【第11話】
面倒な事になった…
会社とは関係ない。
上司にとやかく言われたくない。
関わりたくない…
でもここで会社と関わるのを避けたら、事態はもっと面倒になる事は目に見えていた…。
携帯を手に取る。
一度アドレス帳から消した卓弥の番号…何度となく見ているうちに覚えてしまった。
着信履歴の卓弥の番号を何回も何回も見つめた。指で番号をなぞってみた。
いつかこうなることは自分でわかっていたはすだ。
…全く感情というのは厄介だ。理性を捨てずに冷静な行動を取ってるつもりなのにふたをあければ流されて、ロクな事をしていない。
会社か…。
帰る場所は会社しかない。
やっと覚悟を決めて連絡をいれた。
早速、営業部長原口氏との面談があった。
原口いわく
ヤツらは集団で会社に来たらしい。
ロン毛、ボウズ、色々いてまあホストっぽいのとヤクザっぽいのがいて、全員目つきがヤバかったらしい。
架空会社だろ!とつっこみたくなるローン会社を名乗りおどかしてきたらしい。
冷静に対処してくれた原口氏の説明を聞いてるうちに、恥ずかしくなる。
自分が何をして、どれだけ大人げなく、周囲に迷惑をかけてきたかを再認識する。
いたたまれなさを必死にこらえながら原口氏の状況説明を聞いた。
するとこう聞かれた。
問題の男と出来てるのか?
肉体関係は?
(-_-#)…なんでそんな事聞くんだ。無茶苦茶不愉快極まりなかった。
付き合ってたわけじゃない。利用されてただけ。
彼が欲しかったのは私自身じゃない。お金である。
しかしたとえ利用されてるにしても、私は彼に会いたかった。
そこで需要と供給が一致した。それだけの逢瀬である。
切なさとともに、下世話な原口の質問にいらだちを覚える。
すると原口はこう言った。
一番会ってた卓弥って男?お前の事が好きだったらしいぞ。相思相愛だったんだな(笑)
え?
最悪の事態なのに
原口の暴露に固まった。
無神経とわかりつつも、笑顔になりそうなのを必死にこらえながら否定した。
原口はこう言った。
じゃあお前に弱味はないな。いざという時、出るとこにでても大丈夫だな!
…なるほど。そういう事か。
自分がまいた種がとんでもない芽をだした事を痛感した…。