No time for romance. | 君を殺しても

君を殺しても

THE NOSTRADAMNZ Lucifer K nemoto

そんなで幽閉ツアー、車で遠くにいくような場所は終了しまして、あとはトーキョーを残すばかりとなりました。

バンドとしてはもちろん、個人的にも初めて行く土地ばかりで不安だったけど、なんとかなるもんだ。

しびさんは運転マジお疲れ様でした。
素晴らしき安全運転。

ちょっぴり人生観変わるような出来事も大なり小なりあったりして、本当に有意義な時間をすごせました。

ステージにたって音楽をやることが何よりもすきです。
皆様に喜んでいただれば尚更。

そんなわけでもっともっと多くの方々に俺たちを観てニヤニヤしてほしいので、皆様も各々ステルスマーケティングを頑張って下さい。

なんちてなんちて。

なんて言ってられるのは本当に幸せなことで、広島で出向いた原爆ドームと資料館は、かなり衝撃的でした。

リハ後にハヤちゃんと、正直言って能天気に観光気分で行ったんだけど、普段おバカなDISHリズム隊もさすがに言葉を紡げませんでした。

資料館には、熱線で溶けた瓶や御遺体の一部、遺品、投下時刻でとまった時計などが多数展示されてました。
手を触れていい展示品もたくさんあって、溶けたビンなんかは触ってみたんだけど、いま自分が触れているモノが、かつてのあの惨劇の渦中にあったのかと思うと、今までどこか遠くの伝説だった出来事が、我が国でそう遠くない過去に実際にあったことなんだっていう実感がして来て、もうそれはなんとも、なんとも言い難い気持ちになりました。

1番印象的だったのは、黒焦げになったご飯が入ったままの、金属製のお弁当箱。
被曝して亡くなった少年の遺体は、このお弁当を守るようなポーズで発見されたそうで。
しかも、発見したのは彼のお母さん。

実際はわかんないけど、例えば、今爆弾が落ちてきて、俺が金属製のお弁当箱を持っていたら、たぶん俺の死体はお弁当箱で頭を守るようなポーズになると思うんだ。

とっさに守ろうとするのは、お弁当箱ではなくて、自分を守ろうとすると思う。

でも、彼は、お弁当箱を守るように亡くなってた。

もうこれは空想だけど、なにか特別な日で、お弁当箱にはお母さんが持たせてくれた、すっごい楽しみなご馳走が入ってて、爆弾が落ちたとき、とっさにお弁当を守ろうとしたんだろうなと。

でも彼は結局、お弁当を食べられなかったんだよね。

なんかそう思ったら涙が出てきてどうしようもなかったよ。

それを発見したお母さんも、どれだけ辛かったんだろう。
想像に及ばないよね。

俺は、よくご飯食べるの忘れてて体調崩したりするアホなんだけど、それって食うに困ってないからこそ食うことを忘れられるんだなと。
サイゼリヤかマックにいけばご馳走が出てくるよ。

食うことも忘れてバンドとかやれてる今は、もう日常の細々した苛立ちなんかどうでもいいくらい恵まれてるよね。

あんまり幸せとか恵まれてるとか、他の人や時代や国と比べて相対的に考えるべきことじゃないと普段は思うのだけど、今回は素直にそう感じました。

ただ、件の原発事故とか隣国の情勢とかで、原水爆の問題自体は意外とすごく身近にあるんだよね。

原子力の是非に関しては、俺は是とも非とも言えない。

もちろん、被曝された方にとって、原子力は憎むべき存在でしかないと思う。絶対的な悪になって然るべき。

ただ、俺個人は大量に被曝した経験は(少なくとも認識の範囲では)全くない上に、電気を初め、原子力の恩恵をたくさん受けてきてると思う。

原子力発電がなかったらこの文章をこうしてウェブ上に公開することもできなかったかもしれないし、アンプに電源を入れられないかもしれないし、スポットライトを浴びることも出来ないかもしれない。

他の発電方法ももちろんあるけど、実際原子力に全く依存しない生活がどうなのか、俺にはわからない。

だから、肯定も否定もできない情けない立場にあるなあと思ってます。
心情的には否定的だけど、バッサリ否定できないくらいの恩恵を既に受けてきてしまっているんじゃないかな。

飽くまで個人的なアレなので、皆様がどうかはそれぞれ考えたり考えなかったりすればいいと思います。

そんなことも考えた遠征でした。
ちょっと暗い話になっちゃったごめんなさい。

楽しい思い出もたくさんあるんで、それはまたの機会に!

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