出勤が不定期になった事で
確実に仕事を確保する為
私はお馴染みのお客様との
メール交換を始めた。
風俗の仕事用のガラケーを買った。
でも教えるのは、メールアドレスのみ。
電話番号は教えなかったし訊かなかった。
「小百合」の設定は
夫と姑との3人暮し。
電話は絶対無理ですと。
私のお客様は
妻帯者でまともな感覚をお持ちの方が多かったので
お互いにとってそれがよいと。
実家で母と2人暮らしの私は
この携帯の存在を母に隠し続けた。
自分の出勤日が決まると
お店よりも先に
お客様に連絡を取り
予約を確定させてから
店にシフトと予約を伝えていた。
いわゆる「嬢予約」「自分取り」である。
このやり方で
4年間
お店を続けていた。
もちろん、そうやって自分で取った
本指名だけでなく
来店指名、ネット指名やパネル指名のお仕事も頂いて・・・。
そのお店は、パネル指名は
フリーと同じ扱いで
指名料はもらえないシステムだった。
(お店はパネル指名料と称して1,000円頂いている)
お店への勤務を続ける中で
普通職である
オフィスに出勤して
パソコンをカタカタと鳴らしていると
「まともな世界の住人」
である錯覚を起こす。
ここにいる間は
私は普通のOLでいられるんだ。
この時は
まだそう思っていた。
風俗なんて底辺の仕事だと
ここは私の居場所ではないと
すぐに抜け出すんだと
お金の為だけにやってるんだと
思っていたのだ。
閉塞感と
惨めな気持ち。
だが、そう思う一方・・・
お店のお仕事の中で、
自分の努力で予約を取れたり
リピートさんが返ってきたりする事に
遣り甲斐も感じ始めていた。
入店して
2年めの夏を迎えようとしていた。
相変わらず
お店の出勤時には
必ず「精神安定剤」の頓服薬を
飲んでいた。