片頭痛改善のための原則とは | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 ”片頭痛は医療機関では治らない”というのが、「イミグラン錠副作用なしで偏頭痛を治しちゃえ」というブログの開設者・小橋雄太さんの持論のようです。
 果たして、そうなのでしょうか? 私には、多くの疑問を持っております。
 本日は、これをテーマにして、述べて行きたいと思います。


 これまで、国際頭痛センター長で日本頭痛学会の理事長である坂井文彦先生は、以前北里大学の神経内科学の教授の頃に、「片頭痛医療」は「コミュニケーシヨン医療」であると以下のように述べておられました。以下は、その要旨です。


 片頭痛の医療は患者さん参加型で


  1.おまかせ型・・・救急医療
  2.医師指導型・・・従来型、一方通行(一般の病気の場合です)
  3.患者さん参加型・・医師と患者さんのコミュニケーシヨン医療

                      (片頭痛医療)

     ・知識をもつ
    ・症状を観察する
    ・医師に情報として伝える
    ・治す工夫を考える


片頭痛医療の特徴


  1.自覚症状が主体である → 患者さん参加型
  2.問診が重要 → コミュニケーシヨン医療
  3.頭痛情報の伝達 → 臨床上の工夫が必要(頭痛日記など)


 一般の病気は「おまかせ型」「医師指導型」の従来型の一方通行の医療であって、本質的に「医師に言われるまま」従っていさえすれば治ってしまうものとされています。
 ところが、片頭痛は、「医師と患者さんが意思の疎通を図り」ながら、一緒に治していく病気であり、”医師任せ”では治らないとされています。
 このためには、患者さん自身が「知識を持って、自分の症状を観察し、医師に情報として伝え、自分で治す工夫をする」ことが必要不可欠とされています。

 ここで、一番に問題とされることは、頭痛という訴えは、CTやMRIなどの画像検査では、その状態そのものを検査によっては、推測できません。このため、患者さん自身の訴える内容から医師の立場から推測するしかありません。
 患者さんにこのような理由から、頭痛の性状を詳しくお聞きするのですが、患者さんによっては、”ただ、痛い・痛い・痛い”とだけしか申されない方が極めて多いのです。
 場合によっては、自分の頭が痛いから受診したのに、「なぜ、これ以上”頭が痛くなる”ような質問をするのかと、怒り出す患者さんにも遭遇致します。このような方々は、画像検査で”危険な頭痛”でないことを確認さえしてもらえば、それで済まされるようです。
 こうした方々は、いくら申し上げても、これ以上の対処のすべを聞く耳は持っていません。このような方々を拝見するにつけて、ある”壁”を感じざるを得ません。
 こうした方々は、以後、鎮痛薬を服用され続け、薬剤乱用頭痛を併発したり、知らぬ間に”片頭痛を重症化”させてしまう理由にもなっております。

 こうしたことから、「頭痛、そのものに関する」一般的な知識が必要されるところです。
 この目的には、YOU TUBE に総武台脳神経外科の加藤貴弘先生の動画が13本掲載されており、このような患者さんには、閲覧をお勧めして、診察を終えることにしています。
 こうした患者さんは、極めて”論外”ですが、現状では仕方ないようです。


 少なくとも、片頭痛を克服するためには、片頭痛を初めとして緊張型頭痛・群発頭痛に関する「慢性頭痛」全般の必要最小限の知識が必要とされます。それは、今後、さらに説明していくことになりますが、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛はすべて一連のものとして捉えておく必要があるからです。そうしませんと、臨機応変に対処できないからです。
 このような知識を最低限身につけることが、今後の”頭痛”を自分で判断していかなくてはならないことを考えるなら、必要最小限の知識といえます。
  一部の専門家が言われるように、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛と単純に判断できない場合が多々、あるからです。この点は、今後とも明らかにしていくことにします。

 こうした知識は、一応、口頭で説明申し上げるのですが、やはり自分で納得ができるまで、いろいろな一般啓蒙書をご覧になられて、自分で会得するしかありません。
 こうした上で、慢性頭痛の起こる・起こり方を考えていかなくてはなりません。
 こういった説明は、医師でしか出来ないはずです。ここの説明が欠如してしまえば、緊張型頭痛でも片頭痛でも群発頭痛でも改善は望み得ないと思っております。

 こうした理由から、当医院では、このような説明を目的としたDVDの第1巻目を作成しております。自分の知識の程度にあわせて、ご覧頂けるように、極めて多くの解説書を収録しております。
 これを、ご覧頂いた上で、片頭痛を治そうという意志を持つかどうかに掛かっています。

 いきなり、片頭痛を治しましょうと申し上げても、土台無理な話です。


 このような点を踏まえて、次のステップに進んでいきます。それは、これまでも述べて参りましたように、以下の点に要約されます。

 それでは、片頭痛の根治を目指すための手順について、まず述べます。


1.まず、頭痛発作時の対処方法を会得します。
2.つぎに、片頭痛の起こり方を知ります。
3.発作回数が多い場合には、予防薬の服用を考慮します。
4.最後に、片頭痛を根本的になくす方法を行っていきます。


 (1)ミトコンドリアを弱らせず、増やす
 (2)セロトニン神経をいかに鍛え、減弱させない生活習慣を・・
 (3)ストレートネックがある場合は、この是正に努めます。
 (4)有害物質の摂取を控える


 以上を順序立てて・出来れば平行して、着実に行っていきます。これを行いさえすれば、発作は必ず起きなくなって来ます。ただ、発作時に一部の先生が申されるように「頭痛発作の都度、トリプタン製剤を”漫然と”服用していさえすれば、治るといったものではありません。この点を認識することが極めて重要な点です。


1.頭痛発作時の対処法 


 まず、発作時にお薬を使うことになりますが、市販の鎮痛薬が効いておればそのまま服用しますが、効かなければ「トリプタン製剤を使うことになりますが、現在5種類の製剤があり、最初に発作の状況から推測して、このうちの1種類が処方されます。服用されてその「効果」を確認して下さい。次回受診時に「その効きめ」を教えて下さい。これらの5種類の製剤はそれぞれ、個々の患者さんとの相性がありますので、まず一番効果のあるものを見つけることが大切です。(人によっては、全く効かない場合もあります。)
 次に、トリプタン製剤を服用する場合、その服用のタイミングがあります。
 自分の「頭痛発作のパターン」を的確に把握していませんと「最適な服用のタイミング」を見つけることは不可能です。ご自分の発作のパターンを確認する必要があります。
 このためには、一般的な片頭痛の経過を知り、これと自分の頭痛発作と対比して自分自身の発作のパターンを把握しておくことが重要です。そして、パターンが把握できれば発作の早期に服用することが、重要になってきます。
 このようにして、発作時の対処法をまず見つけ会得する必要があります。


2.片頭痛の起こり方を知る。


 本来、片頭痛は、発作が治まれば全く何ともありません。これは、何らかの引き金(誘因・トリガー)が原因で起きていることを意味しています。
 このため、この引き金(誘因・トリガー)を確認することが極めて大切ですが、これを把握するには患者さん本人にしかできないことです。せいぜい、医師ができることは、どのようなものが引き金(誘因・トリガー)になる可能性があるかを示すことしかできません。この引き金は、その日の体調・環境などによって必ずしも、いつも同一とは限らず特定することは簡単ではありません。このため、どういった状況で頭痛発作が起きたかを詳細に医師に伝えない限り、医師からのコメントは得られないということです。
また、人によっては、いくら注意を払っても、この引き金を認識できない方が多いようです。これは、日常的に何気なく行っている動作が引き金になっていることが多いからです。 (このような方々は、「体の歪み(ストレートネック)」が関与している方が殆どです)

 さらに、1.との関連もありますが、誘因に引き続いて、予兆、前兆、頭痛、寛解、回復期と一連の経過をたどっていきますが、自分自身の「発作のパターン」を把握することで、発作前日・当日の状況を的確に見極めることが、誘因(トリガー)を見つけるために重要になってきます。誘因さえみつかれば、半分は治ったようなものです。
 しかし、引き金の見つかる確率は極めて低いようです。


3.発作回数が多い場合には、予防薬の服用を考慮します。


 市販の鎮痛薬にしても「トリプタン製剤」にしても、月に10回以上服用して来た場合は必ず、再度受診の上、副鼻腔炎、甲状腺疾患、貧血等々などの増悪疾患の合併の有無を点検してもらった上で、発作が頻回になった要因が何かを「セロトニン生活」と逸脱していないかどうか「生活習慣の乱れ」がないかを反省した上で、予防薬の服用を考える必要があります。
 このように、月10回以上の服用を持続されますと、以後「薬剤乱用頭痛」を併発してきます。このような「薬剤乱用頭痛」は片頭痛の慢性化の最大の原因となり、ここから抜け出すことは容易ではなくなります。
 片頭痛治療上、最も大切な点は、片頭痛の慢性化を如何にして防ぐかがポイントです。
 いずれにしても、予防薬を服用しつつ、厳重な経過観察が必要になってきます。
 予防薬の効き目の現れ方は極めて緩やかで、効果発現までに最低2カ月は必要とされています。
 また、発作回数が増加する原因として、慢性のセロトニン不足やストレートネックが持続しているためのこともあり、この点を考慮することが必要不可欠になってきます。


4.片頭痛を根本的になくす方法


 たちまち、頭痛発作時の対処方法を会得できた段階で、片頭痛を根本的になくす方法を講じていきます。

 以前にも説明致しましたように、片頭痛患者さんは生まれつき「ミトコンドリアの働きが悪く」このため「セロトニン神経」の働きが悪くなり、一寸した身体的・環境的変化により脳血管が拡張しやすく、このため頭痛発作を起こしてきます。また、姿勢保持が困難となり、ストレートネックを引き起こしてきます。こういった観点から、まず、如何にして「ミトコンドリアの働きを弱らせず、増やすこと」「セロトニン神経」を鍛え、減弱させない生活習慣を徹底して行うかということです。
 理想的な「セロトニン生活」を目指して、睡眠・ストレス対策・食事上の注意点を励行しなくてはなりません。
 このような「セロトニン生活」の効果が発現してくるまでは最低限3カ月は必要です。

 さらに、ストレートネックをいかにして是正させるか工夫していきます。
 このストレートネックの改善を考える場合、まず、歯のかみ合わせに問題がないか、足に外反母趾や扁平足などがないか点検を行い、日常の作業環境を点検する必要があります。ストレートネックを助長させるような作業環境に置かれていないかどうか逐一見直す必要があり、何か問題がみつかれば是正していくことが大切です。
 そして、前屈みで仕事をされておられる方は、毎日、引き起こされた「筋肉疲労」はその日のうちに是正・改善させていくことが極めて重要です。絶対に日々蓄積されていく「筋肉疲労」をため込まないことです。この帳尻が合わないと、いつまでもストレートネックは改善されません。
 このためには、体操・ストレッチ・エクササイズを日常生活に取り入れ、習慣化させて下さい。このようなことは自分でする必要があります。誰もしてくれません。
 いずれにしても、ストレートネックがどのようにして形成されるかをまず理解して、日常生活を送る際の注意点がありますので、これを知ることが重要になってきます。
このストレートネックの是正も極めて重要な改善点です。


 以上のような手順で、片頭痛を根治させていきます。


 このような手順・方法はすべて、患者さん”自ら”行う必要があります。
 発作時のトリプタン製剤の服用方法にしても、自分の頭痛発作のパターンを的確に把握できませんと最適な服用のタイミングで服用はできません。
 また、頭痛発作の誘因(トリガー・引き金)を見つけるにも、患者さん自身がしないことには誰も見つけてはくれません。
 そして、根本的に治すための「セロトニン生活」を徹底させるのも患者さん自身がしなくてはなりません。さらにストレートネックを改善させるのもカイロプラクターや整体師が治すのではありません。日々の日常生活を送る中でストレートネックにならない注意と改善策を講ずることなしには是正できません。
 一部の先生が提唱されるように「頭痛発作時の都度、トリプタン製剤を”漫然と”服用していさえすれば、自然に片頭痛が治ってしまう」ようなことは絶対にあり得ません。
 多くの方々は、片頭痛の発作時に「トリプタン製剤」が効けば、もうそれで”よし”とされる方々がいかに多いかを皆さんはご存じでないと思います。これまで述べて参りましたような「慢性頭痛」の起こり方を認識せずに、トリプタン製剤だけに頼っておられますと、いつの間にか「薬剤乱用頭痛」に陥ってしまい、どうにもならなくなる現実があります。トリプタン製剤がよく効く人にとっては”麻薬”でしかないことを認識すべきです。
 こういったことから、トリプタン製剤が全く効かない(トリプタン・ノンレスポンダー)の方々しか、私と後藤日出夫先生の提唱する方式を採用されないようです。


 こういった意味で、片頭痛医療は「コミュニケーシヨン医療」であって、その場面・場面で疑問に思ったことは医師と相談し、納得ずくで、それ以降の治療を進めていかなくてはなりません。逆に言えば、患者さんが主体で、医師は”従”の立場で「助言者」にすぎないのかもしれません。いちいち手取り足取り指導はしてくれません。患者さんが主体的に疑問を持って、片頭痛と向かい合う姿勢が必要とされます。
 ここが、一般の病気とは、根本的に異なる点です。

 あたかもカリスマ教団の信者のごとく教祖様の教えに従えば治るといった”幻想”は直ちに捨てることが、片頭痛を根本的に治すための最低限の条件です。


 私は、これまでの経験上、初回の片頭痛を発症した「片頭痛の疑い」の段階からこのような考え方で対処すべきと思っております。

 片頭痛の診断は、5回以上同様の「頭痛発作」を経験して、やっと下されるように規定されていますが、5回目の発作で診断されてから治療を開始するのではなく、初回の頭痛発作が起きた「片頭痛の疑い」の段階から治療を開始すべきと思っております。
 少なくとも20歳前後までには大半の方々は発症される訳ですから、この段階から行うべきと思っております。
 といいますのは、30歳を超えてきますと、多くの方々は、頭痛の頻度も回数も増加してきます。とくに女性の場合は、この年代に結婚・出産・育児を経験することで、生活習慣が一変し、特に睡眠時間が十分に確保されず、片頭痛の基本的な治療方針から逸脱することによって片頭痛の程度・頻度が酷くなってきます。これは30歳を境として「ストレートネック」の改善が困難となってくることとも関連しております。少なくとも30歳までには「ストレートネックを改善」させておくべきと考えております。これに成功すれば、極めて順調に片頭痛がコントロールできるような印象を現段階で持っているからです。
 現実に、片頭痛のコントロールができていない方々はすべて35歳以上の方々で、このような年齢になると、ストレートネックが固定化され改善が困難である事実と符合しているものと考えております。
 こうしたことから、「頭痛」が起きた当初から、どのような要因から起きたのかを明確にさせ、片頭痛への移行を極力防いでいく姿勢が大切であろうと思っております。

 このような事実を踏まえて、決して諦めないことが大切と思っています。
 それも、極めて早い段階から治療を開始すべきと考えます。


 以上のように考えて、私は、片頭痛の場合、緊張型頭痛のパターンを呈している段階から対処すべきものと考えております。こうした観点は自分独自で行えるものでしょうか?


 最後に、片頭痛治療は「トリプタン製剤」がすべてではないということが納得して頂けたかと思っております。