妖怪小説 | おばけのブログだってね、

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The 27th Anniversary of Formation

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。
11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。
当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。
※214〜257話までオリジナル妖怪たちが登場します※

 

もっと驚かせたいと騒ぐ「流ヶ島のこびと妖怪」の話

かっぱと小人の妖怪、鳥妖怪

日本文学の研究をするカバット先生が現代語訳したその江戸時代の本には、遠い島からやって来たこびと妖怪の話があった。

この島は実在しますとカバット先生。

かっぱはこの小さな妖怪たちに会いたくて、あれこれ調べてみたが島は特定できなかった。

そんなある日、かっぱの頭の上に小鳥が飛んできた。

ぴーぴー高い声でこう話す。

「私は小さいお化けの島からやってきた鳥の妖怪です」と。

小さいお化けだって?それはどこにあるの?

案内しますと、鳥妖怪は大海原を渡り始めた。

泳ぎの苦手なかっぱは必死で後を追う。

たどり着いたのは「流ヶ島」と呼ばれる島で、かっぱがヨロヨロしながら上陸すると、小さいお化けたちがチョコチョコと走り出てきた。

カバット先生の本にある通り、とても可愛らしくて少しも怖くない妖怪たちにかっぱは胸がときめいた。

しかし小さな彼らにとってはそれが最大の悩み、立派な怖いお化けになるために講師を迎え入れようと鳥妖怪を日本まで飛ばしたらしい。

『流ヶ島のこびと妖怪』たちはかっぱを見て、「せんせい、ぜひ弟子入りさせてください化けの修行をしたいんです」と熱心だ。

こんな展開になるとは思っていなかったが、かっぱも妖怪の端くれ、なんでも教えてさしあげよう、と胸を張った。

早速、「せんせいの必殺技は何ですか」と尋ねられ、

「お尻の穴から尻こだまを抜くことです」と答えると、こびと妖怪たちは目を輝かせてどよめいた。しかし、あんな大きな穴に腕を突っ込むのは自分たちにとって自殺行為じゃないかと誰かがつぶやくと皆んな黙り込んだ。確かに。

「ひとを気絶させるにはどうしたらいいですか?」と他のおちびさんが訊く。

かっぱのようにオナラをすれば一発だ、と言うと、こびと妖怪たちは失笑した。

その後、問答は続いたが、ひとを驚かせることなどすっかり失念していたかっぱは、向上心の強いこびと妖怪たちにとって、何とも物足りないせんせいだったようだ。

最後にかっぱが、

「21世紀になってから日本の妖怪とにんげんはけっこう仲良くやっています」と言うと、こびと妖怪たちは唖然とし、怒り出すもの泣き出すもの、かっぱを罵るものと、小さな島は大騒ぎになった。

追われるように、かっぱはまた鳥妖怪に先導されて日本に戻った。

鳥妖怪との付き合いはその後も続いているが、「流ヶ島」には二度と連れて行ってもらえない。