シン・アンパンマン -Real world anthology- | 君を殺しても

君を殺しても

THE NOSTRADAMNZ Lucifer K nemoto

こんにちは。突然の二本立てです。

【小説書いた話】
Xとインスタでは共有していましたが、小説を書きました。よかったら読んでみてください。
PDFなので、印刷してみたりして、眠れぬときなどのお供にどうぞ。

■本編
drive.google.com/file/d/1LmwEs1…

■イメージ集
drive.google.com/file/d/1f-8UgO…

で、それと並行して、5年くらい構想をあたためていた映画の構想を、構想のままの状態で公開します。
誰か映像化してくれ。ぼくは本気である。

以下一作目。

【シン・アンパンマン -Real world anthology-】

◾️プロローグ
2070年。夏。子供たちは忘れ去られた廃屋に入り、探索を始める。リビングの角にあったのはブラウン管のテレビデオ。機械いじりが得意な子供が、バッテリーと接続して電源を入れる。テープが再生され、アニメ映像が映し出される。子供たちは、タブレット端末でしか映像を見たことがないため、初めて見るアニメーションに興味を示す。それは、20世紀末から21世紀初頭に国民的アニメとして親しまれた「アンパンマン」。子供たちは、見たこともないキャラクターに戸惑いながらも、画面に釘付けになる。いつしか夢中になるうちに、外は夕立が降り、廃屋に落雷する。その瞬間、アニメのアンパンマンは、テレビ画面から飛び出し、現実世界に現れてしまう。テレビ画面には、アンパンマンが抜けた穴が空いている。
アンパンマンは、アニメーションのまま、アニメーションの動きで、現実世界に出現する。
アンパンマンは、声を持たず、言葉を発することができない。戸田恵子がいなければ話せない、2次元の存在である。
アンパンマンは、戸惑いながらも、ただそこに立ち、やがて自らの使命を果たすため、飛び去る。

◾️異質な存在、そして社会の闇
アンパンマンは、渋谷のスクランブル交差点で、戸惑いながら佇む。実写の世界にアニメのアンパンマンが浮かぶ様子は、見る者に奇妙な違和感を与える。アンパンマンは、声を発することができないため、ジェスチャーや表情で意思を伝えようとする。そして、彼は、現実世界に蔓延する様々な社会問題に直面する。

◾️受難
人々は、アンパンマンを「昔の着ぐるみ」や「レトロパフォーマンス」として認識し、面白がる。
アンパンマンは、路上で食べ物を漁る子供たち、介護施設で生ける屍のように横たわる老人、街角でひっそりと泣いている若者など、様々な「困っている人たち」を目撃する。

アンパンマンは、虐待を受けている子供を助けようとするが、大人の力には敵わない。2次元の存在は、3次元の力に到底敵わない。

アンパンマンは、延命治療によって苦しんでいる老人に自らの顔をちぎって渡そうとするが、すぐにでも死なせてほしいと拒絶される。

アンパンマンは、発達障害のために孤立している若者に近づこうとするが、警戒され、気味悪がられ、お前に何がわかるのかと罵声を浴びせられる。

アンパンマンは、自分の無力さに打ちのめされ、絶望する。

アンパンマンは、自分がどこから来たのか、なぜここにいるのか理解できず、途方に暮れる。

アンパンマンの存在は、2070年の社会では完全に時代遅れであり、ノイズそのものとして、街に溶け込むことができない。

◾️嘲笑と消滅
アンパンマンの行動は、SNSやマスコミで嘲笑の対象となる。彼は、現実世界の無情さに触れ、深く傷つく。
SNSでは、アンパンマンの失敗を切り取った動画やコラ画像が拡散される。
ワイドショーでは、アンパンマンを「時代錯誤のキャラクター」として批判する。
人々は、アンパンマンを単なる懐古趣味として消費し、彼の存在を軽んじる。
アンパンマンは、人々の冷たい視線に、打ちのめされる。
アンパンマンは、自らの無力さに失望し、存在意義を見失う。
アンパンマンは、徐々に力を失い、その姿を薄くしていく。
アンパンマンは、自分を嘲笑する人々を、ただ見つめることしかできない。

アンパンマンは、現実世界の社会問題の解決に、自分が全く役に立たないことを悟り、深い絶望を味わう。

アンパンマンは、人々の無関心と嘲笑によって、徐々にその存在を蝕まれ、やがて消えてしまう。2次元の存在は、2度忘れられることで、その存在自体が完全に消滅する。

まるで絵画が経年劣化していくように、アンパンマンの体の輪郭がぼやけ、色褪せていく。表情が乏しくなり、感情を失っていく。徐々に解像度を失い、ピクセル化していく。

最後に、アンパンマンは、完全にピクセル化し、ノイズとなって消えてしまう。

◾️ばいきんまん因子の拡散
アンパンマンが消えた後、日本に未曾有の災厄が襲いかかる。それは、アンパンマンという「光」の存在が消えたことで、世界に解き放たれた「闇」の力、ばいきんまん因子が原因だった。

ばいきんまん因子は、アンパンマンの対となる存在であり、原典で設定された「アンパンマンを倒す」という目的を失い、アンパンマンが存在しなくなった世界において、その存在意義を見失う。
その結果、「世界を滅亡させる」ことが目的化する。

ばいきんまん因子は、人々の「悪意」を増幅させ、衝動的な行動を引き起こすのではなく、”へんなもの”を作り出させることで、社会に混乱をもたらす。

感染者は、ばいきんまん因子の影響により、自らが何を作っているのかを理解できず、無意味なものを作り続ける。
感染者が作ったものは、一見すると滑稽だが、その実、社会を破壊する機能を持つ。
感染者は、自分が作り出したものが、社会に災厄をもたらしていることに気づかず、むしろ悦に入っている。

感染者の行動は、まるで「悪意」が具現化したかのようであり、純粋な「悪」への欲求によって駆動される。
感染者の作り出すものは、社会の秩序や倫理観を嘲笑するかのように、グロテスクで奇妙である。
感染者は、街中に無意味な構造物や兵器を作り始め、人々は混乱する。
感染者が作った兵器は、ただ破壊的なだけでなく、理解不能な奇妙な動きをするため、対処が困難。
感染者は、自らの行動が世界を滅亡に向かわせていることに、微塵も関心がない。
感染者の作った構造物により、交通網が麻痺し、社会インフラが崩壊する。
感染者の作った兵器は、無差別に攻撃を行い、多くの犠牲者を出す。
感染者が作り出す”へんなもの”は、増殖し続け、巨大化し、世界を覆い始める。

社会は混乱し、秩序は崩壊寸前となる。

その様は、アンパンマンのいない世界を象徴する、混沌とした光景である。

◾️知恵と技術の結集、そして希望
あの日廃屋でアンパンマンを観た子供たちは難民キャンプで再会する。そして、あの日作中で見たアンパンマンの勇気を口々に語り合う。
そして、それを聞いた老人が、かつて子供の頃に見たアンパンマンについて、重ねて語り出す。
話の輪はだんだんと人々に拡がり、アンパンマンに触発された人々は、再び立ち上がり、自分たちの力でばいきんまん因子に対抗しようとする。

その中で、とある科学者が、ばいきんまん因子の活動を抑制する物質を開発する。

かつてアンパンマンを嘲笑していたマスコミは、過去の行いを反省し、真実を伝えるべく、立ち上がる。
かつてアンパンマンに励まされた医療従事者たちは、感染者救済のため、身を挺して尽力する。
かつてアンパンマンを「無力」だと思っていた人々は、自らの力で世界を変えることができると信じる。

人々は、アンパンマンのいなくなった世界で、自らが「光」となれると信じて行動する。

かつてアンパンマンを嘲笑していた人々は、アンパンマンの存在意義を再認識し、アンパンマンの意思を継ぐ人々を応援する。

そうして結成された民間組織「パン・デミック・レスキュー」は、ばいきんまん因子を抑制し、感染源である”へんなもの”を無力化するナノマシン「ANti-PANdemic-maCHIne酵母=ANPANCHI酵母」を開発する。

◾️決戦
ANPANCHI酵母は、ナノマシンサイズのアンパンマンの姿で描写され、感染源である”へんなもの”に侵入し、その内部構造を拳で破壊する。

それらは”へんなもの”の内部で光り輝き、その構造を分解していく様は、スペクタクルである。

酵母によって、”へんなもの”は、無力化され、その活動を停止する。

”へんなもの”の増殖が止まり、世界は再び、秩序を取り戻し始める。

酵母の力は、感染者の作り出した”へんなもの”だけでなく、人々の心の闇を浄化し、救済する。

感染者は正気を取り戻し、自分たちが何をしていたのかを理解し、困惑する。

◾️エピローグ
人々は、アンパンマンがいなくても、自らの力で困難を乗り越えられることを知る。
そして、アンパンマンが残した「愛と勇気」は、人々の心の中で永遠に生き続ける。

◾️エンディング
「アンパンマンは君さ」が流れ、スタッフロールと共に、今回の災厄から立ち直っていく人々の姿、アンパンマンの残像のようなものが、街の風景にオーバーラップする映像が映し出される。

そして、エンドロール後には、次作へと続く不気味な映像が流れ、映画は幕を閉じる。

◾️次作への伏線
無力化したはずの、”へんなもの”の残骸の中で、何かが不気味に蠢く

【この映画のテーマ】
◾️メタ構造:
実写世界の中で、アニメのアンパンマンが浮遊する様は、現実と虚構の境目を問いかけ、「光と闇」の関係性を描く。

◾️アンパンマンの再解釈
アンパンマンは、ただそこにいるだけでなく、人々の心に「愛と勇気」の種を植え付ける存在。アンパンマンが消えた後、人々がどのように行動するかが、その真価を問われる。

◾️ばいきんまん因子の解釈:
ばいきんまん因子は、人間の心の奥底に潜む「悪」の象徴として描かれ、アンパンマンという「光」が存在したからこそ生まれた、対となる存在であることを強調する。その活動は、アンパンマンの不在によって、目的を失い、”世界を滅亡させる災厄”となる。

◾️自力での解決
アンパンマンの力ではなく、自分たちの力で問題を解決することを目指す。

◾️リアリズムの徹底
アンパンマンの存在以外は、現実世界のリアリティを徹底的に追求する。

◾️「忘れられる」という概念
2次元のコンテンツは、忘れられることで、その存在自体が消滅するという概念を描く。

◾️社会問題の描写:
虐待、貧困、延命医療、発達障害など、現実世界の社会問題を、物語に自然に組み込むことで、観客の共感を促す。

◾️補足
映像表現は、実写とセルアニメを効果的に組み合わせ、アンパンマンの異質感と、現実の生々しさを表現する。
エンディングテーマは、原曲をアレンジせずに使い、感動を盛り上げると共に、懐かしさ、ノスタルジーを感じさせるようにする。


以上。長いけど面白いと思うんですよね。
資金提供をお待ちしております。
次の記事で2作目の構想も公開!