「汚れた手をそこで拭かない」

芦沢央

2023.11.10

文春文庫


ひとつ間違ったら誰しもがそこへ行く可能性はあるーと思わせられる、

これはミステリーではなくてホラーだ。


どっちに転んでも破滅するしかないところへ、

知らず知らず追い込まれていくことは、

一生にうちにはないかもしれないけど、

絶対にないとは言えないのが恐ろしい。


すべて人間のせい。

自分を含め。

誰が悪いのでもないかもしれないけど。


どうしてあそこで手を拭いてしまったんだろう。


ああ、こわい。