お疲れ様です。ルシです。
皆様はシンゴジラ観ました?
ルシは観ました。
あと多分ネタバレ含みます。
ネタバレしたからって楽しめなくないと思いますが。
1986年生まれの私めは、平成ゴジラシリーズ直撃世代でございまして、モスラ2あたりまでは毎回家族や友達と映画館に観に行った思い出がございます。
よく一緒に遊んだ服部くんと、オキシジェンデストロイヤ(初代ゴジラをやっつけた化学兵器で、平成ゴジラシリーズ最後の敵怪獣の元になったもの)を作ろうと、ミニ四駆に使ったタミヤのエナメル塗料やアクリル塗料やモーターの磁石や進研ゼミの付録についてきた顕微鏡の部品とかとりあえず身の周りにあった毒々しいものを混ぜ合わせて机の中に保管してどうなるか実験し、結局何も起きなくて寂しい気分になったことを昨日のことのように思い出します。
JCOの臨界事故が起きるまで、少年わたくしめの中では核エネルギーってゴジラのイメージしかなかったんですね。
中学生くらいになって、件の臨界事故に衝撃をうけたり、図書室で原爆写真集を閲覧したり、総合学習の時間に放射能について調べて発表したりして、ああ、そんな生易しいものじゃないんだな、というのを感じまして。
そして311があって、チェルノブイリについて改めて調べたりして。
放射能はおそらく唯一実在と構造が確認されている、それでいてある意味オカルト的な、人智を超越した恐怖の対象だと今は思ってます。
というのを踏まえてのシンゴジラでございました。
終わったあとの印象としては、なんか、はぁ、ていう感じというか。
夜一番遅い回で観たので疲れてたのもあるかもしれないけど、正直やや退屈してしまった自分もいたりして。
ただ、そのあとずっとシンゴジラのことが頭から離れない状況にあるという何とも不思議な、初めての映画体験です。
岡田斗司夫さんの解説と感想がえらくしっくり来るので、興味ある方はニコニコ動画とかユーチューブで聴けるので是非。
いわくシンゴジラは、怪獣映画であり、ポリティカルフィクションであり、311のメタファーであり、庵野監督とエヴァンゲリオンの話でもある、という複数のレイヤー構造があるとのこと。
確かに!
それでも、わたくしめは基本的に311の文脈で観てました。
まああからさまに津波のシーンとか、当時ニュースで散々流れてたような映像だったので、もう連想せずにはいられないよね。
初代ゴジラは太平洋戦争の化身で、シンゴジラは東日本大震災の化身かと。
海から来た未曾有の大災害が、様々に形を変えながら日本を襲い、放射能を溢していくという。
人間社会はなす術なく破壊される。
まさに荒ぶる神。
で、結果的には知恵を使ってなんとかするんです。
少なくとも小康状態にはなるという。
問題意識を芽生えさせるのはここで、映画の中では「日本人の知恵と組織力を使えば、神すら止めることができる!日本はまだやれる!万歳!」というふうに見えなくないんだけど、あれは飽くまで映画であって、現実の日本はどうだと調べてみると、そういえばまだ311って終わってないんじゃないか、ということに気付く。
映画の中では除染作業について目処が立ちそう、みたいな希望があるんだけど、
フクシマでは未だにドカドカと高濃度汚染水が漏れてます、というニュースが。
実は、現実の日本ではゴジラはまだ暴れてるということ。
ゴジラが登場して熱線を吐いた!に近いシーンは、多分現実だと原発の水蒸気爆発の映像だと思うんだけど、あの「原発が爆ぜた」という見た目が衝撃的な映像をテレビで散々ながされたから、当時は誰もが恐怖と当事者意識を感じてたんだけど、今は少なくともわたくしめの生活圏内にいる人々は、もう忘れてるように見える。
ゴジラ?ああ、いたね。今も福島にいるの?まじか。
みたいな。
シンゴジラを観るまでわたくしめも正直そんな距離感だった。
観て、まだ日本にはゴジラがいることを思い出した。
かといって、なにか実際に行動できるかって、何もできないから、ここにこうして書くしかないんだけど。
原子力発電には限りなく反対なんだけど、大手を振って反対派です!とも言えない。
核兵器は恩恵を受けた経験がないし誰がどう見ても、子供が見ても一目瞭然であまりに悲惨だから言いやすいんだけど、電気に関してはすごく恩恵を受けた感を持ってしまってる。
一部が甘い汁を〜とか、他の発電方法で賄えるとかって話も聞くし、わかるけど、既に原子力で作られた電気をわたくしめは使ってしまってるわけで。
本気で反対するなら、自分ちにソーラーパネルとコイル付きの自転車を置いてDIY発電するくらいじゃないといけない気がしてて。
なんだろう、資源を大切にね!というビデオが石油から作られてるという違和感に近いものというか。
または、ポケモンは仲間だぜ!といいながらも可愛い一匹以外は捕獲して閉じ込めて自分の身代わりとして無理矢理戦わせる様をさも爽やかにスタイリッシュに描いて子供相手にお金稼いでます、みたいな気色悪さというか。
まあ、よく「筋を通す」という美徳を聞くんだけど、わたくしめは矛盾なく生きていく自信なんてないし、全く矛盾ねえなって人に出会ったことないし、矛盾や葛藤が必ずしも醜いとも思わないし、百歩譲ってもしその「筋」とやらがあるとしてもそれは己で決めることであんたが俺にそれを偉そうに言ってくるほうがよっぽど「筋違い」なんだよ馬鹿野郎、なんてよく思うくらいだから、仕方ないことは仕方ないんだけど。
あとは、原発作業員の家族の方、とくにお子さんが、反原発運動とか見たらどういう気持ちになるんだろう、とも思ったり。
もちろん、反原発運動をやってる方がそこも否定してるわけではないことは承知の上だし、思想に対して実際に行動するってことは本当に尊敬するんだけど、うちのおとうさんが原発で働いてて、そのお金で自分が育てられてきたって想像すると、反対!て言われたらなんとなく自分の成り立ちまで否定された気分にはなるまいか、という心配妄想にも駆られてしまう。
そこには雇用の問題もちらつく気がして。
全部非常に浅い見識での「気がする」ということに過ぎないんだけど、そんなことを考えた映画でした。
これだけ考えさせてくれるのは、良い映画なんでしょうね。
是非、誰かと語り合いたい映画です。
できれば気の合う人と。笑
ただ、ドラマとしてはわたくしめには少し退屈だったかな。
これは個人の好みなのでダメではないんだけど、わたくしめはもっとパーソナルな問題を扱う物語のほうがグッとは来るんだな。
スターウォーズやエヴァは、まるっと自分を投影できてしまうから好きにならずにいられないんでしょうね。
それでいうとシンゴジラは初代ウルトラマンのあのどこか淡々としていて、あまり隊員それぞれの出自や動機が見えない感じに似てるかも。
なんだけど、なされるやりとりがあまりにも現実の日本の組織というか、会社で毎日するようなホウレンソウと稟議と上長承認とPDCAなのでそれはもういいよ、てなる。
でも!ゴジラのデザインとかはすごく好き。
イケメンゴジラ世代なのと、エメリッヒ版のイグアナ的なゴジラも全然好き派だったので、最初ヴィジュアルが出たときはフザケンナだったけど、あの熱線シーンを見せられたらもうどうしようもない。
使徒であり巨神兵であり初代ゴジラである、真であり神であり新であるゴジラ、というとこがバチコーンとハマっていてかっこいい。そして怖い。
でもCGがちょっとCGというか、平成ゴジラのほうがデフォルメされてるわりに実在感も巨大感も質量感もあったよなあ、というふうには感じます。
長くなりました。
ここまでお付き合い頂いてありがとうございます。
20代もあと残り2日となりました。
20代では何も成し遂げられなかったけど、
最後に素敵な映画に出会えて良かった。
さようなら。
