これまで、北里大学時代の五十嵐久佳先生は、2005年4月に、「さようなら!不快症状 頭痛」(旬報社)の中で、慢性頭痛の「セルフケア」に関して述べておられました。
以下、その内容をお示し致します。
これらの各項目を「ミトコンドリア」「セロトニン」「体の歪み(ストレートネック)」「有害物質摂取(デトックス)」の要因別に分類すれば、以下のようになります。
ミトコンドリア関連
自分に合った睡眠サイクルを
積極的に摂取したいビタミンB2
マグネシウム不足は頭痛になりやすい
貧血は頭痛の回数を多くする
脳内セロトニン関連
ストレスは頭痛の天敵
有酸素運動で頭痛に負けないからだ作り
アロマテラピイでリラックス
頭痛対策は食生活の見直しから
体の歪み(ストレートネック)関連
長時間同じ姿勢は頭痛の引き金
つぼ押しやマッサージを生活に取り入れる
有害物質の摂取(デトックス)関連
頭痛対策は食生活の見直しから
問題になる項目は「貧血は頭痛の回数を多くする」ですが、これは、”たんぱく質、ビタミンC、葉酸、ビタミンB12”は、活性酸素を消去させるスキャベンジャーと考えるなら、「ミトコンドリアに関連」したもののように思っています。多少、視点が異なるようですが・・
これらの項目は、緊張型頭痛でも片頭痛でも共通した考え方のようです。
しかし、五十嵐先生はこのように述べておられたにも関わらず、「頭痛と”体の歪み(ストレートネック)」といった視点は決して容認されません。アンケート調査時での先生からの指摘でした。
これと同じように獨協医科大学・神経内科教授の平田幸一先生も「セルフケア」の重要性を強調されるのですが、「頭痛と”体の歪み(ストレートネック)」といった視点は否定的な見解を示されます。信じられない思いがします。これは、以前先生に「片頭痛治療の新たな視点」をご覧頂いた際の”書評”のなかで、指摘されたことです。
以前にも、以下の記事で同様の分析を行いました。
「生活指導」の本質とは何か?
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/04/post_d287.html
そして、セルフケアの重要性は、これまでも指摘されてきました。
片頭痛のセルフケア
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/01/post_2943.html
偏頭痛を考える http://www.kirayutakima.net/
片頭痛の生活上の注意
http://www.zutsuu-kyoukai.jp/ 頭痛講座-片頭痛編/
しかし、このように個々の項目は詳細に述べられるものの、こうした項目がどのような意味合いを持っているかについての分析がなされないのは、どうしてなのでしょうか?
少なくとも、こうした項目を挙げた以上、これを裏付ける根拠があったはずです。こうした論文に基づいた考え方であったはずです。
現実に、こうした「セルフケア」を完璧に行いさえすれば、9割の方々が「頭痛」が改善されると言われるにも関わらずです。ここが納得しかねる点です。どうしてでしょうか?
これまでも再三に渡って述べていますように
脊柱の両側には直立姿勢に重要な脊椎起立筋が姿勢をガードしています。
背骨を支える「脊柱起立筋」という筋肉は、体の中で最も長い骨を支えるため、赤筋が最も多く存在している筋肉です。持久力のある筋肉は、まさにミトコンドリア系の赤い筋肉です。このように全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に、ミトコンドリア量が多い事がわかっています。
こういったことから、「体の歪み(ストレートネック)」は、ミトコンドリアが関与していることが明らかです。
そして、「脳内セロトニンの働き」は5つです。
その1:大脳に働きかけて覚醒の状態を調整する。
その2:心の領域に働きかけて、意欲、心のバランスに関係する。
その3:痛みの調節をする。
その4:自律神経への働きに関係する。
その5:姿勢筋に緊張を与える。
片頭痛では本来、ミトコンドリア活性が低く、脳の神経細胞の場合、セロトニン神経が選択的に「ミトコンドリア活性」の影響を受けやすく、セロトニンの合成能も低くなり、セロトニンの合成やその合成のための酵素も充分な量を生成できなくなってしまいます。 その結果、「脳内セロトニン不足」が引き起こされてきます。
現代人が抱えている原因のはっきりしない痛みや自覚症状は、”脳内セロトニンが欠乏”して起こっていることが、最近では通説になっています。
脳内セロトニンの低下は、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあらわれ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、さまざまな自覚症状を訴えるようになります。
この「脳内セロトニン低下」も「脳過敏」を引き起こす要因となっています。
そして、「有害物質摂取(デトックス)」は、ミトコンドリア、セロトニンの代謝面に深く関与しています。
このように、「ミトコンドリア」「セロトニン」「体の歪み(ストレートネック)」「有害物質摂取(デトックス)」の4つはお互い密接に関わり合っていて、錯綜としているようです。
こういったことから、「体の歪み(ストレートネック)」は「慢性頭痛」とは決して無関係とは言えないと考えております。どうして、エビデンスがないとされるのでしょうか?