ひとつのことに打ち込める人、長く続けられる人、
その道を究める人って、すごいと思う。
たぶん、私は欲張りで飽き性なのだ。
いろんなことをやってみたくて、変化がないとつまらない。
だからいつもリセットだらけで蓄積がない。
そうしたいろいろな経験は、私の中のどこかに隠れていて
普段は気づくこともない。
ただ、まったく違うことをしようとする時に、
過去にやってきたことの記憶は何かしら手繰り寄せられ、
気づくと頭と心の運動神経だけを頼りに動いている。
そう、そんな「あれこれ」の寄せ集めで
自分という人間は出来上がっているのだと思う。
他の誰でもなく、私だけが通り過ぎてきた数々のリセット、
そのたった一通りの順列組み合わせ。
それがワタシ。
学生たちとの関わりもそう。
毎年毎年、彼らは入れ替っていく。
その時期、その場所でしか向き合うことができない
一人一人の学生との出会いの積み重ねで、
センセイである私は出来上がっている。
だから、私が学生のためにと言うより、
私の方が学生に教えられたり救われたりしながら
この仕事が続けられている。
会社にいた時も、たぶん同じだったのかもしれない。
今の学生と似た存在がお客様だったと思う。
目の前にお客様がいるという状況を、
働く人誰もが体験できるわけではない。
だからプレゼンや打合せや営業の現場は貴重で、
そこで得られるすべてのこと、手厳しい指摘も痛い苦言も
不満も要望も叱咤激励もねぎらいも感謝の言葉も、
そのどれもが自分のエネルギーになった。
仕事人としての私は、そうした様々なお客様とのつながりから
出来上がってきた。
やがてその仕事や会社そのものをリセットする時が来たけれど、
“いい仕事でお客様にこたえたい”
それだけを思っていたあの頃の自分は、今も私のどこかに潜んでいる。
見かけは何度リセットしようとも、新しい何かに挑もうとする時、
それは瞬時によみがえって私の体を動かす。
そのことを、私は疑いもなく信じている。