かります。しかし、②の残留(蓄積)性有害物質の多くは、食べてもすぐにその悪影響が現れることがないので厄介です。知らず知らずのうちに体が毒されていき、あるレベルになると突然に毒性を発現すのがほとんどだからです。
そのため、仮にその毒性が現れたとしても、その因果関係が明らかとされることはなく、多くは「原因不明」とされるか、「遺伝的体質」とされるか、別の病名が付けられることになります。
「酸化ストレス・炎症体質」の誘因物質となる①の細胞毒性が強い有害物質の代表的なものとしてとして無機ヒ素やベンゾピレン/多環芳香族炭化水素、カビ毒などがあり、②の残留(蓄積)性有害物質の代表的なものとして、メチル水銀、ダイオキシン類、PCB、カドミウムなどがあります。
これらの有害物質による病気は間違った病名がつけられることも多く、得てして難治性慢性病として扱われがちです。また、さまざまな生活習慣病の隠れた発症原因となっていると考えられます。
有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗がん剤、アルコール、タバコ、大気汚染物質など)を解毒するときに、活性酸素が発生します。そして、発生した活性酸素はミトコンドリアの働きを悪くさせることになります。
身体に溜まって蓄積していったらやがて身体に悪い影響になる可能性があります。
体内にたまった毒素が悪影響して、栄養の吸収を阻害したり、細胞まで栄養が届くことを邪魔したりします。
有害ミネラルは身体に蓄積されやすく、生理機能や代謝機能を阻害し、体調不良や精神の不安定が起こります。
なんだかいつも疲れやすい、寝つきや寝起きが悪い、うつ傾向がある、気力が沸かない、イライラして甘いものを食べるのがやめられない、集中力が続かない、些細なことで腹を立ててしまう、などの問題があります。
毒素は体内での栄養の吸収を阻害したり、細胞の活動を停滞させたりします。
新陳代謝の低下につながってしまいます。
水銀や鉛などの有害ミネラルは、体内で酵素と結合しやすい特徴があります。酵素は体内の様々な器官や組織を活発に働かせる代謝に欠かせない存在です。脂肪を燃焼させる(脂肪をエネルギーに変えて使ってしまう)ということももちろん酵素の働きが必要です。酵素の働きが有害ミネラルによって阻害されたらもちろん脂肪だって燃えにくくなってしまいます。
また水銀は褐色脂肪細胞の働きを低下させてしまうとも言われます。褐色脂肪細胞は熱を作ってエネルギーを放射する細胞です。この細胞がどれだけ活性化しているかということが、ミトコンドリアの働きをよくさせることによって、体温や基礎代謝に影響するのです。体温が高いということはそれだけ熱を作るためにエネルギーをたくさん使うということですから痩せやすいということなのです。しかし水銀はその褐色脂肪細胞の働きを鈍らせてしまうのです。片頭痛に悪影響を及ぼします。
それと毒素は自律神経の働きにも影響を与えます。もし自律神経が乱れてしまったらやはり代謝やエネルギー消費が落ちてしまいますし、毒素が溜まっているということは、便秘になっていたり、血行が悪くなっていたりする場合が多いわけですから、様々な片頭痛治療への悪影響が考えられるのです。
こういった有害物質が蓄積することによって、「酸化ストレス・炎症体質」を増悪させる要因になってきます。
2)腸内環境の悪化
次に、体内毒素があります。これは人間が生活をした結果代謝産物として身体の中にできた老廃物のことです。例えば疲労物質の乳酸や、尿酸、尿素、アンモニアなどもそうですし、腸内で発生するインドール、スカトール、硫化水素などのニオイの成分も体内で発生する毒素です。
いくら体外毒素を身体に入れないよう気をつけて生活していても体内毒素は自分の身体の中で毎日できていきます。
善玉菌と悪玉菌
腸内細菌は、私たちが食べたものをエサにして生命を維持し、さまざまな物質をつくっています。そうした細菌の中には、人間に有益な働きをする「有益菌」もいれば、逆に有害な働きをする「有害菌」もいます。これが一般に言われている「善玉菌」「悪玉菌」です。その他に「日和見菌」と呼ばれる腸内細菌がいます。日和見菌とは、腸内の状態によって有害な働きをしたり、無害であったり、有益な働きをする菌のことです。腸内細菌は大きくこの3種類に分けられます。有益菌が多ければ健康が保たれ、有害菌が増えると病気にかかりやすくなります。
有益菌は食物繊維やデンプンをエサにして活動し、腸内で「発酵」を進め、人体にさまざまなプラスの影響をもたらします。有益菌の代表的なものは「ビフィズス菌」です。ビフィズス菌は「乳酸菌」の1種で、発酵により乳酸などの「有機酸」を生成し、腸内の酸性度を高めて有害菌の繁殖を抑えます。有益菌が活発に活動していれば消化・吸収が促され、免疫力は高まり、健康を保つことができます。(※乳酸菌は乳酸発酵に関与する細菌の総称で、現在までに約350種類が確認されています。ビフィズス菌はそのうちの1種で、現在までに約35種類が確認されています。ビフィズス菌は人間の腸内に住みつくことのできる細菌で、腸内細菌の中で最も重要な役割を担っています。)
有害菌はタンパク質を好み、腸内で「腐敗」を起こし、健康にマイナスをもたらします。有害菌の代表的なものは「ウエルシュ菌」です。その他にも「大腸菌」や「ブドウ球菌」などが知られています。有害菌はタンパク質や脂肪を分解して「有害物質・発ガン物質」を生成し、腸内環境を悪化させます。それによって老化が早まり、病気にかかりやすくなるのです。(※悪玉菌として名高い「ウエルシュ菌」は、腸内に常在する有害菌「クロストリジウム」の1種です。)こういったことから肉食オンリーは極めて問題があります。
腸内細菌の悪化の要因
腸内環境はいろいろな原因で変化しますが、なかでも食生活は大きな影響を及ぼします。 欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。食物繊維が不足した「不健全な食事」では、腸内細菌のよい働きを引き出すことはできません。高タンパク・高脂肪・低食物繊維の欧米型食事は、腸内環境にとって最大の敵と言えます。
また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。抗生物質は病原菌をやっつけるだけでなく、よい腸内細菌まで殺し、腸内フローラを悪化させます。家畜に投与された抗生物質が肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。
こうした食事やライフスタイルの間違いが、腸内細菌のバランスを崩し、人体にマイナスの働きを引き出すことになってしまいます。人間と共存・共生している細菌のトータル的な働きを、よい方向に向けられるかどうかは、人間サイドの姿勢によって決まるのです。
特に食事のよし悪しは、腸の健康にとって決定的ともいえる重要性をもっています。高タンパク・高脂肪の肉や牛乳などを減らし、野菜料理に漬物や納豆などの発酵食品を加えた伝統的な日本食にすれば、“腸内フローラ”の崩れたバランスは回復し、健康を取り戻すことができるようになります。「食物繊維」の豊富な食事によって、腸内細菌をよい状態に維持することができるのです。欧米型の食事をやめて、野菜や発酵食品を中心とした伝統的な日本食にすることが、腸内細菌をよい状態に保つ強力な方法となります。腸の健康のためには、真っ先に「食事改善」に取り組まなければなりません。
3)デトックス機能の低下
デトックスとは
デトックスとは身体の中の毒素を外に出すということです。不要なものは出してしまうことが大事なことです。ちなみに便秘になると不快感を感じます。イライラしたり身体が重く感じたりしますが、快便の時は爽快じゃないですか。またサウナや岩盤浴で汗をたくさんかいた時も気持ちいいです。老廃物や毒素を出した時には爽快感を感じるのです。
もちろん毒はなるべく身体に入れないほうがいいのですが、現実的にはとても難しいことです。だからなるべく出してしまうために「デトックス」が必要なのです。
体内の毒素や老廃物を外に出すこと。これは必要なことなのです。
ストレスが続いて血圧や血糖が上がるなど、新陳代謝が低下することで体に必要な栄養素などが届きにくく、老廃物などの不要なものが、排出しにくい状況になってしまいます。つまりデトックスができにくい状況になってしまいます。
毎日の食生活で取り入れる食べ物(たんぱく質・脂質・炭水化物・ミネラル・水)で私達の体が維持されています。その人間の体の70%前後は水でできていますが、水の使い方で体の中の老廃物や汚染物質を流しだすことに大きなヒントがあるのです。
人の体は、日々代謝を行い古いものと新しいものとに交換しています。細胞の数で5000億個の細胞が入れ替わるといいます。
その結果、不要物としてたんぱく質や核酸が分解されて出てくる老廃物や、生命維持や代謝によって出てくるものなどの有害物質なのです。
体の不要物質は、血液によって回収されますが、血液の循環がスムーズに行われないと回収されずに臓器や細胞の働きを邪魔することになります。
●尿を出しましょう!!・・水分摂取を怠りなく
尿は体の老廃物を排泄したり、病気を教えてくれたりと人間の体にとって大切な役割をしています。体に毒素をためず健康体にするためにも、毎日の生活においての解毒(デドックス)を心がけが必要です。
基本のデドックス・・・多くの解毒(デドックス)の中でも基本ともいえるものが、水を飲むということです。あらゆる代謝は水のある環境下で行われるので、水を飲むことで代謝がスムースになり、細胞が解毒(デトックス)されていきます。
特に、尿から有害物質を排出するためには、尿の濃度を薄く保つことが必要で、水分が不足して尿の濃度が高まると、有害物質が溶けずに体内残ってしまいます。
水をコップでこまめに意識して飲むことです。目安は1日1から2リットルほどです。 ただし、病気で医師にかかっている場合は、水分摂取の注意があるかもしれませんので、医師とご相談してください。
体のなかの様々な化学反応の媒体
浸透圧バランス、pH調整、血液循環などの、体内で起こるほとんどの作用に水が関係しています。体温を調節や、栄養素を運んだり、不要なものを排出するのも、水が大きく関わっています。命の源とも言える働きをしているのです。
大量の水が自分の中を流れ、あらゆる機能を支えていることを考えると、いきいきした体をつくるのに、水の質が体の良し悪しを左右すことになります。そのためにもよい水を取りましょう。
ストレスが多い環境下では体内で活性酸素が発生しやすく、様々な病気の80%は活性酸素が関与しているともいわれています。その活性酸素を消してくれるといわれる水素水が話題になっていますが、世界に奇跡の水といわれる名水もこの水素が多く含まれているそうです。
☆水の可能性に期待して、老廃物のデトックスを心がけましょう!
●食生活に気をつけましょう。・・食物繊維摂取不足には注意を
沢山尿を出すために、食物繊維やカリウムは、便や尿を出やすくするので、たっぷり取ることをおすすめします。カリウムの多い食材には、ほうれん草やトマト、リンゴ、にんにく、人参、海藻など・・・。
要注意!食品添加物の現実
食品添加物には、保存剤、殺菌剤、漂白剤、小麦粉改良剤、合成着色料、合成着香料、乳化剤などがります。普通の食生活をしていても、私たちは1日に80種類以上の食品添加物を食べています。食品添加物の怖さとして、その発がん性が取り上げられています。
使用されている食品添加物の組み合わせによる害は測定されていません。仮に、食品添加物自体は、発がん性がないとしても活性酸素となると話が違います。いま、私たちが口にする食品は、食品添加物のお世話になっていないものが無い程です。
そうした食べ物からも活性酸素が生まれるのです。食品添加物には亜鉛を消費するものが多く、亜鉛不足は、活性酸素を打消すSODの効果を弱めます。その結果体内に発生する活性酸素の増加が大量に増加することになります。そのような体内を水でデドックスをしましょう!
4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスの悪化
全身のさまざまな生理機能を調節するもの(生理活性物質)には、「ホルモン」がありますが、特定の内分泌腺でつくられ、全身を支配しているのに対して、局所ホルモン(エイコサノイド)がこれとは別にあります。こうした調節物質を、ここではまとめて「プロスタグランジン」と呼ぶことにしますが、プロスタグランジンは個々の細胞でつくられ、細胞レベルでの調節を行っています。(※そのため局所ホルモンと呼ばれています。)しかし、その働きはきわめて重要で、身体全体の機能に関係していると言ってもよいほどです。
局所ホルモン(エイコサノイド)は、必須脂肪酸であるオメガ3とオメガ6という脂肪酸からつくられます。
必須脂肪酸であるオメガ3とオメガ6が体内で化学変化を繰り返し、各種の「プロスタグランジン」が生成されていきます。(※食物として体内に吸収されたオメガ3・オメガ6の大部分は、他の脂肪酸と同じく燃焼に回されますが、細胞膜からピックアップされた一部がプロスタグランジンに変換されます。)
プロスタグランジンは原料である脂肪酸の違いによって、3つのグループに分けられます。そして、そのグループ内でさらに複雑な変化をして数十種類のプロスタグランジンがつくられます。
ここで大切なことは、プロスタグランジンは大きく3つのグループに分かれ、グループごとに異なる働きをしているということです。なかでも「オメガ3系のEPA」からつくられるプロスタグランジンと、「オメガ6系のアラキドン酸」からつくられるプロスタグランジンは、相反する働きをして細胞機能のバランスをとっています。
もう少し詳しく見てみると、オメガ6系からは2つのグループのプロスタグランジンがつくられ、互いに相反する働きをしています。現在、その材料となる「オメガ6」は大量に摂取されています。そのうえ大半の人々は、肉・乳製品・卵などの動物性食品を多く摂っていますが、そうした食品には直接「アラキドン酸」が含まれています。そのためアラキドン酸由来のプロスタグランジンが大量につくられることになります。つまり1グループ目に比べ、2グループ目のプロスタグランジンだけが過剰に生成され、細胞機能のバランスを欠くことになります。
2グループ目のプロスタグランジンと、オメガ3系からつくられる3グループ目のプロスタグランジンも、相反する働きをしています。しかもこの2つは、オメガ6系のグループ同士より強力な競合関係にあり、一方が大量につくられると、他方はその分だけつくられなくなります。ということは、現在のような「オメガ3欠乏」の状態では、圧倒的に「アラキドン酸」由来のプロスタグランジンが生成されることになるのです。「オメガ6」と「動物性食品」の過剰摂取から2グループ目のプロスタグランジンだけが異常に多く生成され、「オメガ3」の欠乏から3グループ目のプロスタグランジンが極端に不足してしまっているということです。そのために細胞機能のバランスが大きく崩れ、酸化ストレス・炎症体質を形成することになり、さまざまな障害・病気が引き起こされているのです。
例えば“炎症”という作用の場合、それを抑制するプロスタグランジンが「オメガ3」からつくられるのに対して、アラキドン酸由来の「オメガ6」からは炎症を激化させるプロスタグランジンがつくられます。このように―「血栓を減らしたり、増やしたり」「発ガンを抑制したり、促進したり」「子宮を弛緩させたり、収縮させたり」「血管を拡げたり、狭めたり」して、互いに相反する働きかけをしています。車にたとえれば、アクセルとブレーキのようなものです。1つの生理作用に対して、それぞれ反対の働きかけをしながらコントロールしているのです。多種類のプロスタグランジンが互いに関係をもちながら、身体全体の機能を維持しているのです。
「オメガ3」と「オメガ6」の脂肪酸は、単なるカロリー源や組織の構成成分となるだけでなく、細胞機能を調節するプロスタグランジンの材料となっています。プロスタグランジンは、神経系・ホルモン系に続く「第3の調節系」と言われ、油の中でも最新の研究分野となっています。1982年には、欧州の3人の研究者がノーベル医学生理学賞を受けています。
オメガ3とオメガ6のアンバランスを引き起こす原因
では、どうしてこのような異常な事態を引き起こすようになったのでしょうか。「オメガ3」も「オメガ6」も、植物性食品や植物油の中に多く含まれています。そして、その植物油がアメリカや日本において大量に摂取されるようになったのは、1960年以降のことです。食事が欧米型に向かい、油料理・揚げ物料理が多くなった時期ということです。
食事の欧米化の中で摂取量が増え続けてきた油と言えば、コーン油・大豆油・サフラワー油(紅花油)などです。そして、それらをベースにしたマヨネーズやドレッシング・マーガリンなどです。実は、こうしたどこの家庭でも毎日のように使う油には、「オメガ6(リノール酸)」が豊富に含まれているのです。
(一般に使われる油の中には、45~75%もの「オメガ6」が含まれています。)
一方、「オメガ3(アルファ・リノレン酸)」を多く含む油としては、シソ油・エゴマ油があり、欧米では亜麻仁油があります。しかし現代人のほとんどは、これらの油を料理に使うことはありませんでした。(※日本ではあまりなじみのない「亜麻仁油」ですが、食用に用いられた歴史は古く、ギリシャ・ローマ時代からだと言います。北欧諸国では第2次世界大戦の前まで、どこの家庭でも使われていました。)
また食品によっては、オメガ3を比較的多く含むものもあります。野菜(特に緑の濃い冬野菜)・海藻・魚(背の青い大衆魚)などです。そしてこれらの食品は、昔の日本人は日常的によく食べていました。そのためかつては、かなり「オメガ3」を摂取することができていたのです。油料理をひんぱんに摂るような現代とは違って、オメガ3とオメガ6のバランスは自然に良好だったのです。
現代人は、オメガ3の摂取源となる野菜・海藻・魚などをあまり摂らなくなっているのに対し、オメガ6の摂取量は激増しています。食事が欧米型に傾けば傾くほど、「オメガ6」だけが多くなってしまうのです。こうして必然的に、「オメガ3」と「オメガ6」のバランスは大きく崩れてしまいました。
現代人の深刻な「オメガ3脂肪酸欠乏」
食生活の欧米化が深刻な「オメガ3欠乏」を招いていますが、その一因としては、次のようなことも挙げられます。一般に現代人は、寒い地域の食物より、温かい地域の食物を好んで食べるようになっています。温室栽培や輸入によって、冬でも、トマトやキュウリ・ピーマンなどの夏野菜が食べられるようになりました。実は、「オメガ6」が暖かい地域の農作物に多く含まれているのに対して、「オメガ3」は寒い地域の農作物に多いのです。ホウレン草・シュンギク・小松菜・白菜・ブロッコリーなどの冬野菜は、よいオメガ3の摂取源となっています。
また精白技術の進歩が、オメガ3不足に拍車をかけています。穀類の胚芽にはオメガ3とオメガ6がともに含まれているのですが、精白することで「オメガ3」が失われてしまいます。
さらにオメガ3不足の大きな原因として現代式の製油方法が挙げられます。食用油といえば、かつては手絞り的な圧搾法「コールド・プレス(低温圧搾法)」で製造されていました。しかし現代では、そうした方法でつくられているのは亜麻仁油・オリーブ油などの一部の油のみです。それ以外のほとんどの食用油は、化学的溶剤で原料の中の脂肪を溶かし出し、その後に溶剤を除去するといった方法でつくられています。そして最後の脱臭工程では、230℃以上もの高温処理がなされています。取り出された油には、部分的に水素が添加されます。“水素添加”とは、不飽和脂肪酸の二重結合部分に、高温高圧下で強引に水素をつなげて油を飽和状態に変えてしまうことです。こうすると油は酸化しにくくなって日もちがよくなり、商品寿命が延びるからです。
こうした製油過程で真っ先に失われてしまうのが、水素と最も反応しやすい「オメガ3」なのです。原料となる大豆やゴマなどの種子類には、わずかですがオメガ3が含まれていますが、今述べたような製油方法では、ほとんどなくなってしまいます。そのうえ「トランス型脂肪酸」という有害な脂肪酸が生成されることになります。(※「溶剤使用」「高温処理」「水素添加」という現代式の製油方法の中では、オメガ3だけでなく、ビタミンなどの栄養素も失われてしまいます。
このような原因が重なって、現代人の「オメガ3不足」は、きわめて深刻な状態になっています。
5)インスリン過剰分泌
インスリン過剰分泌は「酸化ストレス・炎症体質」を悪化させる
まず、血糖値を急上昇させると太りやすくなり、片頭痛にもよくありません、ということを説明しましょう。
血糖値というのは血液中のブドウ糖の濃度のことです。ブドウ糖というのは、ご飯や麺類などの主食に多く含まれる「糖質」が分解されたもので人間が活動するための主なエネルギーになります。食事をすると糖質が消化吸収されブドウ糖になり吸収され、血液によって体のあちこちに運ばれます。
血液の中のブドウ糖はそのままではエネルギーとして使えません。血管からエネルギーを使う器官の細胞に取り込まれないといけないのですが、その取り込む役割をするのが「インスリン」です。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、食事をして血糖値が上昇すると分泌量が増え、血中に増えたブドウ糖を細胞に取り込みます。
その取り込まれたブドウ糖がエネルギーになって、人間は活動することができるのですが、余分にとってしまったエネルギー(ブドウ糖)は脂肪として蓄えられてしまいます。ですから必要以上に血糖値を上げない方が良いのです。
急激に血糖値が上がりすぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにインスリンが過剰に分泌されることになります。過剰に分泌されたインスリンは血糖を下げすぎることになります。血糖値が下がりすぎると、血糖を適正なレベルに戻そうとするからだの仕組みが働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー源として放出されるようになります。
体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費がバランスしていれば問題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバランスが崩れてしまうと血液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。
お菓子などの甘いものを食べると太りやすいといいますが、それは甘いものには非常に消化吸収の早い糖質である「砂糖」が多く含まれていますから血糖値が急激に上昇してしまいます。その急上昇に対応するため多くのインスリンが分泌され、すぐに使い切れないほどのブドウ糖が肝臓に運ばれ脂肪になってしまうのです。
そのように、食べる糖質の種類によって、あるいは食事の仕方によって、血糖値の上がり方に違いが起こります。
緩やかな血糖値の上がり方なら良いのですが、急上昇と急降下を繰り返すような食事をしていると太りやすいのです。上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンが頑張って中性脂肪をたくさん作ってしまうということなのです・・・
また、急上昇急降下の食べ方はすぐにお腹が空くので、食べる量が多くなってしまいますし、いつも大量のンスリンを出していると膵臓が疲れてしまい糖尿病になりやすくなってしまいます。
では、どういう食事をすると、血糖値の上がり方になってしまうのかというと、お菓子を食べる、ソフトドリンクを飲む、などの糖分摂取だけでなく・・
「いただきます」と言ってすぐにご飯を食べる。
朝食を抜くなど食事と食事の時間を長くあげてしまう。
そういった食べ方は血糖値が急激に上がってしまうのです。最近よく、食べる順番を工夫することが片頭痛治療・ダイエットに役立つといわれますが、食事の最初に食物繊維をとることが血糖値の急上昇を抑える効果があるからなのです。
さらに活性酸素は細胞にインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)を高めて、それにより糖尿病や動脈硬化を引き起こしやすい状態をつくるという悪循環になります。
インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)は、それ自体で「酸化ストレス」を促進すると言われています。
これらによって引き起こされる炎症反応は活性酸素の増加や細胞の酸化を促進する要因になります。
血液中に溢れる遊離脂肪酸も直接的に酸化ストレスを増加させる要因になっています。
血液中に大量の遊離脂肪酸があると、血液の酸化が亢進します。
また、脂質が酸化されると細胞が障害されてしまいます。
細胞を包む膜の活性酸素産生、細胞内のミトコンドリアでの活性酸素産生も促進します。
また、肥満化した脂肪細胞からは様々な生理活性物質(アディポカイン)や炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が分泌されます。
これらの生理活性物質や遊離脂肪酸などが合わさって、身体の「酸化ストレス」を促進する要因となり、全身の障害を招くことになるのです。
以上、「酸化ストレス・炎症体質」を改善するためには、その根底にある次のような問題を解決する必要があります。
1)毎日の食事とともに摂取される有害物質をとらない
2)乱れた腸内環境を整える
3)解毒(デトックス)および解毒代謝能力を向上させる
4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスの乱れを正す
5)インスリンノ過剰分泌を抑える
これらの根本的原因を解決しない限り「酸化ストレス・炎症体質」を改善することはできません。8)
生活環境により、さらに毎日食事とともに摂取される有害物質、さらに食事の摂取のしかたから、腸内環境が乱され、さらに有害物質が体内に蓄積することにより「酸化ストレス・炎症体質」が作られてくることになります。このため、腸内環境を整え、デトックスを日々意識して行っていく必要があります。
この部分を解決しないことには、片頭痛を根本的になくしてしまうことは不可能です。