どれくらい気を失っていたのだろうか。ゆっくりと目を開けると、ゴツゴツとした岩肌から生える氷柱が敷き詰められた天井が見えた。ここはどこか洞窟の中であるらしい。入口から吹き込む風と凍った地面で体が冷えるが、すべてを凍てつかせる吹雪が吹き荒ぶ氷原に比べればなんということはない。
しかし、ボルは確かに崖から足を滑らせて真っ逆さまに落ちたはずだ。ならばどうしてこのような洞窟の中で気絶していたのか。
「――気が付いたのね」
声がした。上半身を起こしてその方向に顔を向ける。すると、1人の女がこちらへ向かって歩いてきていた。
つづく
