こんばんは、ルシファーです。
早速ではございますが、新譜「FANTIMMUNE!」について早くも解説します。
とりあえず聴いてほしいです。
■タイトル
本来、EPという形で出すつもりはなかった作品群でしたが、5.14ワンマンの決行が難しそうだなあという局面になり、レコーディングしてあった曲の中から選んで収録したのが本作でございます。
何を届けたいか、と考えると、こうした局面に様々な面で屈しないエネルギーのようなものだなあと思い、このタイトルにしました。
我々のライブのMC中に使われている曲は、1995年から2001年ころにかけて東京ディズニーランドの夜のパレード(今でいうエレクトリカルパレード・ドリームライツの枠)のメインテーマなのですが、あれめっちゃ好きなんですよね。
ちょうど物心ついたあとの子供の時分にディズニーランドへ行くとあれだったのです。
一回おばあちゃんといったとき、あれを見ておばあちゃんが「うわア」とため息をつきながらすごく感激してたのを覚えています。
なんか、そういう音楽を作りたいし、そういうステージをやりたいです。
それはずっと変わっていないのだけど、今回ばかりはどうしても時世を反映させた、2020年的なタイトルにしたくて、「Fanitillution!」と「IMMUNE(免疫)」を掛け合わせた造語として「FANTIMMUNE!(ファンティミューン)」と名付けました。
なんて言いづらいんだろう。
■ジャケ
Vaporwaveにハマっているので、それそのものではなくとも、若干意識した感じを目指しました。
レイアウトはなんとなく元ネタを参照しています。
コウモリはもちろんCovid-19のメタファーですね。
それによってたくさんの血が流れた世界で、知恵と意思でもって、悪魔があなたに素朴な花を贈ります、みたいなイメージです。
配信で紙ジャケ前提ではなかったので、印刷のCMYKカラーではなく、ディスプレイのRGBカラーで映えるようなビビッドな感じも意識しています。
中身にまいります。
■No turning back
いつぞや、リハーサルスタジオから配信を催したときに皆様の目の前で誕生したあの曲です。
こうなりました。
宣言通り、SUM41をめっちゃ意識しています。
ややメタルっぽい雰囲気や、英語の割合が多いのも割と新境地を提示できてる感がある気がします。
歌詞の内容は、実は「Skygazer」の続きというか、また貞子さんの話です。
「Skygazer」は悪霊貞子さん爆誕って場面なのですが、こちらは呪われた人が抗うところです。
原典のリングシリーズでも、作風がホラーからSFに変化していくのですが、ぼくのイメージでもそんな感じで、「貞子vsブレードランナー」みたいなことを描いたつもりです。
なんかこう、呪いのビデオに隠された小さなヒントを追うブレードランナーが、遂に異形の生体アンドロイドとして復活した貞子さんと戦うんですよ。
で、すげえかっこいい形の最終兵器をぶっ放して物理的には勝利するんですが、それでは怨念は消えずにto be continued...みたいな感じですね。
■終身刑
KEMURIやGELUGUGU、Voodoo glow slullsなどの、ぼくらの青春時代を彩ったスカパンク/スカコアを意識した楽曲です。
THE NOSTRADAMNZでは『サラバ』がその類になるのですが、こちらもホーンセクションをがっつり入れて、ひたすらポジティブなバイブスを込めて作曲しています。
そのまま作詞もポジティブなメッセージを込めたかったですね。
ICカードを改札にタッチして、満員電車の中で俯いてはスマホを眺める退屈な毎日。
こんなはずじゃなかった。定年退職までずっとこんな日々が続くなんて、まるで終身刑じゃないか!
否!それでも前向きに生きていくんだ!まだやれる!絶対できる!
でも、いくらそうやって頑張っても出口は見えないんです。
そしてある日、主人公はちょっとした出来心で道を誤ります。
しかしちょっと外れたら、もう何もかもどうでもよくなってしまい、とんでもないことをしでかします。
でもそれが楽しくて嬉しくて気持ちがいい。
どうせ、どっちにしろ終身刑なんだから、このまま快楽に身をゆだねて、理性を捨てて、好きにやってやる。
いいさ、死刑になるまで生きれば。
という話に結局なってしまいましたね。残念。
こういうふうにならないように気を付けて暮らさないといけないですね。
■Touch
MVで先にドロップしておいた曲ですね。
シングルっぽくないといえばそうかもしれないのですが、今どうしても聴かせたかったので、ZOOM会議風リリックビデオにしました。
ここでもVaporwave感というか、一昔前のパソコンみたいな世界と、今この2020年がリンクしているような、そんな映像にしたかったのです。
曲は、えんどうさんが前にやっていたバンドの曲ですごい好きな曲があって、それを自分なりに再解釈してできた感じです。
あとは、ちょっと早口な感じにAメロって少し前に流行したと思うのですが、そういう感じも取り入れてみました。
会心の出来というか、めっちゃいい曲できたなと思っています。
歌詞については、もうまんま2020年のこの状況を歌っているように見えると思うのですが、この曲を作詞したのはメモを見ると3/31で、まだここまでの事態になるとは思っていなかった時期でした。
というか、新型コロナウイルス騒動について書きたかったわけではなく、不意に訪れる永訣について書いたものです。
例えば、朝出かける家族に対して「いってらっしゃい」とかけた言葉が、最後になるかもしれないとか。
友達と「また明日な」と別れの挨拶をしたのが最後のやりとりだったとか。
往々にして生きていればそういうことってあって、だからこそいつも、対峙する相手と最良のコミュニケーションを心がけます。
だけど、そうもいかなくて、なんだかんだ傷つけるような言葉や行動をしてしまったりして、明日こそはと思ってもうまくいかなくて、いつしかそんな日々に疲弊してしまって、人と会うのも明日を迎えるのも嫌になってしまって。
なんなら死んだほうがいいんじゃないかとまで思う。
しかしながら、やっぱりそうではなくて、次また笑顔で会えるように、できるだけ一緒に過ごす時間が笑顔の時間になるように、生きていこうとするのが幸福に対する正しい希求だとぼくは思うし、だからこそあなたにも生きてほしい。
だから、どうかご無事で、という歌です。
でも、それが、まんま現実に起きているこの状況に、たのしみにしていたワンマンが延期になって大事な友達の誕生日が思うように祝えなくなってしまったことへの心情に、ぴったりと寄り添うものでした。不思議ですよね。
不思議なのだけど、当然といえば当然で、人間社会を生きることってそういうことなんだと思いました。
だから、この曲は今回のことだけじゃなく、今後の何かも言い当てているだろうし、コロナ騒動も何かと相同しているはずだと思います。
それならばいつかきっと過去になる。
だから、それまで死んだりしないで生きていきましょう。
オモイデは、また創ればよいのです。倍返しでな!
■MurderTVshow
この曲が、流れの中では本編ラストという感じです。
1年以上は前だと思うのだけど、結構前からある曲ですね。
スタジオでバーン!とやって!できたやん!いいやん!またな!といってそのまま形になっていなかったものでした。
なので今回レコーディングできてうれしい。
再結成後のMISFITSとかのイメージだったのですが、録音してみると90年代V系の香りもあり、近年の激ロック系とか言われているものに近い雰囲気もあり、それつまりTHE NOSTRADAMNZだなあと思いますね。
歌詞は、こっちのほうがごく最近に書いたもので、コロナ騒動の渦中で色々観ていたパンデミック映画や終末映画の影響をすごく受けています。
核兵器を操作する地下管制室に忍び込んだ男が、指令席に座り、モニターに映し出された世界を眺めます。
男は鬱屈した想いを抱えて生きてきて、やっとここに忍び込み、世界を掌握したのです。
ロックを外し、安全装置を解除し、いよいよ各主要国に照準が合わされた核ミサイルは、起動準備が整います。
高笑いをあげながら、どんどん気が大きくなり、最後の晩餐としてストロングゼロを一気飲みします。
しかし男は酒に弱かった。眠ってしまったのです。アホです。だからこそコンプレックスの塊だった。
目覚めると、銃火器で武装した兵士に囲まれていました。
モニターには、囲まれて両手を上げる自分の情けなく滑稽な姿が映し出されました。
ちっくしょおおおおお!!!!!
というお話を歌ったつもりだったのですが、友人にそのことを話したら、違う解釈をしていたのだけどそれも面白くて。
男は、地下室にひきこもり、来る日も来る日もネットの匿名掲示版を眺めては、顔も知らない誰かに私的制裁を加えていました。
作成してばらまいたマルウェアがセキュリティー網を突破して破壊行為を遂行します。
他人の不幸で今日もストロングゼロがうまい!わっはっは!!
しかし目覚めると、地下室は警察に囲まれており、男には手錠がかけられます。
町中のテレビに、みすぼらしい男の逮捕連行時の滑稽な姿が映し出されました。
ちっくしょおおおおお!!!!!
というお話としても確かに読み取れますね。
しかもこっちのほうが身近でリアリティーあるやんけ。
こういうのすごく面白いと思うので、この曲に限らず皆様も違った解釈があればぜひ教えてくださいね。
■truth/world 2020
気持ち的にはこの曲はアンコールという感じです。
「世界と真実」のリメイクですね。
たしかライブでもやったことあると思うんですが、元々イントロ部分はスタンダードナンバーになっている「Proud Mary」のパロディーなので、開き直ってそのままやっています。
いろんな人がこの曲やってるんですが、同年代くらいの方は「笑う犬の冒険」のオープニングを想起するのではないかと思います。
過去の曲が過去のものになっていってしまうのはとてもさみしいと感じるし、中のひとたちも指向性や技量は変わったりするものなので、元々のものはそれはそれで、その時の完成形として残しておきつつ、今後も機会があれば過去作のリメイクもやっていきたいですね。
メジャーデビューとかになったら過去作の再録アルバムとか作りたいですね。
■世に憚る
エンディングトラックというか、おまけ的なポジションですかね。
とはいえ、楽曲そのものは超かっこいいし全然おまけじゃないです。
MCルシファーが参上しまして、これでもかと韻踏みマクリマクリスティーをぶちかましています。
アイデア自体がこれも結構前からあって、車の中でMIYAVIさんのアルバムを聴いていたとき、我々もカホン・アコギ・ラップとかでミニマルな感じの曲やったらおもしろくない?
と、何年か前にかみむらくんが運転中に言っていたのが頭にのこっていて、これまたとある別の日の楽屋でえんどうさんがチラチラ適当に弾いていたファンキーなフレーズがめっちゃかっこいいじゃんそれ、てなり、最初にギターのサンプルをもらい、ぼくがラップを乗せ、それをスタジオでやってみて詰めた結果こうなりました。
アコースティックギターが前に出てるものってぼくらの音源にはなかったし、そういうトラックでラップっていうのもなかなか珍しいと思うので、おもしろいものができたなと。
MCルシファー的には本当に日本の、いや、魔界のエミネムと呼んでほしいレベルで韻を踏んでいるので、是非チェックしてほしいです。
「カイライとかググりがち 虚構の惨状に逃げ込みがち」あたりとか、韻は甘いところでもシンゴジラ観た人ならニンマリとかそういうネタも要チェックです。
以上でございます。
これを聴いて、また濃厚接触を楽しめるように、免疫をつけておきましょう。







