ここ最近雨の日が多い。


雨は浄化。

雷は季節の変わり目の知らせ。


雷をきくと思いだす。

こわい記憶と

母のぬくもり。


小さい頃から雷がこわくてこわくて

雷をきくだけで

生きた心地がしなかった。


私が住んでいる地域は田舎で

近くに山があり、田んぼばっかりだったので

よく雷がおちて穴があいていたり、

家の近くの琵琶湖の松に雷が落ちて

松の木がボロボロになっていたり・・・

無残な残骸跡が脅威となって見せしめのように感じた。

子どもながらに

あれが自分のところに落ちたら・・・

そう思うだけで、ぞっとしたげっそり


家から学校までも田んぼばかりで

雨が降っても雨宿りできるところもなく、

雷がなった日には

かくれることも

逃げることもできず、

雷が落ちて穴のあいた田んぼやボロボロになった松がうかび

泣き叫びながら

ひたすら走って帰っていた。


小さい頃は父と母の間で

母と同じ布団に入って寝ていた。

父はほとんど家に帰ってくることがなく

母も仕事で帰りが遅いので

いつも先に一人布団に入り寝ていた。

小さい頃から眠りが浅いのは

母がちゃんと帰ってきているか

確認をしていたからだと思う。

夜中に目が覚めて、横に母がいると

初めて安心して眠ることができた。

夜中に目が覚めることが多かった私は

時々目覚めたとき

雷が大きな音で鳴っていることがあった。


雷をきくとよみがえる記憶

穴のあいた田んぼ、ボロボロになった松。

きっとここにも落ちて

みんな死んでしまう!!

こわくてこわくて

私は母にしがみつく・・・。

母はそんな私に気づくと

寝ぼけながらも

ただ黙ってぎゅっと抱きしめてくれる。


母に抱きしめられると

とてもあたたかくて

とてもしあわせで

恐怖なんてどこかへ行ってしまう。

雷は相変わらず大きな音を鳴らしていても

全然へっちゃら!

全~然こわくない!

へへ~んだ!

雷なんかこわくないぞ~!!

もっと大きな音だしてみろ~

落ちるなら落ちてみろ~

と、さっきまでおびえていた私はどこかへ行ってしまう。


雷は相変わらず大きな音で鳴っているのに

いつ落ちてくるかもわからない恐怖はすぐそばにまだあるのに

それでも母に抱きしめられるだけで

こんなにも安心できるなんて・・・


スキンシップや触れ合いが大切と言われているけれど

触れ合うことでしか

伝えられないこと

伝わらないこと

きっとあると思う。




抱きしめられるという体感は

自分は守られているという安心感。

安心できると何もこわくない

何でもできる気がしてパワーがでてくる。

抱きしめられたハートや手から

自分は大切な存在なんだって伝わってくる。


包まれるあたたかさ・・・

大切だよ

大好きだよ

大丈夫だよ

見守っているよ








雷さん

毎晩鳴ってもいいよ

お母さんがぎゅって抱きしめてくれるから

平気だよ



雷さん

毎晩鳴ってね

そしたらお母さんがぎゅって抱きしめてくれるから


毎晩

毎晩

お母さんにぎゅって抱きしめてもらうから




でもいつか・・・




雷が鳴らなくても

お母さんは抱きしめてくれるかな?




やっぱり・・・


雷は時々でいいや。