「曽川切くどき」という瞽女歌がある。
そのなかで「おやげなや抱いて寝た子も流された」という一節がある。
新潟は八千八川といわれるほど川の多い土地。
こちらの絵は歴史に残る「横田切れ」を描いたものです。
横田や曽川や木津の堤防の決壊がたびたびこのような惨状を招いた。
重機のないなか、どのように復旧したのだろうか。
(国土交通省さんHPより)
横田が切れると横田の下流域での浸水が激しい。
たくさんの水死者が下流域に流れていく。
旧吉田で採訪をしていた時に、赤ん坊の水死体の話を聞いた。
赤ん坊はちぐらに入っていて、ちぐらは水から逃れたたくさんの蛇でぎっしりだったという。
もし、濁流に子どもを流してしまった母がこの様子を見たらどんなに嘆き悲しんだろうか。
この蛇に絡みつかれ溺死した赤ん坊を見た人々は一様に衝撃を受け、
子どもたちに発した言葉は
「悪い子はこのようになって死ぬ」。だったという。
亡くなった赤ん坊には罪はない。
罪のない子がこのように言われる不条理。
驚きの話だったが、目撃した子たちを救う言葉であったかもしれない。
本当に悲しく辛い話だった。
溺死した赤ん坊の魂が両親のもとに帰れたことを祈っている。
そして、被災された方々にお見舞い申し上げるとともに失われたすべての命に祈りを捧げたい。