僕は自転車で信号待ちをしていた
ゆっくりとあの白い犬がやって来た
僕を追い越したと思うと
くるりと体を反転させて
真正面に立った
そして僕をじっと見つめる
僕もじっと見つめる
その犬は慈愛に満ちた顔で
何故か瞳はオレンジ色だった
白い犬は車道に出ている
「そこは危ないよ」
声をかけるとその犬は
僕の横を通りぬけて歩道に戻った
(言葉が通じてるんだ!)
信号が青になった
僕は反射的に立ち漕ぎで渡った
向こうの歩道に着いた時
「ワンッ!」と大きな声がした
僕は自転車を止めて振り返ったけど
白い犬の姿はなかった
僕はその日一日の出来事を振り返った
幾つもの小さなメッセージがあった
すべてが繋がった
あの白い犬は
今までに出会った誰かではなく
これから出会う誰かだった
僕は確かに受け取った
僕は空を見上げた
ずっとずっと空を見続けた
