生まれつき「ミトコンドリアの働き」の悪い状態から、さらにミトコンドリアの働きを悪くさせるものがあります。それは、まず「頭痛」のたびに服用する”アスピリン”を含んだ市販の鎮痛薬であり8)、片頭痛・予防薬として使用される抗てんかん薬のデパケンであり、また風邪などのときに安易に使用される抗生物質です。
そして、マグネシウム不足を引き起こす生活習慣です。8) このことは、マグネシウムのところで述べたばかりですので、省略します。
ミトコンドリアは細胞内で細菌のように見え、実際、昔、真核細胞生物に入り込んだある種の細菌がその先祖であると考えられています。このように、ミトコンドリアは細菌的な性質を有していることから、他の細菌類と同じように抗生物質により殺傷される可能性が高いのです。細菌に近い生物であったミトコンドリアにも少なからずダメージを与えます8)。特に片頭痛の人は、ミトコンドリアの数がもともと少なく、またミトコンドリアの働きが悪いために、その影響を受けやすいのです。
こういったことから、意味のない風邪での抗生物質の服用には注意が必要です。
また、牛肉、豚肉、鶏肉など、大量生産される畜産食品や養殖魚には抗生物質を含むエサを用いて飼育されたものが多く、それらを通して抗生物質が摂取されることになりますので、これらの食品のとり過ぎには注意が必要です。
また、アスピリン(アセチルサルチル酸)は、肝臓で代謝されてサルチル酸という強い酸に分解されます。サルチル酸は、ミトコンドリアが代謝物を取り入れる小さな穴を破壊します。その結果、ミトコンドリアはエネルギー代謝ができなくなり、最終的に死滅してしまいます。頭痛薬や風邪薬の安易な服薬は、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせます。こういったことから、片頭痛の初期段階である緊張型頭痛の状態で、アスピリンを含んだ鎮痛薬を頻繁に服用していますと、片頭痛への移行を早めることになります。片頭痛の段階での服用は、その鎮痛効果を悪くさせ、結果的に効かなくなります8)。
また、予防薬として使われる抗てんかん薬のデパケンにもミトコンドリア毒性があり3)、要注意です。長期間にわたる服用では、結局何をしているのか分からなくなります。