『かっぱの妖怪べりまっち』169話「らく餓鬼」その後の話 | おばけのブログだってね、

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2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。

※131~174話まで、43話から登場したオリジナル妖怪たちのエピソード続編となります※

 

チョークも妖怪もうまく使おう「らく餓鬼」その後の話

特別なチョークで描いた絵が地面や壁から抜け出て遊びまわる『らく餓鬼』は、言われた通りに動く妖怪だ。

 

近所に棲む和尚さんはかっぱが悪さをするとバチを持って走ってきてお尻を叩く。かっぱは陰で、"バイオレンス・ボウズ"と呼んでいた。

その和尚が最近、墓場の端で野菜畑を始めた。

見事な出来映えのキュウリにかっぱがそっと手を伸ばしたとたん、和尚がバチを振り回しながら裸足で飛び出してくる。

よし、ここで特別なチョークの出番だ。

まずは壁にかっぱの自画像を描き、横にセリフを書いておく。かっぱと瓜二つの『らく餓鬼』は壁から抜け出て歩き出し、お寺に上がり込んだ。

『らく餓鬼』は筋書き通り、和尚に問答を仕掛けている。和尚も、いつもと違うかっぱに不審顔だがまじめに受け答えしているようだ。

この隙に畑のキュウリを失敬した。

 

冬はいたずらだ。

先日、亡くなったばかりの檀家さんの似顔絵をチョークで描いて『らく餓鬼』に仕立て、これまた和尚を訪ねさせた。

寺の中からヒー!と言う悲鳴に続き、なむあみだなむあみだと絶叫念仏が聴こえる。

しばらくして様子を見に行くと、和尚は胸を押さえ救急車で運ばれて行った。

やり過ぎたかなとちょっと反省している。