『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
江國香織の短編集、そのあとがきの文章を
何度繰り返し読んだかわからない。
苦さとせつなさと、でもどうしようもない愛おしさが
いりまじった想いで。
========
人生は勿論泳ぐのに安全でも適切でもないわけですが、
彼女たちが蜜のような一瞬をたしかに生きたということを、
それは他の誰の人生にも起こらなかったことだということを、
そのことの強烈さと、それからも続いていく生活の果てしなさと共に、
小説のうしろにひそませることができていたら嬉しいです。
---
瞬間の集積が時間であり、時間の集積が人生であるならば、
私はやっぱり瞬間を信じたい。
SAFEでもSUITABLEでもない人生で、
長期展望にどんな意味があるのでしょうか。
========
男にはきっと、最初からわかっているのだろう。
この先を行けばたぶん転ぶなと。
それはもちろん転ばないことが大事だから。
女は、転ばないようにすることよりも、
進んだ先に見えるであろう景色を渇望する。
少なくとも、そんな瞬間がある。
全身の肌が泡立ち、まるで吸い寄せられるように
うぶ毛の一本一本までもがそこに向かってたなびく時。
痛手を厭わず溺れることも怖れず飛び込んで、
激流にもまれながら、束の間目にするその水のきらめきが、
人生の何にも代えられないほど美しいことを、
なぜか私は最初から知っている。
もう誰にも決して言うことはないし、言ったとしても、
人からは濁流にまみれたボロボロの時間にしか
見えないのかもしれない。
それでも・・・
その一瞬のために一生がある、
そんな宝石のような瞬間を生きたこと、
それは間違いなく私の体の一部。
江國香織の短編集、そのあとがきの文章を
何度繰り返し読んだかわからない。
苦さとせつなさと、でもどうしようもない愛おしさが
いりまじった想いで。
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人生は勿論泳ぐのに安全でも適切でもないわけですが、
彼女たちが蜜のような一瞬をたしかに生きたということを、
それは他の誰の人生にも起こらなかったことだということを、
そのことの強烈さと、それからも続いていく生活の果てしなさと共に、
小説のうしろにひそませることができていたら嬉しいです。
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瞬間の集積が時間であり、時間の集積が人生であるならば、
私はやっぱり瞬間を信じたい。
SAFEでもSUITABLEでもない人生で、
長期展望にどんな意味があるのでしょうか。
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男にはきっと、最初からわかっているのだろう。
この先を行けばたぶん転ぶなと。
それはもちろん転ばないことが大事だから。
女は、転ばないようにすることよりも、
進んだ先に見えるであろう景色を渇望する。
少なくとも、そんな瞬間がある。
全身の肌が泡立ち、まるで吸い寄せられるように
うぶ毛の一本一本までもがそこに向かってたなびく時。
痛手を厭わず溺れることも怖れず飛び込んで、
激流にもまれながら、束の間目にするその水のきらめきが、
人生の何にも代えられないほど美しいことを、
なぜか私は最初から知っている。
もう誰にも決して言うことはないし、言ったとしても、
人からは濁流にまみれたボロボロの時間にしか
見えないのかもしれない。
それでも・・・
その一瞬のために一生がある、
そんな宝石のような瞬間を生きたこと、
それは間違いなく私の体の一部。