BOY A/ジョン・クローリー


ヒツジは夜眠る


新年1発目とは思えない重い映画でスタート。
過去と現在の重く辛い現実を区別なく同じ方法で撮り、カットを混ぜながら編集している。
しかし何処にも逃げられないのは過去も現在もどちらも同じだ。
冒頭で渡された靴に刻まれた『Escape』の文字は希望か、それとも絶望か。
2008年度総計60本。
劇場39本。
DVD21本。
今年公開&スクリーン鑑賞のみ35本から選ぶベスト5。
(順不同)

ミスター・ロンリー/ハーモニー・コリン
接吻/万田邦敏
ぐるりのこと。/橋口亮輔
イースタン・プロミス/デヴィッド・クローネンバーグ
ハプニング/M・ナイト・シャマラン


総評:
今年の日本映画のレベルは例年にないくらい高かった。
しかしその中でも『接吻』は頭一つ抜けている印象を受けた。
鏡像段階論とラカンの哲学をベースに積み上げ、
ラストのカタルシスで全ての論理を破壊する大胆さと美しさに震えた。

『ぐるりのこと。』は世界観があまりに閉じすぎていて迷ったが
この現代に隔絶されたコミューンを持って生きること、
そしてアイデンティティを評価した。

『ミスター・ロンリー』は魔法のような映画。
フィルム全体から映画への愛が満ち溢れている。
尼さんのスカイダイビングはまさに奇跡。
空の青さに胸が痛くなった。

『イースタン・プロミス』は
【残酷な現実世界】と【人間の二重性】という
現代映画に蔓延している命題ともいうべき材料を巧く仕上げた。
風呂場での死闘は映画史に残る名シーン。
ティム・バートン、サム・ライミに続き、
元々アウトローだったクローネンバーグがハリウッドを席巻する日は近いか。

奇才M・ナイト・シャマランの天才全開『ハプニング』。
普段、恐怖の対象にないものが絶対的な悪意となって襲いかかってくるのは
ヒッチコックの『鳥』を想起させる。
なによりもモデルハウスの不穏さ!
あのシーンこそシャマランの真骨頂。
ハリウッド新時代を体感させる会心の秀作。

今年もいい映画いっぱい観ました。
来年も素敵な映画に出会えるように。
ジャンパー/ダグ・リーマン


ヒツジは夜眠る


この映画の良さは『シンプルさ』だ。
ストーリーも構図もジャンプする場所も主人公の思考も敵も味方も全てシンプル。
観れば一発で分かる。
そして89分という長さ!
編集もシンプル!!
まさにジャンパー!!!
ここまで引き算がしっかりしているハリウッド映画はなかなかない。

トウキョウソナタ/黒沢清


ヒツジは夜眠る


黒沢監督の総決算のような映画。
家族、ホラー、サスペンス、アメリカ、神田川、原宿、ダンボール、逃避行・・・
行き場のない感情を何処に向けるかを家族みんなが摸索して生きている。
でも結局何処にも行けなくて戻ってくる。
家族ってそんなもんだ。
古くも新しくもないただそこにある食卓の風景の強度。
構図も素晴らしい。
間取りがすぐ分かるのはよい映画の証拠。