小学校低学年のころ、何 ヶ月かに1度「かなじませんせい」に会いに行っていた。「なかじませんせい」の家は私の家から2時間近く電車を乗り継いだ先の、タクシーに乗った先の、さらに坂道を上がったところにあって、私たちが訪れると、いつもとてもにこやかに出迎えてくださった。初めて「なかじませんせい」のお家で「なかじませんせい」に「将来は何になりたいの?」と聞かれ「漫画家になりたいんです」と答えた私に「それは、ずばらしい。是非、描いたら読ませてください」と言ってくださった先生。毎回30分くらいお話をするのだったが、その後年々かに渡って、何ヶ月かに1度会いに訪れる私に、「漫画を描いていますか」と聞いてくださった。私は結局「なかじませんせい」がどのような人なのか知らなかった。私が知っているのは、沢山の人が会いに来ている、ということだけで、それ以外に社会的にどのような人なのかは、知らないままだった。でも、私は「なかじませんせい」を訪れるのは楽しみだったし(その度に、おいしいうどん屋さんによってご飯を食べていたから)、優しい「なかじませんせい」を訪れるのが嫌であるはずがなかった。結局、高校を卒業するくらいまで、回数は減ったものの「なかじませんせい」に会いに行っていたと思う。その後、何年か後に、父親から「なかじませんせいは遠くにいかれた。仙人になられるんだ」と聞いた。なかじませんせい、私は結局漫画家にはなっていませんが、今会って話しをしても、にこやかに話しをきいてくれるでしょうか。