浮島の森 | 空と海・・・ときどき山のブログ

2019年11月28日の新宮市はあいにくの雨だった。

浮島の森管理事務所で頂いた小さなパンフレットに目を通す。

 

『新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落』

国指定天然記念物 昭和2年4月8日

 新宮市の中央部にあり、俗に浮島の森とか、藺の沢(いのど)の森と

称せられています。

 ほぼ方形の小島で東西約96m、南北約55m、総面積約5,000平方mです。

 縄文時代(6000年前)のころには、海が陸側に侵入していて

市内は蓬莱山、明神山などが島として浮かぶ内湾になっていました。

 縄文時代の終わりになると、海が退くとともに、

市内は広い沼沢地(しょうたくち)になりました。

 この沼沢の中で植物の遺骸が多数集まって形成されたのが

浮島で成立は1,700年前半とみられています。

 浮島が水に浮くのは植物遺骸が分解されずにできた水より比重の軽い

「泥炭」からできているからです。

 浮島の森にはスギを優先種として多くの植物が生育しています。

 そのなかで注目すべきことは温暖な地方にありながら北方系植物の

オオミズゴケやヤマドリゼンマイが繁殖し、

その一方で亜熱帯系植物のテツホシダが生育しているという

他に類を見ない生態系をもっていることです。

 浮島は暗褐色の泥炭層の厚い泥層の上に浮かんでいるために

池表面の昇降によって、それとともに島もまた昇降したり、

島の地表で強く足踏みすると島が揺れ動き、樹木の梢がゆれます。

 試しに竿を地中に押し入れると10mに達しても、なお地盤にとどきません。

 

 この地は昔、神倉聖が行をする霊地として島に入る者がいなかったといわれています。

 昔、この付近に「おいの」という美しい娘がいて

ある日のこと父に連れられて、この島に薪を採りに渡りました。

 間もなくお昼になって親子がお弁当を開いて食べようとした時、

箸を忘れてきたことに気付き「カシャバ」(アカメガシワ)の枝を求めて

娘が島の奥深く入って行ったということです。

 待てども待てども娘が戻って来ないので怪しんだ父が後を追って捜しに

行ったところ、娘はまさに大蛇に呑まれて蛇の穴に引き込まれようとするところで

父はそれを見て気も狂わんばかりに驚き助けようとしましたが、

ついに島にある底無しの井戸に娘は引き込まれてしまったということです。

 このことから「おいの見たけりゃ 藺の沢(いのど)へござれ

おいの藺の沢(いのど)の 蛇(じゃ)のがまへ」という

俗謡が今に残っています。

 この伝説をもとに、上田秋成は「雨月物語」(蛇性の婬)を書いたともいわれ

のちに谷崎潤一郎が戯曲化しました。

 

板の上を歩くと「タン、タン」と小気味いい音が鳴る。

 

都会のオアシスといったところかな。

若者のデートスポットにしたらダメかしら。

 

「おいの、かわいそうに」と思うのだが、諸説あるような・・・

 

 浮島の森駐車場から神倉神社のごとびき様が見えたので

浮島~神倉神社への街中ウォーキングがあればいいのにねぇ・・・って

すでにあるのかな。