自分のタンクは何リッターあるんだ?
このスピードで、100キロを走り抜くだけの力を、積載しているのか?
スタートを切って、数十分経つ。キロ6分を切るペースで進んでいる。今はいける。ただこれは今はいけるというだけだ。タンクの蛇口をソローっと開けるように、力を出力していく。いつまでこれを続けることができるのか。不安のなか、蛇口をソローっと開けていく。このままいけるかもしれない、反面、次の瞬間には空っぽになっているかもしれない。それはふとした瞬間に忍び寄ってくる。いけるのか、いけないのか。それを遅らせようと、水分を摂る、補給食を摂る。ただ、ずいぶん早い段階から、吐き気の気配が背後に迫っている。食欲があまりない。湿度が高いのか、常にお風呂場にいるような感覚が続く。サウナが苦手な自分は、このシチュエーションが苦手な部類に入る。
ただ、前に進まなければ、ゴールまでたどり着けない。進むしかない。淡々と進んでいく。淡々とと言ったが、波がかなりある。リズムをつかめたかもしれないと思った瞬間、猛烈に苦しくなる。苦しさに耐え続けていたら、リズムがでてくる。それをひたすら繰り返していく。大きな目線でみたら、これも大きなリズムを淡々と作っていたのかもしれない。リズムは、コースレイアウトにも影響される。走りやすい所、走りにくい所。七竜峠付近は、アップダウンが連続する。八丁浜の歩道は平坦なのだが、ガレがひどい。弥栄庁舎までは、ひたすら長い。60キロ以降現れる碇高原は、クレイジー。下りはとくにクレイジー。とくにへばっているときはクレイジーが過ぎる。丹後庁舎をでても海岸線の細かなアップダウンがうらめしい。西日がジリジリと肌を焼く。
ただし、景色は最高だ。岸壁の向こうの水平線。なんと贅沢なのだろう。
景色とパル彦君の応援に支えられながら、歩を進めていく。これでもか、これでもかと、とにかく最後までアップダウンがなくならない。平坦が来た、残り4キロ。八丁浜のガレ歩道、残り三キロ。万助楼、残り二キロ。網野の市街地、そして1キロ。ラストになってもペースはあがらない。ぎりぎりまで、力を使い果たしているなこれは。タンクは、とうに空になっていた。空になっているところに、ちょっと補充して乗り切る、また空になったら、ちょっと補充。ごまかし、ごまかししていたら、ゴールが目の前までやってきた。もっと蛇口の捻り方が上手になりたいものだ。
応援がありがたい。最後まで。ラストスパートをかけてみる。もうこれで、終わりなんだから蛇口が壊れるまでひねればいいか。丹後おなじみのわかちゃんに、名前を呼ばれ、ゴールテープを切った。今年の丹後も終わった。
12時間49分
さて、来年は、どう走ろうか。
