映画レビュー 「ストロベリーナイト」 | 幽玲の妄想ふぁんたじあ

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良かった点

 the Dark in a Human


フジテレビ系列で放送されていた連続ドラマ『ストロベリーナイト』
その原作となる「姫川シリーズ」の一作『インジブルレイン』を映画化したものが本作です。

刑事ドラマといえば星の数ほどありますから
何か特長がなければ既視感に包まれてしまいます。

その点でいうと
本作は実に≪ダーク≫

そもそも作品全体の色調がダークですね。

本作のサブタイトルが『インビジブルレイン』ということで
作中のほとんどで雨が降っており
とても薄暗い世界。

そして
劇中で発生する事件の奇怪さ。

本作のシリーズで発生する事件はどれも
お金目当ての殺人といった単純なものではなく
人間の闇が生み出す
どこか現実離れした猟奇事件です。

ただし
現実離れしているとは言っても
「フィクションだからね」とは一概に言い切れないものだから怖い。

本作『インビジブルレイン』で起きる殺人事件は
猟奇性こそ他のシリーズと比べておとなしいものの
事件の背後にある登場人物たちが抱えるは実に大きいです。

そう
本作の最大の
登場人物たちが抱えるです。

本作の主軸となる登場人物は
竹内結子さんが演じる主人公の姫川玲子
大沢たかおさんが演じる牧田勲
そして染谷将太さんが演じる柳井健斗の3人。

この3人がそれぞれ抱える
底知れないものです。

そして
を抱えた人間たちが互いに結びついていく様は
怖さを感じるとともに
どこか神秘性すら感じてしまいます。

 生々しい手柄争い

姫川シリーズの多々ある醍醐味の中でも
最も大きいもののひとつといえば
警察内部における手柄争い。

刑事ドラマといえば
主人公が高らかに正義を説いて
手柄争いを全否定するのがお約束です。

しかし
本作では何が正義なのか
その解釈を観る人に委ねています。

というのも
姫川は本作中で警察内部の隠蔽体質を大いに批判しますが
そんな姫川自身
過去に自身をレイプした犯人を本気で殺してやりたいと思っていたりと
けして正義のヒーローではないのです。

そんな姫川をはじめ
姫川班のメンバーや公安上がりの勝俣健作(演:武田鉄矢)
本作では組対(組織犯罪対策部)の刑事たちなど
手柄を得ようと必死。

そんな生々しい警察内部の争いにも要注目です。

今回はそういった≪横の争い≫に加え
≪縦の争い≫が絡んできますしね。

 読めない展開

刑事ドラマや推理ドラマを観ていると
好きでたくさん観ている人ほど
「どうせこの人が犯人でしょ」
と結末が読めてしまうものです。

しかし
本作は読めません。

真犯人が誰なのかくらいなら
分かる人も少なくないかもしれませんが
そこに至るまでの経緯はまったく予想できません。

あらゆる事象や思惑が複雑に絡み合っており
実に完成度の高いストーリーとなっています。



悪かった点

 姫川班のチームワーク


姫川シリーズにおけるもうひとつの醍醐味
それは姫川班のチームワークです。

暴走しがちな姫川を菊田たちが全力でフォローすることで
次々と難解な事件を解決に導いていきます。

ところが
本作ではそれがかなり控えめ。

もちろん
本作とその原作のテーマが
姫川の単独捜査と禁断のラブロマンスであることは承知していますが
もう少しチームワークを見せるシーンをていねいに描いてもよかったかなという欲もあります。



総評

本作はテレビドラマの映画化なので
ドラマを観ていない方は足が重いかと思いますが
ドラマを観ていないとさっぱりわからないようなつながりはないので
観ていない方でも十分に楽しめます。

逆に映画を観終わった後にドラマを観たくなること間違いなしです。

上述のとおり
かなり複雑かつダークな作品ですが
所々クスリと笑わせるシーンもあるので
ほどよくバランスが取れていますね。

現にわたしが観ていた時も2、3回笑い声が劇場に上がりました。

ぜひご覧ください。