片頭痛が、単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子による”遺伝的疾患”であるかのごとく考えているのが、現在の日本頭痛学会の考え方です。
しかし、”遺伝素因”が同一であるはずの一卵性双生児の場合、必ずしも2人とも片頭痛を発症することはなく、また、同一の母親から生まれた兄弟姉妹がすべて片頭痛を発症するわけではないことから、大部分の片頭痛は”多因子遺伝”形式をとると考えられています。ということは、”遺伝素因”が存在しても、これに”環境因子”が加わらないことには、片頭痛は発症しないということです。
このような”多因子遺伝”をする病気としては、身近なものとして、生活習慣病であるⅡ型糖尿病があります。Ⅱ型糖尿病は、糖尿病になりやすい素質(遺伝素因)をもっている人に、”環境因子”として、食べ過ぎや運動不足による肥満、アルコール、精神的ストレス、年をとること、その他多種多様の要因が加わって発症します。
こうしたことから、糖尿病の治療方針として、この環境因子の是正に努めるべく「食事療法」と「運動療法」がまず行われ、これに「薬物療法」が追加されます。
片頭痛の大半は、その遺伝素因である「ミトコンドリア活性の低さ」に、”環境因子”として、食生活が原因で「さらに、ミトコンドリア機能の低下」を来して「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質)を形成することにより引き起こされる生活習慣病です。
さらに片頭痛の”環境因子”として「ミトコンドリアを弱らせる”環境因子”」「脳内セロトニンを低下させる”環境因子”」「体の歪み(ストレートネック)を引き起こす”環境因子”」の3つがあります。これらの”環境因子”の係わり方は人それぞれです。
従来より片頭痛を改善させるためには、自分で生活習慣の見直しが勧められ、また「セルフケアという自己管理」が提唱されてきましたが、その具体的な内容が不明でした。
片頭痛という頭痛は、皆さんのこれまでの生活習慣とくに食生活の問題が原因となり、いわば、あなたの生き様(ざま)すべてが関与して起きてくるものです。これらは、いずれも日常生活を送る上で、何気なく無意識に行ってきたことが原因となっています。
このため、先ほど述べた「ミトコンドリアを弱らせる”環境因子”」「脳内セロトニンを低下させる”環境因子”」「体の歪み(ストレートネック)を引き起こす”環境因子”」の3つがどのように環境因子として係わっているかを知る必要があります。
その上で、片頭痛がどのようにして発症し、これらの3つの環境因子が、その片頭痛の経過中にどう関係しているのかを知ることが重要になってきます。
このような知識がなければ、片頭痛を改善させることはできません。このような知識を持った上で、これらをどのようにして改善させていくかが大切になります。
糖尿病と同じように、”環境因子”を是正することによって、片頭痛も治療が行われるべきです。「薬物療法」を行う際に、同時に「生活習慣を改善」しなくてはなりません。
頭痛発作時に使用される「トリプタン製剤」は「高価な鎮痛薬」にしか過ぎません。
予防薬にしても、片頭痛そのものを無くしてしまうほどの効果はなく、あくまでも発作回数を減少させ、「トリプタン製剤」の効果を高めるだけの効果しかなく、これも、あくまでも「対症療法」にすぎないことを認識する必要があります。
参考までに以下のファイルをご覧下さい