「県内避難者の暮らしと支援を考える集い」に参加しました | ワカモノヂカラプロジェクト

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 3月23日、神戸市勤労会館にて、先の震災に伴う原発事故の影響で兵庫県内に避難している方々の『暮らしと支援を考える会』が行われました。県内避難している当事者や行政関係者、ボランティア関係者、報道関係者など40名以上が参加しました。
 
 第1部は兵庫県社会福祉協議会 社会福祉部による兵庫県内避難者へのヒアリング調査結果の報告でした。
 この調査は"100人100様"である避難者の生活について、私たち支援団体や兵庫県民が生活実情を知ることができるように行われたものです。避難者の置かれた状況は様々であり、安易にひとくくりにすることはできないということが前提ですが、調査から見えた支援課題として7点の提案が報告されました。


1.家族の心身ケア
被災地に残している家族の体と心の健康についての不安がある。
身内同士でも心配をかけまいと連絡しない・言わないという状況である。
→被災地をサポートする立場の人から状況が伝わる機会を作る支援が考えられる。

2.子どもの健康
子どもへのケアは特に母子避難者の関心が高い問題であるが、子どもの事を相談する相手がいないことが避難者の不安を強めている。
→専門家による相談対応が求められる。

3.暮らしサポート・仲間づくり
避難形態の違いによって同じ避難者でも考え方に違いがあるため本音を打ち明けられない。土地や人柄など、異なる文化圏での暮らしへのとまどいがある。
→地域コミュニティを含めたコミュニティ作りを進めるため、広域避難者の環境や思いを知ることができる機会作りを継続して行う。

4.仕事サポート
母子避難の場合は学童保育を含めた子どもの保育支援が弱いため、就労に壁がある。
→長引く避難生活を維持するための長期的な雇用制度の創出が求められる。

5.当事者活動サポート
助成金の申請・情報発信など当事者活動には越えなければならないハードルがある。
→当事者の気持ちに寄り添った活動サポートを身近な社会福祉協議会やNPOが担う。

6.常設相談窓口
住宅・就労・教育など、暮らしのちょっとした困りごとや疑問を相談できるところが求められている。
→県庁の被災者電話相談が設置されているが、より身近な市町や社会福祉協議会などが相談窓口として機能することが期待される。

7.集いの場・拠点づくり
団体の事務局拠点の確保に苦労している。
→資金面の助成や助成獲得の支援、既存団体の使用スペースの共有などが考えられる。

 第2部では当事者団体によるシンポジウムが行われました。
 団体を運営している避難者は、それぞれが様々な問題を抱えての避難生活を送りながら団体の運営に取り組んでおり、第1部で報告されたことも含め当事者団体ならではの苦労がたくさんあるということがわかりました。
 またこのシンポジウムでは、「当事者団体と県内の避難者が一堂に集まる機会を避難者を把握している行政に設けてもらいたい」など、行政関係者に向けてお願いする場面がありました。このようなお願いに対して私たちができることは少なそうです。
 一方で「子供の成長によって見守り方を変えていかなければいけないと考えている」という別の問題に対する発言も当事者団体からありました。今のところ子どもたちは当事者団体の集まりの場で絵本を読んでもらったりブロックを組み立てたりして過ごしています。しかし成長していくにつれ、それでは満足できない子どもが出てくるのではないか…という心配です。このような問題であれば、例えば子どもたちと身体を動かして遊ぶなど、私たち学生にもお手伝いできることがありそうです。

 今回お話を聴かせていただいて、とても多くの問題が避難者を取り巻き、その問題は避難者一人ひとり大きく異なるということがわかりました。私たち学生がすべきことは、当事者団体や避難者の課題や不安にきちんと耳を傾け、「なんとかしてもらいたい」と言っている問題の中から自分たちにできることを見つけて行動することだと思います。
 自分たちがしたいことを押し付けるのではなく、今回のような機会を大切にしながら、きちんと内外の声を聴くことができる団体でありたいです。