この仕事をしていると
厄介な事の1つに
『本強』というものがある。
本番を強要される事である。
新人の頃は
毎回と言っていい程
本番を要求された。
因みにここで言う『本番』というのは
つまりSEXを意味する。
他の業種はよく知らないのだが
ヘルスでは当然『本番行為』は禁止。
禁止だし
やりたくもない。
経験が浅い新人嬢の頃
いろんな事を言われた。
「人妻店では本番当たり前」
「皆やってるよ」
「君に魅力があるからやりたいんだよ、誰にでも言うわけじゃないよ」
「なんか寂しいじゃん、恋人気分でいたいのに」
「俺とが嫌なの?」
「◯◯ちゃんと◯◯さんはやらせてくれたよ」
「いくら出したらいいの?」
「また指名するから」
私が一番最悪だなと思った言い訳が
「本番でないとイカないんだよね」
全て断ってきた。
たまたま本当に
事故的に入口辺りに入りかける・・・という事はある。
相手に悪気がない場合や、こちらの技術不足の場合。
そんな時は、お客様の方がびっくりして
「ごめんね!ごめん!」
と焦って離れて下さる。
タチの悪いのが
『事故狙い』で
自分が上に乗ってくる方。
バレバレだ。
「挿れないから」
信用出来る訳がない。
嘘をつく人もいる。
「前はさせてくれたじゃん」
誰かと勘違いしてるのか、とぼけてるのか。
この辺りにしておこう・・・。
キリがない。
モーニングアフターピル(緊急避妊ピル)
は
1度だけ使った事がある。
入店して間もない頃に
まだ慣れてなくて
お客様が怖くて自分も上手く動けなかった頃。
何も言えず
身体も恐怖で動けず・・・。
店に帰って報告すると
そのピルの事を教えられ・・・。
急いで近くの婦人科に駆け込んだ。
普通のお仕事に比べれば
手にする報酬は高い。
その代わり
背負うリスクも大きい。
10分1000円。
勿論
この業界でなくても
同じぐらいの収入を得ている人もいるだろう。
でも
当時の私には・・・
この仕事で稼ぐしかなかったのだ。
でも
一線だけは
何があっても超えない。
それが私の中での
自分を保つ為の
境界線だった。