今村昌弘著「屍人荘の殺人」を読んで | ひさしのブログ

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推理サスペンス系の小説はいろいろ読んだけど、今回の推理サスペンス物はまた一味違った構成になっていて知らず知らずのうちに一気読みできるほど、十分に面白かった

推理サスペンス物といえば、例えば東野圭吾さんの作品のように犯人像がうまく煙に巻かれ巧みなトリックによって、なかなか判別できなかったり、古畑任三郎シリーズや東川篤哉さんの作品のように当初から犯人が判っていてそれを見つける刑事や探偵の腕に焦点が絞られていたり、秋吉理香子さんや森村誠一さんの様に読者が思いもよらないような展開になって、ラストのどんでん返しや衝撃的な結末に驚かされたりなどいろいろなストリーがあるが、それが習慣的になって慢性化すると徐々に飽きも来るのだが、今回の小説はまた斬新的な一面もあって再読したくなるものであった

まず冒頭に主人公や登場人物など詳細に説明され、さらに小説舞台となる山荘の見取り図がさらに興味をソソル

その登場人物は滅茶苦茶多くて記憶するのも大変だが、小説を読み続けていくにつれて著者の詳細な説明も入って自然と判別できるようになっていく

それに加え主人公の一人である葉村譲とそれに絡む明智恭介、更に剣崎比留子などの夫々の推理も面白い

これが更にゾンビの登場によって、推理物とホラー物とのコラボでさらに面白みが増す

主人公の葉村と明智は謎の女学生比留子を伴って、怪しい映画サークルの会に参加するのだが、そのサークルが宿泊する山荘で肝試しのイベント中にゾンビに襲われる

参加者たちはゾンビの恐怖におののき迫りくるゾンビから逃れるために山荘に立てこもるが、そこでまた新たな殺人が勃発する

犯人は人かゾンビか

それを暴くカギは単に比留子の推理にかかっているが、ここでも密室殺人やエレベーター殺人のトリックなど、読者の興味をさらに沸かせるようなストーリーが展開する

やがて事件の結末は思いもよらない展開に

個人的にこの一見絶対に「黒」ではないと思えるような比留子こそが真犯人と思ったが、実は意外な人物が犯人となっていた

まさかこうくるとは、

この小説に登場する人物は夫々が個性的で特徴を持っている

一見真面目そうで実は裏がありそうな者、肥満体のオタク男、ギャル風な女子、男勝りの女子、無口でおとなしい女子、ヤンキー系のイケメン、アイドル系美女、探偵風な女子、探偵風な男子、金持ちのボンボンなど

まあ並べてみれば、成程、殺され役と犯人役も多少予想できるかな

この小説は「鮎川賞」を受賞したが審査員の作家に満場一致で選ばれたらしい

こういう斬新的な作品は時を得て人気も爆発するが、次第に低迷する

だがやがてマスコミが飛びつき、「映画化」されたりして再び息を吹き返す、そんな感じの作品に思える